言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

従前の更新スタイルに戻します

2011-04-05 | 日記
 このところ、このブログは地震・津波・原発関連の記事ばかりになっています。



 しかし、本来このブログは「書籍を読みつつ検討し、その成果をもとに最新ニュース等を分析する」ことを志向しています。

 現在のように、最新ニュースばかりを追いかける更新スタイルは、もともと私が望んでいるスタイルではありません。



 したがって再び、従前の更新スタイルに戻します。つまり、今後は

 本の内容を検討しつつ、(地震・津波・原発関連を含めた) 最新ニュースについて言及します。



 地震後の更新再開に伴い、当ブログのアクセス数は増加傾向にあります。

 地震・津波・原発関連のニュースを読むためにアクセスしている、というかたは、(申し訳ありませんがタイトル等で判断しつつ) 必要な部分(記事)のみ、お読みください。

富裕層に対する減税の是非

2011-04-05 | 日記
 以下は、「ラッファー・カーブ理論」の続きです。



アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.59 )

「おこぼれ経済学」というのは、批判派がサプライサイド経済学に付けた名前である。彼らが解釈するサプライサイド理論の前提は、次のようなものだ――富裕層に優遇税制を適用すれば、その能力と勤勉により莫大な財を成す。社会の底辺にいる貧困層は、ほんの少しばかりそのおこぼれに与る、云々。
 さらに彼らは所得格差だの所得分布だのについて論じるのだが、長くなりすぎるので、ここでは過去三〇年間の所得の推移を示す内国歳入庁(IRS、日本の国税庁に相当)のデータを掲げるにとどめたい。……(中略)……表2・1を見ると、納税者の最上位一%の所得が全所得に占める割合は、一九八〇年の九%から二〇〇五年には二一%へ、三〇年間で倍以上に増えたことがわかる。一方、下位五〇%の所得が占める割合は、約一八%から一三%に減少した。つまり所得分布の偏りは、一段と大きくなっている。富裕層はよりゆたかになっており、サプライサイド経済政策、すなわち通貨価値の維持、減税、自由貿易、移民の容認、組合の弱体化、規制緩和等々が実行されてからは、とくにその傾向が顕著に認められる。この事実を否定することはむずかしいし、実際にも私たちは否定したことはない。この現象は、アメリカだけでなく世界各国で起きている。
 だがここに、忘れてはならない重要なポイントがある。所得分布の偏りが大きくなったのは、貧困層がより貧しくなったからではない、ということだ。何百万ものアメリカ人の所得は、めざましく増えている。過去二五年間に裕福になった人々の大半は、二五年前には裕福ではなく、中流の下層か貧困層に属していた(*20)。アメリカは、貧しい人々が這い上がるのを邪魔していた障害物が取り除かれ、ゆたかになる機会にあふれた社会になった。起業家精神に富む大勢の人がこのチャンスを利用し、富を築いた。これは、いかにもアメリカらしい。
 重要なポイントは、もう一つある。サプライサイド経済政策では最富裕層への減税が実施されたが、その結果、税収総額に占める最富裕層の納税額の割合は、増えたということである。一九七〇年代後半以降について調べてみると、税率が段階的に半分まで引き下げられるのと並行して、最富裕層の占める割合は増えていることがわかる(図2・2)。これは、驚くべきことだ。減税によって、当初予想とは逆に、税制度はより累進的になったのである。
 しかし左派は徒党を組み、高い税金によって富裕層から貧困層へ富の再配分をしようともくろんでいる。たとえばコーネル大学の経済学教授ロバート・H・フランクは、ニューヨーク・タイムズ紙の特集面に次のように書いた。
「累進税制は、金持ちに対する嫉妬とは関係がない。最富裕層は過去三〇年にわたり、所得と資産の両方について最も大きな分け前を享受してきた。富はこの層に滞留している。誰もが必要とする公共サービスのために税金を払わなければならないのなら、彼らこそ誰よりも多く負担すべきである」(*21)
 でもフランク先生、富裕層はすでに誰よりも多く税金を払っている。所得税に関して言えば、税収の九七%は上位五〇%の所得層が納めているのだ。あとどれくらい増やすことをお考えなのだろうか。一〇〇%を超えるわけにはいかないことを、どうかお忘れなく。
 私たちが望むのは、そういう税制ではない。金持ちを羨んだり、引きずり下ろそうとしたりするのではなく、国民の大半がよりゆたかになれるような税制を求める。ケネディ大統領はかつて次のように語った。「アメリカ人は、仲間の足を引っ張って裕福になろうとはしない。一人がゆたかになるとき、全員がゆたかになる。上げ潮はすべての船を浮かばせるのだ」(*22)。私たちはこの言葉に深く同意する。


