言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

科学技術関連予算の必要性

2010-11-30 | 日記
兵頭二十八 『「自衛隊」無人化計画』 ( p.65 )

 米国の産業競争力は、自由な証券金融や民間金融によって、民間主導で育っているのでしょうか?
 工業技術に関しては、あきらかにアメリカ合衆国連邦政府が、税金で育成をしています。
 米国が世界の警察官の仕事を果たすために必要となる高度技術は、まぎれもなく、連邦政府からの巨額の投資によって、はぐくまれているのです。
 とくに国防総省が、伝統的に「太っ腹インキュベーター」の機能を果たしてきました。
 本書執筆中の二〇〇九年四月に米政府公表のPDF資料をのぞいてみたところでは、米国の二〇〇八年度 (二〇〇七年十月一日~二〇〇八年九月三十日) の国防総省分の予算は、四五九七億五四〇〇万ドルです。
 これを感覚的に把握しやすいように「一ドル=一〇〇円」として便宜的に換算しますと、約四六兆円。円とドルの為替相場が多少変動をしても、ざっと、自衛隊をまるごと一〇セットも抱えられるぐらいの巨費だと考えられるでしょう。
 この総額の中から、二〇〇八年度に米国防総省は、作戦および管理費として一六兆九二五四億円、調達のために八兆八九一五億円、研究開発向けに六兆六九四〇億円、人件費で一一兆九〇九六億円を、支出できることになっています。
(なお、米政府に批判的であるチャルマース・ジョンソンのような評論家たちに言わせますと、他省庁の費目の中に巧みに隠された実質上の国防費があるので、米国の真実の防衛関連支出は二〇〇八年度にはこの二倍の一兆ドルにも達するのだそうです)
 ともかくも、調達費だけで日本の防衛省総予算の二倍、研究開発費だけでも防衛省予算の一・五倍くらいもあることは疑う余地がありません。
 最大手の軍需企業であるロッキード・マーチン社は、一年で一兆円以上の仕事契約を、米国防総省と結びます。それらは調達費としてカウントされはしますが、少なからぬ部分が、本社や下請けメーカーの社内研究開発を潤すでしょう。
 また国防総省の研究開発費のうち、毎年三〇億ドル (つまり三〇〇〇億円) ていどは、DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency =国防高等研究計画局) という、先端的防衛研究推進機関によって、最も野心的な二百数十件のプロジェクトに分配されているといいます。
 その中には、たとえば、昆虫の脳にチップとセンサーを埋め込むサイボーグ化手術をほどこして、生きた偵察機に仕立てあげる実験ですとか、兵士が連続何晩も眠らないで戦闘できる薬物の開発……なんてのまで、普通に混じっています (二〇〇五年頃から、なかば面白ネタとして、科学技術ジャーナリズムが、そうしたDARPAの珍奇なプロジェクトの数々を、取り沙汰するようになりました) 。
 およそ、無名の若い工学博士たちが、設立したての零細ベンチャー企業の代表者として、町の銀行の融資係に申し込んだところで、まず審査は通らないであろうような「思いつき」に対するリスク・マネーが、DARPAを通じて合衆国の国庫から、ふんだんに供給されているわけです。
 日本では昨今、景気後退から銀行が不良債権を抱えたというので、それを理由に銀行が中小企業から貸し剥がしをしています。銀行が中小企業への融資を渋るから、また景気も悪くなる……という悪循環ですね。
 しかし米国には、国防総省もしくはDARPAという「太っ腹銀行」がある。中でもDARPAは、モノにならぬ可能性も有意に高い研究のために、返さなくてもよいカネを、数千万円、数億円と、手渡してくれるのです。
 またトータルの規模では国防総省にはるかに及ばないものの、NASA (航空宇宙局) 、CIA、エネルギー省 (核兵器開発を分担) 、気象局なども、それぞれ独立に、あるいはDARPAと協力するなどして、野心的なハイテク研究に予算をつけています。

(中略)

 米国の技術的な競争力は、米国防総省やDARPAといった「プロジェクト・マネーの出し手」によって支えられてきているのです。
 何か変わったことを思いついた若い技術者の前には、ベンチャー資本市場で出資金を募るという手段の他に、DARPAに売り込んで仕事を取るという道が開かれています。「親方星条旗」との取り引きなら、来期の配当を気にかけて悩む必要もありません。
 過去、自動車や工作機械等の対米輸出の突出ぶりが槍玉にあげられるたびに、〈日本の産業が不公正な政府保護を受けている〉と米国内ロビイストが騒いだものでしたが、当時も、またその以前も、米国政府こそが、日本とは桁違いの政府補助金を「軍需かけながし」の形で私企業に対して投入し続けていると申せましょう。


