超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

超心理学は独自性をもっと活用しよう

2008-01-07 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-14)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(14)超心理学は独自性をもっと活用しよう

超心理学は現代科学の手法にのっとって、長らく特異現象を
追究してきた。頻度が低い現象については、他のどんな科学
領域よりも、独自の実績を積んでいるのである。

超心理学の独自性を、ポストモダンの観点と合わせて考える
と新たな可能性が見えてくる。特異現象以外にも、これまで
気づかれなかった現象を研究するのに、超心理学が貢献できる
ことだろう。


超心理学者は関連分野と連携しよう

2008-01-05 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-13)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(13)超心理学者は関連分野と連携しよう

超心理学は理論化にあたって、物理学や生物学やシステム科学
などの先端的理論との関係を模索するのがよい。

こうした連携は必ずや超心理研究の影響力を増し、科学界での
存在意義を確立することにつながるだろう。


超心理学者はデモにとどまらず理解を求めよう

2008-01-04 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-12)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(12)超心理学者はデモにとどまらず理解を求めよう

とくに心物相関作用(念力)の実験に言えることであるが、
たんなるデモンストレーションでは研究は進まない。

研究は、現象を理解可能とする理論やモデルと実験データ
が接続して、はじめて前進するものだ。現在の統計的証拠
とされるものも、理論との接続という観点では、まったく
不十分である。超心理学は早く理解の段階に至るよう、
さらなる努力が必要である。


超心理学者は不思議現象のように見える原理を究めよう

2008-01-03 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-11)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(11)超心理学者は不思議現象のように見える原理を究めよう

かつて心霊科学は、催眠や多重人格や臨死体験を研究対象にしていたが、
それらは通常科学に組み込まれ、そのような過去も忘れられがちである。

超心理学はたんに不思議現象を不思議であるがゆえに究明するのでは、
科学的態度にはならない。それでは科学と対立し、通常科学に組み込ま
れるにしたがって、その研究領域が縮小していくという奇妙な領域になって
しまう。

超心理学は研究対象について、それが不思議現象に見えるだけで不思議
ではない(つまり通常現象の拡張で説明できる)可能性を含めて、徹底的
に原理を吟味できるようにすべきである。


超心理学者は長期計画のもと国際協力を進めよう

2008-01-02 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-10)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(10)超心理学者は長期計画のもと国際協力を進めよう

超心理学はわずかな研究費を活用するためにも、長期的な
計画をたて、国際的な研究者間の連携活動をすべきである。

国際的な連携はコスト高になるとも思われがちだが、最近
のドイツやポルトガルの研究ファンドが、それの実現に
向けた前進となっている。

※ポルトガルの研究ファンドとはビアル財団のことだろう。
 日本からは小久保氏らの研究がこの支援を受けている。


超心理学者は相互に実験の追試をしよう

2007-12-30 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-9)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(9)超心理学者は相互に実験の追試をしよう

新しい超心理実験を考案・実施することも魅力的であるが、分野の
進展のためには、誰かが提案した実験を、これまで以上に相互に
追試するほうが、きわめて生産的である。それによって超心理学の
足場が固まるのだから、である。


超心理学者は実験の全データを公開しよう

2007-12-29 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-8)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(8)超心理学者は実験の全データを公開しよう

超心理学実験はよく批判にさらされるので、その批判に応える
ためにも、実験の分析前の全データを公開しておくのがよい。

また最近は、メタ分析の手法で、実験当初には予想できなかった
新たな分析が過去のデータに対して行なわれるようになった。
将来の可能性を広げるためにもそのような対処が必要である。

※このガイドラインは、1980年の倫理規範にすでに含まれている。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-8.htm


超心理学者は熱狂的信奉者から距離をおくべきだ

2007-12-28 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-7)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(7)超心理学者は熱狂的信奉者から距離をおくべきだ