 サプライサイド経済学を実践すると、所得分布の偏りが大きくなる。これは事実である。しかし、(1) これは貧困層がより貧しくなったからではない、すべての人がよりゆたかになったからである。さらに、(2) 最富裕層への減税は最富裕層の納税割合を増やす結果をもたらす、と書かれています。








19802005
上位1%8・5%21・0%
上位5%21・0%33・0%
上位10%32・1%44・4%
上位25%56・7%66・1%
下位50%17・7%13・4%


 上の表は、引用文中の「表2・1」です。この表には「所得分布の推移」というタイトルがつけられています。

 たしかに、この表を見ると、「すべての人がよりゆたかになった」ということがわかります。



 次に、(2) サプライサイド経済学の説く減税によって、最富裕層の納税額に占める割合は増えている、という部分について考えます。

 (著者も認めているように) 最富裕層に対する減税によって所得分布が「もっと」偏る以上、最富裕層の納税割合が増えるのは当然だともいえますが、

 最富裕層に対する「税率」を下げたとはいえ、最富裕層の税率は「中流、下層」の税率に比べて高いはずですから、

   最富裕層に対して減税したほうが
    ( 最富裕層のみならず )
    「中流、下層の人々にとっても」利益になる

ということになります。



 したがって著者の主張する (1)・(2) はともに説得的だと考えられます。したがって、富裕層に対する減税は認めてよいのではないかと思います。



■追記
 全面的に書き直しました。投稿直後の訂正なので訂正部分を明示していません。

「農産物出荷制限地域の細分化」は農家の利益にならない

2011-04-05 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「出荷制限「市町村」単位も 農家の不満に配慮」( 2011年4月5日 )

政府規制見直し

 政府は4日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、県単位で行ってきた農産物の出荷制限などの実施方法を見直すことを決めた。

 今後は、〈1〉市区町村などの単位で制限・解除などを指示できるようにする〈2〉3週連続で放射性物質が食品衛生法の暫定規制値以下になれば、制限を解除する〈3〉放射性物質の放出が続く間は毎週検査を行う――を原則とする。暫定規制値は、現在の規制値を維持する。

 出荷制限は原子力災害対策特別措置法に基づき、福島、茨城、栃木、群馬各県産のホウレンソウなどを対象に行われている。政府は4日、新たに千葉県の一部市町産の野菜についても、同県内では初めて出荷制限を指示した。

 今回の措置は、同一県内なら放射性物質が検出されない地域でも出荷が制限され、風評被害を受けることへの関係者の強い不満に配慮したものだ。

 ただ、日本農林規格(JAS)法では、農産物の産地表示は県単位で行われている。市町村単位で制限を解除しても消費者には分かりにくいとの指摘があり、風評被害による買い控えの抑制につながるかどうかは不透明だ。

 政府は産地表示を細分化するためのJAS法改正のほか、出荷制限解除後の出荷状況を調査し、風評被害があると判断した場合は幅広く補償対象とする方向で検討を進めている。ただ、法改正には一定の時間が必要な上、補償の具体的な基準作りは難航するとの見方が少なくない。

(後略)


 農産物の出荷制限を、(1) 市区町村単位、(2) 3週連続暫定規制値以下で解除、(3) 放射性物質の放出が続く間は毎週検査を行う、に見直すことを政府は決めた、と報じられています。



 この背景には当然、下記の報道で報じられている事情が存在していると思います。



産経ニュース」の「出荷制限新ルールでも自治体、生産者の不安消えず」( 2011.4.5 00:10 )