 米国の先端的な科学技術は、政府の軍事予算によって開発され続けている、と書かれています。



 うらやましい話です。

 日本では、「一番じゃなきゃダメですか?」などと大臣が言い、科学技術関連予算を削減しようとしているようですが、

 それでは国防上、問題が生じてしまうのではないかと思います (「武器輸出三原則の見直し」参照 ) 。



 また、経済的な観点でみても、国費を投入しなければ日本は没落してしまうのではないかと思います。

 日本が経済大国でいられるのは技術力が支えになっているからであり、日本から技術力が失われてしまえば、日本は経済的に立ち行かなくなるのではないかと危惧されます (「資本財中心の輸出と、日本の技術力」参照 ) 。

 日本が繁栄し続けるためには、政府が科学技術関連予算を増やす必要があるのではないでしょうか。「予算を増やす」ことには抵抗があるかもしれませんが、それによって長期的に「税収が増える」のであれば、なんら問題はないと思います。



 もちろん、研究開発は「お金があればよい」というものではないとは思いますが、「お金がないと始まらない」部分があるのも、たしかだと思います。

 アイデアなら、私もたくさんあります。しかしアイデアを「かたち」にするには、やはり、お金が制約になってしまうのが現実だと思います。



ある女子大教授の つぶやき」の「スパコン トップを目指して

スパコン

  次世代スーパーコンピューター「京(けい)」の組み立てが、神戸市の理研施設内で始まった。来秋の稼働時には計算速度で世界トップとなる見込みだが、その座は瞬間的なものだろう。10年前にはトップだった日本だったが、近年、スパコンは国力そのものを表すから、米国と中国は開発に必死になっているからだ。最新のスパコン性能ランキングでは、トップ10のうち8機種を米国勢が占める。その中で中国勢の躍進が目覚ましく、専業メーカー「曙光」のスパコンが初登場で2位に付けたほか、7位にも中国製品が入った。

富士通と理化学研究所との共同開発であるが、稼働時に「世界トップの性能」となり、計算速度は、現在の最速機種の5倍超に当たる1秒間に1京回(1京は1兆の1万倍)の実現を目標としている。費用は施設なども含め1000億円である。

ゲリラ豪雨のように短時間で変化する気象状況の予測や、最先端となる半導体材料や安価なバイオ燃料の開発、新薬の開発、ミサイルの軌道計算など幅広い分野で活用される計画である。理研は「日本の科学技術や産業の底上げにつながる」としているが、これまでに、どのような成果が出ているのか公表すべきである。そうしないから「どうしてトップを目指すのか」という疑問が出てくる。


 スパコン性能ランキングでは、近年、中国勢の躍進が目覚ましい。理研は「これまでに、どのような成果が出ているのか」公表すべきである。そうしないから「どうしてトップを目指すのか」という疑問が出てくる、と書かれています。



 べつにスパコンの分野にかぎらないと思いますが、

 「公費を受け取っているなら」研究者・研究機関の側も、もっと成果を公表して社会の理解を得る努力をすべきだと思います。それこそが、公費を受け取った者の責任ではないでしょうか。

 日本の科学技術、および日本経済の発展のためにも、成果の公開が望まれます (もちろん軍事関連の研究であれば、かならずしもこのかぎりではありません) 。



 なお、近年中国は分子生物学 (医療関連) の分野に米国を凌ぐ数のスパコン (というか、遺伝子配列解析機) を投入しているようです。そして出されつつある研究成果が……、

   日本人の先祖は中国人である!!