超心理学は科学的方法論で取り組むものであり、検証不可能な
超越的な世界観を一方的に論じる宗教などとは一線を画すべき
である。

ときに、そうした団体はスポンサーになりうる誘惑があるのだが、
そのような方向にふみだすのは、きわめて危険である。


超心理学は懐疑論者とともに歩むべきだ

2007-12-27 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-6)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(6)超心理学は懐疑論者とともに歩むべきだ

超心理現象の懐疑論は(良質なものから悪質なものまで)多岐に
及ぶが、超心理学は懐疑論から、これまでさまざまな知見を学んで
きたし、これからも学ぶであろう。

信奉者と批判者という過去になりつつある二分法を早急に脱却し、
超心理学は懐疑論者とともに、科学の進展に向けて歩み出そう。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-4.htm

超心理現象の実用性を疑うのは時期尚早だ

2007-12-26 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-5)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(5)超心理現象の実用性を疑うのは時期尚早だ

超心理現象は再現性が低く、とらえがたいものだとみなされがち
である。けれども、それは現在の見かけ上の性質にすぎない。
それは超心理現象の本来の性質ではない可能性もある。

超心理現象の要因は多く、複雑にからみあっている。そうした
現象を扱う研究方法論が未熟なだけであり、将来は核心的な
安定プロセスを抽出できるかもしれない。

かつてリチャード・ブラウトンが指摘したように、超心理現象が
なんのために存在するのかという(進化論的)分析が功を奏する
かもしれない。


超心理学で使われている用語を再検討すべきだ

2007-12-25 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-4)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(4)超心理学で使われている用語を再検討すべきだ

「念力でスプーンが曲がった」などの言い方は、「通常の
物理学的に既知の力ではない方法でスプーンが曲がった」
という意味の省略形である。現象記述にすぎないものが
「念力」という言葉で、メカニズムが判明しているような
印象を与える懸念がある。

しかし、この用語の問題は根深い。決定的な解決策が見つ
かってない状況である。


自発的体験事例を過度に重視してはならない

2007-12-24 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-3)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(3)自発的体験事例を過度に重視してはならない

自発的体験事例は実証実験を企画するうえでの貴重な知見を
提供するが、それらの事例だけでは科学的証拠にはなりえない。

自発的体験事例を個人的確信のもとに重視する傾向がしばしば
みられるが、ほとんど過剰な解釈に陥っている。

超心理学者は、自発的体験事例を尊重しながらも、実験による
実証的研究に不断の努力を傾けるべきである。


死後生存研究をことさら強調してはならない

2007-12-23 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-2)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(2)死後生存研究をことさら強調してはならない

死後生存研究は、臨死状態の体験などの興味ある知見を
もたらすものの、死後の世界自体については実証不可能で
あるので、その成果の見込みを強調してはならない。

強調することによって、研究資金が得られる誘惑があるが、
倫理的にいかがなものか。注意深い対応が望まれる。


現在の超心理研究を革命的と称してはいけない

2007-12-22 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-1)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(1)現在の超心理研究を革命的と称してはいけない

現在のところ超心理学は、本流科学に対して大きな変化を与える
には不十分なほどの、ごくわずかな成果しか得られていない。
この段階では少なくとも、「革命的」というのは誇張にすぎる。

何よりも「革命的」という言い方は、超心理学は本流科学の方法論
を踏襲していないとか、それに対抗するものだとかの、誤解を与えて
しまう。

クーンの言うパラダイムシフトという観点の「革命」を指すのであれば、
それは事後的に特定されるもので、「革命」が起きる前から、何らか
の営みを「革命的」と称するのはクーンの主張に反するだろう。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/8-2.htm

超心理研究の未来に向けた17の薦め

2007-12-20 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-0)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(0)超心理研究の未来に向けた17の薦め

クリップナーとヘーベルマンは80年代に、超心理研究の未来に
向けた11の薦めをまとめ、英語とドイツ語で相次いで発表した。
それは90年代にはいって日本語でも発表された。(笠原敏雄編
『超常現象のとらえにくさ』春秋社の第4章pp.59-69に所収)

本論文では、11の薦めにその後の議論を加え、さらに新たに
6つを追加して発表している。以下でひとつひとつみていこう。