 政府が方針を示した、農産物の出荷制限地域の細分化。放射性物質が暫定基準値を下回っていたにもかかわらず、県単位で制限がかけられていたために出荷を見送ってきた生産者にとっては朗報となる。

 長崎大学の山下俊一教授(被曝=ひばく=医療学)は、「最近の検査結果をみると、検出される放射性物質の量は着実に減っている。原発の半径30キロ圏内はともかく、ほかの地域では農産物の出荷規制の解除を考えても大丈夫ではないか。消費者だけでなく、生産者への配慮も必要で、風評被害防止の観点からも解除は望ましいと思う」と評価する。

 ■農家の気持ち代弁

 だが、自治体や生産者の受け止めは複雑だ。

 新たに出荷制限がとられることになった千葉県旭市の農家の男性(71)は「解除を待ち望んでいるが、その場合も風評被害で売れないのが怖い」と心配顔。「政府は安全性を消費者にしっかり伝えてほしい」と訴えた。JAうつのみや(宇都宮市)の担当者は、「消費者は県単位で生産地を見ている。良い効果はあまり見込めない」と楽観はしていない。

 群馬県の大沢正明知事も、「市町村別の細かな産地指定をした場合、それで風評被害を乗り越えられるのかという課題が残る」と、風評被害の深刻さを心配した。

 福島県の佐藤雄平知事は、国が県に規制の判断を“丸投げ”したりしてきた点に怒り沸騰だ。4日の県災害対策本部会議では、政府担当者に「現場のことを分かっているのかと疑いたくなる」と声を荒らげる場面もあった。知事は「(国の対応は)あいまいだ。『雪が降るぞ』『雨が降るぞ』だけでなく(国の知見で)『傘させ』『カッパ着ろ』まで言ってくれないと農家は困る」と、生産者の気持ちを代弁した。

 ■厳しい検査必要

 ルールができても、課題も山積している。

 大きな課題となるのが農産物の原産地表示。原産地表示を規定する日本農林規格(JAS)法は、原則として都道府県名で表示すればよいことになっている。だが、今後はJAS法の例外規定を利用して、市町村名などの名称で流通させるケースがでてきそう。

 ところが、出荷停止の「発動」と「解除」が混在する地域産の農産物の場合、市町村名で産地が表示されても、どこの市町村産ならば安心なのか、消費者が正確な情報を把握するのは難しい。

 全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長は、「行政が市町村ごとの数値を公表して消費者に分かるようにしたり、産地偽装防止のためのチェックや検査をきちんとすることが求められる」と指摘する。 

 消費者問題研究所の垣田達哉代表は「検査回数が1週間に1度というのは少なすぎないか。毎日とは言わないが、2日に1度ぐらいはやるべきだ」と、厳しい検査態勢の必要性を説く。

 新しいルールが適正に運用されなければ、消費者にかえって混乱を与えることにもなりそうだ。


 「農産物の出荷制限地域の細分化」には、「放射性物質が暫定基準値を下回っていたにもかかわらず、県単位で制限がかけられていたために出荷を見送ってきた生産者」の立場、すなわち「生産者への配慮」として、「風評被害」を防止するという狙いがある、と示唆する報道がなされています。



 私が思いますに、「あまり効果はない」のではないかと思います。

   「放射性物質が暫定基準値以下です」と明示したところで、

   あるいは
   「放射性物質には言及せず、産地のみ」表示したところで、

   消費者には、あえて「その地域の」農産物を買う理由がない

からです。九州産などを買っても間に合うなら、わざわざ「その地域の」農産物を買おうとする人は、ほとんどいないのではないでしょうか。



 「検査回数が1週間に1度というのは少なすぎないか。毎日とは言わないが、2日に1度ぐらいはやるべきだ」などという意見も出されているようですが、

 「放射性物質の流出阻止は数カ月後が1つの目標」であり、放射性物質は (少量とはいえ) 継続的に放出されている以上、「2日に1度の検査を3回連続でパスすれば安全」だなどとは、口が裂けても言えない、というのが常識的な感覚ではないかと思います。



 そもそも農家の立場に立って考えれば、「「安全宣言」は時期尚早」でみたように、

   国は、「風評被害」の場合であっても
     補償の対象になりうる、と言っている

のであり、農家・生産者が「早く出荷させろ!!」と主張するのは、どこか変ではないかと思われてなりません。そもそも、

   出荷したところで、従前の値段では売れない

と考えるのが当然ではないかと思います。規制の変更が、本当に農家の利益になるのでしょうか?