らしいです。最悪の場合、中国はこの研究成果をもとに、「日本 (全土) は中国の一部である」などと主張し始めるかもしれません。

沖縄県知事選の結果と、普天間移設問題の見通し

2010-11-29 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「沖縄知事選 「経済の仲井真」選択」( 2010年11月29日 )

 沖縄県民が選んだのは、「反基地」よりも経済振興だった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題や経済振興を争点に、28日投開票された同県知事選。経済活性化を掲げ、国とのパイプを強調した仲井真弘多さん(71)が、普天間の米領グアム移転と同県名護市辺野古への移設拒否を掲げた伊波洋一さん(58)を破った。「沖縄の更なる発展を目指す」。普天間の県外移設を主張しながら、選挙戦で触れるのは最小限にとどめた仲井真さん。当選後も経済問題に取り組む決意を強調した。

 午後10時過ぎ、仲井真さんの当選確実がテレビニュースで流れると、那覇市の事務所では「やったあ」と歓声が上がり、詰めかけていた支持者たちは喜びを爆発させた。すでに事務所入りしていた仲井真さんは笑顔で支持者たちとがっちり握手。バンザイとともに指笛が鳴り響いた。

 仲井真さんは「1期目の仕事ぶりが評価され、これから4年間の公約も理解していただいた。基地(問題)から解放され、地域の活力を生かした特色ある県にしていきたい」と語った。

 普天間移設問題では「沖縄での移設が難しくなった現在では、日本全国で解決(策)を見いだしてもらいたい」と持論を繰り返した。

 沖縄電力会長などを務めた仲井真さんは選挙戦で、地元振興策や雇用創出など経済政策を中心に訴えた。特に、沖縄振興特別措置法が来年度末で期限切れを迎えることから、代わりとなる新法制定の必要性を強調。実現に向けて政府とのパイプをアピールした。

 一方、普天間移設問題は「県外移設を政府に求める」などと簡単に触れる程度で、言及しないこともたびたびあった。陣営幹部は「普天間問題に関心が集中すると、伊波さんに負ける可能性があった。『争点外し』が成功した」と打ち明けた。


 沖縄県知事選で、仲井真弘多さんが当選した。同氏陣営幹部は「普天間問題に関心が集中すると、伊波さんに負ける可能性があった。『争点外し』が成功した」と打ち明けた、と報じられています。



 仲井真弘多さんは普天間飛行場の県外移設を主張されていますが、対立候補 (伊波洋一さん) はもっと強硬な県外移設派ですから、沖縄県民は「穏健な選択」をした、といってよいと思います。

 沖縄県民は「基地問題は重要だが、経済も重要。中央とのパイプを考えれば、仲井真さんが適任である」と判断したと解釈してよいのではないかと思います。



 ところで、選挙選において「『争点外し』が成功した」と仲井真陣営幹部が述べた、と報じられています。

 したがって、普天間移設問題について「沖縄での移設が難しくなった現在では、日本全国で解決(策)を見いだしてもらいたい」と仲井真氏は発言されているものの、「なにがなんでも県内移設反対」ではない、とみてよいと思います。

 とすれば、



時事ドットコム」の「県内「諦めた方がいい」=普天間移設で仲井真氏」( 2010/11/29-18:55 )

 沖縄県知事選で再選を果たした仲井真弘多氏は29日午後、那覇市内で記者会見し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設先は「県内にはもうない」と指摘し、「(政府は)県内移設はある意味でもう諦めた方がいい」と述べた。
 また、日米合意に基づき、政府が名護市辺野古周辺海域に移設する場合、県知事が埋め立てを許可することが必要となるが、仲井真氏は許可の可能性について「ほとんど不可能に近いものを埋め立てたいと言っても、これは(検討)対象にならない」と語った。


 沖縄県知事選で再選を果たした仲井真弘多氏は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設先は「県内にはもうない」と指摘し、「(政府は)県内移設はある意味でもう諦めた方がいい」と述べた、と報じられていますが、



 これはおそらく、「日本全国で解決(策)を見いだしてもらいたい」という知事の主張をちがう角度から表現したものではないかと思います。すなわち、「沖縄のみの問題としてではなく、日本全体の問題として日本中の人々に考えてもらいたい」という知事のメッセージなのではないかと思います。

 したがって、

   「日本全体の問題として、日本中の人々が真剣に考え始めれば」
       普天間移設問題は解決するのではないか、と予想されます。



 普天間移設問題は難しいので、いままでこのブログでは書いてきませんでしたが、まったく関心がないわけではありません。それどころか、大いに関心があります。

 上記、私の予想が正しいか否かはわかりませんが、「日本全体の問題として、日本中の人々が真剣に考え始め」なければならないことには変わりありません。また、「難しい問題とはいえ、『わからない』ですませてはならない」ことにも変わりありません。「沖縄のみの問題としてではなく、日本全体の問題として日本中の人々に考えてもらいたい」という仲井真沖縄県知事のメッセージを無視してはならないでしょう。

 私も、なにか書くべきではないかと思いました。そこで、私もささやかながら、考えつつブログに書いています。



 米軍基地の移設先については、「米軍」すなわち米国の意向も重要であり、日本側の事情のみで決めるわけにはいかないと思います。現実問題として、

   米国が「基地は沖縄に」と望んでいる以上、県外移設はあり得ない

と思います。そしてそのことを踏まえれば、

   日本中の人々が真剣に考え始めれば、
    (沖縄) 県内移設の可能性は「まだある」とみてよいのではないか

と思います。



時事ドットコム」の「「合意履行」「継続使用」両にらみ=普天間移設、日本側の調整注視-米」( 2010/11/28-23:41 )

 【ワシントン時事】沖縄県知事選で現職の仲井真弘多氏が再選されたことについて、オバマ米政権は懸案の米軍普天間飛行場移設が前進する余地が残ったと判断、当面は日本政府と地元の話し合いを見守る方針だ。一方で、今後も足踏みが続く可能性があるとみており、現飛行場の継続使用を想定した準備も進める両にらみの構えで臨む。
 米政府当局者は普天間問題について「日米合意を履行するか、海兵隊が今の場所に残るか、二つの選択肢しかない」と断言する。
 返還合意から約15年。一向に代替施設の着工に至らない現状に米側のいら立ちは募る。加えて、決着の遅れが同盟深化を妨げたとの不満があり、同当局者は「どちらの道を取るか、日本が決めることだ」と突き放す。
 普天間移設とセットと位置付けられた沖縄海兵隊グアム移転の予算をめぐり、米議会は今年、普天間問題で「目に見える進展がない」ことを理由の一つに挙げ、要求額を大幅カットした。
 海兵隊はグアムを沖縄、ハワイと並ぶ太平洋地域の拠点とする構想を持ち、順調に施設整備するには同問題の打開が必要。沖縄で反発の強い垂直離着陸輸送機MV22オスプレー配備も2年後に計画しており、人口過疎地の同県名護市辺野古への移設はできれば早期に実現したいのが本音だ。
 ただ、仲井真氏が県外移設を掲げ、選挙前より状況が厳しくなっているのは米側も認識している。米軍準機関紙「星条旗」(電子版)は最近、同氏当選でも「日米同盟は打撃を受ける」と報じた。
 海兵隊が先に策定した航空計画は、移設完了まで現飛行場を「100%運用できることが要求される」と主張。代替施設建設の遅れや頓挫に備え、老朽化した滑走路の改修や基地近代化のプロジェクトを列挙した。
 「普天間だろうが辺野古だろうが関係ない。沖縄に飛行場が欲しいのだ」。米軍関係者からはこんな声も漏れている。


 米政府当局者は普天間問題について「日米合意を履行するか、海兵隊が今の場所に残るか、二つの選択肢しかない」と断言する。米軍関係者からは「普天間だろうが辺野古だろうが関係ない。沖縄に飛行場が欲しいのだ」という声も漏れている、と報じられています。



 米政府・米軍は「沖縄」に飛行場がなければならない、と言っているのですから、「(沖縄) 県外」はあり得ない、とみなければならないと思います。どう考えても、移設先は「(沖縄) 県内」しかあり得ません。



 なお、次に引用する沖縄タイムスの記事は、じつは米国は沖縄基地を重視していない、と言わんばかりの主張をしています。しかし、その根拠となっているのが 1967 年の米国防長官の発言であり、いかにも古く、下記沖縄タイムスの主張には説得力がないと思います。



沖縄タイムス」の「[大弦小弦](2010年11月29日)」( 2010年11月29日 09時24分 )

 「沖縄基地は沖縄人や日本が考えているほど重要ではない」。1967年、マクナマラ国防長官が松岡政保主席に語ったことが、外交文書で明らかになった

 ▼一方の日本は沖縄が「最適の位置」として米軍基地の移転に否定的だったという。国際情勢への見方は時代によって異なるが、「沖縄に米軍基地が必要」と固執し続けているのは日本だった、ことをあらためて裏付けた

 ▼ほかにも67年の日米首脳会談直前、佐藤栄作首相が沖縄の早期返還を主張したことに対し外務省は難色を示した、と共同電は伝える。本土復帰は政治主導によって実現したということだ