 おそらく、規制は変更されるでしょう。そしてその場合、「規制変更によって出荷可能になった地域の」農産物の価格は下落するでしょう。

 (多くの) 市民は買わないかもしれませんが、「惣菜屋」などを営む企業(事業者)は買うかもしれません。「国が問題なし、と判定した食材を安く買える」からです。消費者は「知らないうちに」その農産物を食べることにならないか、という懸念が消えません。

 企業がそれ (=消費者の不安) を避けようとすれば…、

 醤油の「遺伝子組み変えなし」のような表示、たとえば「福島県産原材料なし」の表示が、食品のラベルに貼られてしまうことになるかもしれません。



 農産物の出荷制限地域の細分化は、本当に農家・生産者の利益になるのでしょうか? 私は、ならないと思います。

 「消費者」に冷静な対応を求める声は目立ちますが、「生産者」にこそ、冷静な対応を求めるべきではないでしょうか?



■追記
 「出荷制限」対象地域であれば「確実に」補償されるのに、「出荷制限地域を細分化」してしまえば補償対象にならず、価格が下落して利益は減るためにかえって(農家にとって)損になるのではないか、という趣旨です。もっとも、「価格下落分」も「風評被害」ということで補償されるのであれば、農家に損失はないのかもしれません。
 おそらく農家が「早く出荷したい」のは、当座の現金(手元資金)が必要だからではないかと思います。国による緊急融資などが効果的かもしれません。

気象庁の放射性物質拡散予測データについて

2011-04-05 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「放射性物質の拡散予測、気象庁に公開を指示」( 2011年4月4日22時48分 )

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していなかった問題で、枝野官房長官は4日、気象庁に公開を指示した。

 ドイツなど欧州諸国の気象機関は、各国の気象機関が観測した風向などのデータに基づき、独自に拡散を予報し、サイトで公開している。噴火時の火山灰や、黄砂の飛散予測と基本的には同じ仕組みだ。

 気象庁は、情報発信は原子力災害対策本部に一元化されているため、独自には公表できないとしていたが、枝野長官は記者会見で「少なくとも隠す必要のない情報。誤解を生まないよう十分説明し、公表すべきだった」と述べた。

 日本には原子力事故時に放射性物質の飛散予測を行う「SPEEDI(スピーディ)」というシステムがあるが、政府は、日々予測を速報するこの情報も公開していないため、原子力関係者らが批判している。




47 NEWS」の「気象庁に拡散予測の公表指示 放射性物質で枝野氏」( 2011/04/04 21:02 )

 枝野幸男官房長官は4日午後の記者会見で、気象庁が作製している福島第1原発からの広範囲にわたる放射性物質の拡散予測を、速やかに公表するよう同庁に指示したと明らかにした。

 気象庁は「地球規模の拡散を予測するもので、国内の防災対策に適切なデータとは思わないが、説明を加えた上で公表したい」としている。

 枝野氏によると、気象庁の予測は一定量の放射性物質が漏れたと仮定し、原発周辺の気象情報に基づく拡散状況を100キロ四方ごとに計算。国際原子力機関(IAEA)が世界各国への影響を把握するために作製を要請したという。枝野氏は「隠す必要がない情報であれば、誤解がないよう十分な説明を付けて公表するべきだ」と述べた。

 気象庁は、これまで公表していなかった理由について「予測の基となるIAEAからのデータは実際の観測値ではなく仮定の数値のため、予測精度も低くなる。国内では、文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が正式な拡散予測」と説明している。

 同庁企画課によると、東日本大震災では、発生当日の3月11日から毎日1、2回予測し、直接IAEAに報告。IAEAから指示された原発の位置や放射性物質が放出された高度と期間、放射性物質の種類などのデータをコンピューターに入力、風向きなどに基づいて予測しているという。