 ▼そこで思い出すのが民主党の普天間問題への対応。「最低でも県外」と言った鳩山由紀夫元首相は「学べば学ぶほど」沖縄に米軍基地は必要、と前言を翻した。学ばせたのが官僚であることは間違いない

 ▼手ごわいのは、「政」より「官」の方だ、と過去は照らす。今後4年、県政を担うリーダーが、長きにわたって築かれた「官」をどう動かし変えていくか。一筋縄ではいかないが、強い信念と胆力が求められる

 ▼そして何より知事を支えるのが県民世論だ。今後「アメ」と「ムチ」の猛威が待っていよう。「アメ」に媚(こ)びぬ自立の力を育て、「ムチ」打たれても動じぬ独立の気概を忘れたくない。(平良哲)


労働力不足の解決策

2010-11-29 | 日記
兵頭二十八 『「自衛隊」無人化計画』 ( p.61 )

〈日本の高齢者介護のサービス業労働者の成り手が無いというのなら、一人当たりGDPの小さい諸国から若い外国人労働力を日本へ一〇〇〇万人くらい移民させてくればよい〉――という甚だ (はなはだ) 無責任な意見が聞かれることがあります。読者のみなさんは、こんな話に騙されては (だまされては) いけません。

(中略)

 日本の近隣には「近代国家」がありません。これはどういうことかというと、周辺国の国民と政府のあいだには伝統的に信頼関係がないのです。人民が人民を幸せにする国家のために「国防の義務」を負うという近代的合意がありません。
 たとえば「華僑」は、戦前も戦後も、多くの地域で、住民暴動のさいの攻撃のターゲットにされてきました。華僑はどこでもカネだけを稼いで、その居住国家の福祉のためには貢献していないと見られているためです。もし華僑がその居住国の有事の国防のために命を捧げてきたという歴史があったら、暴動の的にされることはないでしょう。
 戦後の在日韓国人の多くは、韓国政府に徴兵されるのを忌避 (きひ) して日本に逃亡してきた若者です (中薗英助氏著『在日朝鮮人』昭和四十五年、財界展望新社) 。現に共産軍の脅威にさらされている本国での国民の義務を果たさず、徴兵制のない日本でカネだけ稼いで楽しく暮らしたいという外国籍人に、日本社会は何を期待できるでしょうか?
 彼らの多くが日本国籍を取ろうともしないのは、「国民」には「国防の義務」がともなうことを了解しているからです。
 近代国民の権利は、近代共同体の義務と一体不可分です。「国防の義務」を負わない外国人には、参政権も与えられないのは民主主義の常識にすぎません。
 古代、参政権がなかったアテネの中産住民に初めて参政権が与えられたのも、サラミス海戦で軍船の漕ぎ手として中産住民が大きく貢献したことが認められたからでした。
 日本の男子普通選挙も、日露戦争で下層階級が死闘をしてみせたおかげで、実現することになったのです。
 国籍がどこであれ居住者を徴兵登録してしまう米国政府や、外人部隊を使いこなせるスキルを有する英国やフランスの政府ならば、無責任な移民たちに好き勝手をさせるような心配はないでしょう。
 しかし、「国防の義務」を占領軍の押し付けによって成文憲法から削除したまま、それを自主的に復活させることもできない日本政府では、自由主義的な寛容の精神につけこまれ、移民に特権を渡してしまうことは目に見えています。
 特権は、「法の下の平等」を崩壊させます。法の下の平等なくして、民主主義も自由主義もあり得ません。その先に来るものは「日本のシナ化」でしょう。
 ですから、徴兵嫌いの特定アジア人の「特権よこせ運動」は、そのまま、特定アジア諸国の政府発の間接侵略の梃子 (てこ) にもなり得るのです。
 それに、若年移民も四十年すぎれば高齢者です。その医療保険料や年金保険料は、いったい誰が負担するというのでしょうか?
 移民の大量受け入れは、日本が抱える諸課題に、何の解決にもなりはしません。それどころか、三十代後半でまだ一度も正社員になったことのない日本人失業者の、社会人しての潜在的生産力を、生涯にわたって枯死させてしまうでしょう。それが国民の福祉になると、みなさんは思いますか?
 経済的には、国民一人ひとりの生産性が悪化するし、国際政治的には、東洋随一の近代国家・日本の壊滅が誘導されるばかりでしょう。
 財務省や厚生労働省や輸出企業が移民に期待しているような役割は、ロボットが、完全に果たすことができるようになるのです。