 枝野官房長官は気象庁に対し、放射性物質の拡散予測結果を公開するよう指示した、と報じられています (まだ気象庁のホームページには掲載されていません) 。



 以下は私の「推測」ですが、

   「噴火時の火山灰や、黄砂の飛散予測と基本的には同じ仕組み」

   「地球規模の拡散を予測するもので、
      国内の防災対策に適切なデータとは思わない」

と報じられていることから、これは

   「(地表ではなく) はるか上空における大気中の」
      放射性物質の量を計算・予測するシステム

だと思います。

 そしてまた、「一定量の放射性物質が漏れたと仮定」したうえで計算されているというのですから、これは「現在の状況」を予測しようとするデータではなく、どちらかといえば、「学術的な研究」用データの類(たぐい)の情報だと考えられます。すくなくともそれに近い情報でしょう。



 つまり、

   気象庁の放射性物質拡散予測結果は
         「あまり参考にはならない」

ということです。(風向き等を加味した拡散のしかたがわかるので) まったく参考にならないわけではないとは思いますが、さほど(=深刻に)気にする必要はない、と考えてよいと思います。

 「台湾の中央研究院による放射性物質拡散予測」についても同様に、さほど(=深刻に)気にする必要はない、と考えてよいと思います。



■追記
 再考しました。 このシステムは学術的なものではなく、諸外国への影響を予測するため、諸外国から要求され、諸外国から渡された(=国際社会が適正だと考えている)「前提」データをもとに計算・予測するものだと思います。
 日本国内では「あまり参考にはならない」ものの、他国にとっては「有益」だと考えられます。



■関連記事
 「今後は気象庁の放射性物質拡散予測が公表される見込み
 「日本政府は放射性物質の拡散予測結果を公表していない
 「福島原発の放射性物質が日本全土に拡散するかもしれない

台湾の中央研究院による放射性物質拡散予測

2011-04-05 | 日記
ROCKET NEWS 24」の「台湾が放射能拡散予報図を発表、7日に台湾全土を覆う / 日本列島もすっぽり」( 2011年4月5日 )

福島第一原発事故。各紙で枝野官房長官が気象庁に放射性物質の拡散予測の公開を指示したと報じられているが、日本に先駆けて台湾の政府直属の最高学術機関・中央研究院が「福島原発放射能塵(ほうしゃのうじん)拡散予報図」を発表した。放射線に汚染された空気中のチリの濃度と拡散予想を動画形式で見ることができる。

予報図によると、放射能塵は4月6日から台湾に到達し始め、7日には台湾全土をすっぽりと覆われている。放射能塵は日本列島を中心に北はロシア、西は朝鮮半島、南はフィリピン、ベトナムにまで到達するという。台湾中央気象局も同様の予測を立てている。

中央研究院は公開にあたり「これはシミュレート結果であり、観測値ではない。参考にとどめてほしい」と注意を促している。

この予報図は、「福島第一原発で大規模な放射線漏れが起こり、半径20キロ圏内で1時間に100マイクロシーベルトの放射線が検出された」という前提の下、風向、気圧等の気象条件を加味し作られている。

このシミュレーションは信憑性が高いとされているが、気象状況に大きく左右されるそうだ。つまり天気予報が外れれば、シミュレート結果と実際の観測値とは異なる可能性があるということだ。

また、日本列島について言えば、被災地以外でも8段階のうち7段階目の放射能塵(ほうしゃのうじん)濃度予報が出ているが、7段階目の範囲は毎時10マイクロシーベルト~100マイクロシーベルトと他の段階に比べると広く、数値という点においてはあまり参考にならない。拡散範囲の参考にとどめておくべきだろう。日本気象庁による拡散予測の公開が待たれる。


 台湾の政府直属の最高学術機関・中央研究院が「福島原発放射能塵(ほうしゃのうじん)拡散予報図」を発表した、と報じられています。



 「前提条件」=「福島第一原発で大規模な放射線漏れが起こり、半径20キロ圏内で1時間に100マイクロシーベルトの放射線が検出された」でシミュレーションした計算結果にすぎない、とのことですが、参考にはなります。



 拡散予測動画はこちらです (↓) 。

中央研究院 環境變遷研究中心」の「日本福島第一核電廠輻射塵濃度預報