 労働力不足を解消するために、移民に期待してはならない。日本国籍を取ろうともしない特定アジア人の移民が増えれば、日本が間接侵略されてしまう。労働力不足の解消には、ロボットを活用するのがよい、と書かれています。



 著者の主張には考えさせられるものがあります。しかし、いくつか問題があることも、たしかです。列挙すれば、次のような問題があると思います。

   (1) 移民といっても、南米の日系人 (日本人移民の子孫) もいる。
     移民イコール特定アジア人ではない。
   (2) 華僑が暴動のターゲットにされる理由は、
     本当に福祉・国防に貢献しないからか?
     たんに「外国語を話す者」に搾取されることへの不満ではないか?
   (3) 在日韓国人には、
     韓国で徴兵されるのを忌避して日本にきた若者のほかに、
     戦時中に強制連行されてきた韓国人の子孫もいるのではないか?
   (4) 参政権といっても、
     実際に問題となっているのは地方参政権である。
     地方参政権であれば、「国防の義務」とは無関係だとも解しうる。
   (5) 労働力としては、日本人失業者がいるではないか、というが、
     給与水準が異なるので同列には論じられない。
     移民は安い労働力として期待されているのであって、
     日本人失業者でも給与水準を問わないなら、仕事はある。
   (6) ロボットを活用するといっても、
     実用化はいつになるかわからない。
     それに対し、労働力不足は今現在の問題である。



 しかし、このような問題点はあるものの、著者の主張には一考の価値があると思います。というか、すでにロボット開発は始められているのではないでしょうか。

 問題は、「いつ、実用化されるか」に尽きるのではないかと思います。



 引用部分には含まれていませんが、著者はロボットの実用化を早めるために、自衛隊を活用せよ、と説いています。自衛隊の防衛力の一部として「国家予算で」ロボットを開発し、そのロボットを民生用に転用すればよい。日本の防衛力は強化され、景気対策にもなる、というのが著者の主張です。

 著者の主張を全体的にみれば、説得力があると思います。この主張は、私の主張に通ずるものがあります (「私の政策」参照 ) 。



 そこで次は、この本を引用しつつ考えます。

台湾の五大都市市長選結果

2010-11-28 | 日記
日本経済新聞」の「台湾、与党・国民党が勝利」( 2010/11/27 23:50 )

 【台北=新居耕治】台湾で27日、2008年春の総統選挙以来の大型選挙となる5大都市市長選が投開票され、中国との融和を志向する与党・国民党が北部の台北、新北、中部の台中の3市を制した。勝敗ラインとしていた3ポストを維持し、対中関係の改善を軸とする馬英九政権の政策がひとまず住民の信任を得た格好になった。

 5大都市の人口は台湾全体の6割を占め、二大政党は12年の次期総統選の前哨戦と位置付け臨んだ。台湾独立を志向する野党・民進党は南部の台南、高雄の2ポストを維持したうえ、全体の得票率で国民党を上回った。大敗した08年の総統選からの復調は鮮明で、政権奪還に望みをつないだ。

 国民党は選挙戦で、今年の実質域内総生産(GDP)が9.98%成長を実現する見通しになり、10月の失業率が約2年ぶりに5%を切るなど、経済運営での実績を誇示。欧州連合(EU)が台湾住民に対する査証免除を決めるなど、中国以外の各国と関係が深まっていることも強調した。

 一方、民進党は党綱領に掲げる台湾独立は主張せず、「改変」「New」など過去との決別を示すイメージを前面に押し出した。貧富の差の拡大や失業率の高止まりなどの経済問題に積極的に取り組む姿勢を訴えた。

 国民党の支持基盤である外省人(中国大陸出身者とその子孫)の比率が高い北部の2市では、民進党は台北に蘇貞昌・元行政院長(首相)、新北に蔡英文・党主席という大物を擁立。接戦の予想が大半だったが及ばなかった。

 26日に国民党の連戦名誉主席の長男が選挙集会で銃撃を受け重傷を負ったことで、同党支持者の投票意欲が高まった面もあるとみられる。

 一方、本省人(戦前からの台湾住民とその子孫)が多い南部の台南、高雄では、民進党候補が大差で勝利した。この結果、民進党の5大都市全体での得票率は50%に迫り、国民党を5ポイント超上回った。


 台湾の五大都市市長選で、与党の国民党が台北・新北・台中を制したが、総得票率では民進党が優った、と報じられています。



 結果は3対2で国民党の勝利ですが、総得票率では民進党が勝利した、という「あいまい」な結果になっています。

 与党の国民党と野党の民進党。どちらも「経済」を前面に出して選挙を戦ったわけですが、

 国民党の「今年の実質域内総生産(GDP)が9.98%成長を実現する見通しになり、10月の失業率が約2年ぶりに5%を切るなど、経済運営での実績」にもかかわらず、民進党が復調しつつあるということは、おそらく、

   国民党の親中政策 (と、それにともなう経済成長) に対して、
   台湾では危機感が高まっているのではないか、

と推測されます。

 「国民党の連戦名誉主席の長男が選挙集会で銃撃を受け重傷を負った」原因が何か、わかりませんが、これも反中感情の現われではないかとも思われます。

 あとで引用する現地台湾での報道によれば、高雄・台南では民進党が圧勝し、台中でも民進党が国民党に肉薄しています。



 この選挙結果をどうみるか、ですが、

 国民党の最大の実績である「経済」が評価されなかった、といってよいのではないかと思います。

 したがって国民党・馬英九総統としては、今後、中国に対してすこし距離を置く政策を採らざるを得ないのではないかと思います。すくなくとも、その方向で政権運営をしなければ、国民党は次の選挙 (総統選) で厳しい戦いを強いられると思います。

 つまり、実質的には野党の民進党が勝利した、といってよいと思われます。



 台湾は中国に対して、今後、微妙に距離を置き始めるのではないかと予想されます。



聯合新聞網」の「五都席次藍營保3 營總票數贏40萬」( 2010/11/28 )

台灣地方自治史上頭一遭的五都市長選舉昨晚底定,結果藍三二,台北市、新北市、台中市依舊「藍天」,高雄市、台南市維持「地」;藍營席次贏了一席,總得票數營卻贏了四十萬票。

中選會主委張博雅昨晚宣布選舉結果,國民黨台北市長當選人郝龍斌以七十九萬七八六五票,擊敗對手蘇貞昌的六十二萬八一二九票;國民黨新北市長當選人朱立倫以一百十一萬五五三六票,小贏對手蔡英文的一百萬四九○○票;國民黨台中市長當選人胡志強以七十三萬○二八四票,險勝蘇嘉全的六十九萬八三五八票。

民進黨高雄市長當選人陳菊以八十二萬一○ 八九票,壓過對手楊秋興的四十一萬四九五○票與黃昭順的三十一萬九一七一票,兩人票數相加也無法擊敗陳菊。

民進黨台南市長當選人清六十一萬九八九七票,輕取對手郭添財的四十萬六一九六票。

在五都市議員部分,國民黨、民進黨各獲一百三十席,打成平盤,其他政黨則有五十四席。

投入高雄市議員選戰的前總統陳水扁之子陳致中,以三萬二千九百四十七票獲得前鎮、小港區最高票。

因陽光露臉,五都市長投票率達百分之七十一點七五,其中台北市有百分之七十點七,新北市有百分之七十一點三。國民黨共得三百三十餘萬票,得票率百分之四十四點五四;民進黨拿下三百七十餘萬票,得票率百分之四十九點八七,民進黨比國民黨多得四十萬票。

國民黨主席馬英九昨晚並未現身黨中央記者會,秘書長金溥聰轉述馬英九談話,以「勿驕勿餒、團結一心、堅持改革、深化民主」,與同志共勉,對國民黨總得票數落後表示警。

民進黨主席蔡英文則強調,這次選舉並非一無所獲,「民眾對民進黨的信心已經回來了」。


我就是我

2010-11-26 | 日記

 ときどき私は、中国語のタイトルを設定しています。個人的な心情などを書くときに、中国語のタイトルを用いることが多いです。

 今回のタイトル、「我就是我」も中国語です。日本語に訳せば、「私は私」です。



 じつは昨日、ずっと気になっていた人に「だんだんあなたを好きになりました」と伝えました。このままだと (伝えないままだと) 、騙すことになってしまわないか、と思ったのです。「気持ちは知っておいてほしい」というのが、いまの私の気持ちです。それ以上のことは望んでいません。

 どうなるか、結果はわかりません。不安でいっぱいです。



 というわけで、今日は更新をお休みします。いただいたコメントには目を通しています。土曜か日曜にはご返事し、更新も再開します。