アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.219 )
税率が高いと、優秀な頭脳の持ち主が逃げ出す。個人所得税の安い州では、高い州よりも経済活動が活発であり、雇用増加率も高い。「相対的な限界税率は、州の相対的な成長率と、統計的に有意な負の相関関係にある」と書かれています。
引用文中の「表8・1」は、下の表です。table タグを書くのが面倒なので (しかもこのブログではなぜかレイアウトが乱れるので) 、適当に空白で区切って引用します。
表8・1 個人所得税の最高税率が
高い州・低い州ベストナイン
(但し書きのない限り、1997~2007年の実績)
最高税率 個人所得 人口 雇用
増加率 増加率 増加率
アラスカ 0% 68% 12% 18%
フロリダ 0% 89% 20% 25%
ネバダ 0% 119% 45% 45%
ニューハンプシャー
0% 68% 11% 14%
サウスダコタ 0% 65% 7% 15%
テネシー 0% 64% 12% 8%
テキサス 0% 91% 21% 20%
ワシントン 0% 74% 14% 17%
ワイオミング 0% 97% 7% 28%
(上記9州の平均) *
0% 82% 17% 21%
(下記9州の平均) *
9% 62% 7% 11%
ケンタッキー 8% 60% 7% 9%
ハワイ 8% 62% 6% 17%
メーン 9% 60% 5% 11%
オハイオ 9% 44% 2% 1%
ニュージャージー
9% 62% 6% 9%
オレゴン 9% 61% 13% 13%
バーモント 10% 66% 4% 10%
カリフォルニア
10% 77% 13% 16%
ニューヨーク
11% 64% 3% 8%
* 平均値は単純平均である。(←但し書き)
たしかにこの表を見ると、最高税率が高ければ、所得増加率も雇用増加率も低い、という傾向が見て取れます。したがって、著者の主張、税金が安いほど経済成長が活発になり、雇用も増える、という主張は、認めてよいと思います。
しかし、カリフォルニアは凄いですね。10%もの税率 (全米2~3位の高税率) であるにもかかわらず、個人所得が77%も増加し、雇用が16%も増えています。この数字は、税率が0の州の数字と比較して、遜色がありません。「カリフォルニアからの人口流出」は気にするほどのこともない、とも考えられますが、カリフォルニアの税金が安ければ、個人所得も雇用も、もっと増えていたはずであると考えられますので、高税率であるにもかかわらず税率0の州と遜色ない経済成長を遂げていることをもって、カリフォルニアの経済政策が「正しい」ことにはならないこと、もちろんです。
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じつは増税で人口を失った州は、カリフォルニアのほかにもたくさんある。ある州から別の州への人の移動は、州の経済政策に対する評価の表れとみなすことがでできる。この一〇年間で、記録的な数のアメリカ人が州境を越えて移動した。たとえば二〇〇七年だけで八〇〇万人が別の州に引っ越しており、一日当たりに換算すれば、毎日二万人が移動している計算だ。その多くが、暮らしやすい生活環境や成功のチャンスを求めている。読者がこの章を読み終えるまでにも、およそ五〇〇人が別の州に移動していることだろう。フォーブス誌の発行人リッチ・カールガードが「二一世紀で最も貴重な自然資源は、頭脳である。優秀な頭脳の持ち主は、移動する。その行き先に注意すべきだ。彼らが行くところには、活発な経済活動が付いていく」(*22)と言っているが、まったくそのとおりである。
リベラル寄りの北東部州、続いて古い産業と組合が幅を利かせる中西部州は、人材という最も貴重な資源を日々失っている。北東部州の発展を支えるべき人材が減り続けていく状況を見れば、政治家の無責任な政策が何を引き起こすかは一目瞭然だ。これらの州の指導者は、何年も高い所得税を課し、労働組合法を押しつけ、野放図に支出を膨張させた。それでも誰も出て行きはしないと自信があったのだろうが、実際には五〇〇万人が州外に転出して政策に「ノー」を突きつけている。
所得税率が最も高い部類に属すカリフォルニアとニューヨークは、所得税ゼロのテキサスやフロリダに比べれば、明らかに分が悪い。表8・1に示すとおり、こうした税金の安い州では、税金が高い州よりも経済活動が活発である。アトランタ連銀が一九九六年に発表した調査報告書には、「相対的な限界税率は、州の相対的な成長率と、統計的に有意な負の相関関係にある」と書かれている(*23)。平たく言えば、こうだ。税金が高いと経済は縮こまる。
税率が高いと、優秀な頭脳の持ち主が逃げ出す。個人所得税の安い州では、高い州よりも経済活動が活発であり、雇用増加率も高い。「相対的な限界税率は、州の相対的な成長率と、統計的に有意な負の相関関係にある」と書かれています。
引用文中の「表8・1」は、下の表です。table タグを書くのが面倒なので (しかもこのブログではなぜかレイアウトが乱れるので) 、適当に空白で区切って引用します。
表8・1 個人所得税の最高税率が
高い州・低い州ベストナイン
(但し書きのない限り、1997~2007年の実績)
最高税率 個人所得 人口 雇用
増加率 増加率 増加率
アラスカ 0% 68% 12% 18%
フロリダ 0% 89% 20% 25%
ネバダ 0% 119% 45% 45%
ニューハンプシャー
0% 68% 11% 14%
サウスダコタ 0% 65% 7% 15%
テネシー 0% 64% 12% 8%
テキサス 0% 91% 21% 20%
ワシントン 0% 74% 14% 17%
ワイオミング 0% 97% 7% 28%
(上記9州の平均) *
0% 82% 17% 21%
(下記9州の平均) *
9% 62% 7% 11%
ケンタッキー 8% 60% 7% 9%
ハワイ 8% 62% 6% 17%
メーン 9% 60% 5% 11%
オハイオ 9% 44% 2% 1%
ニュージャージー
9% 62% 6% 9%
オレゴン 9% 61% 13% 13%
バーモント 10% 66% 4% 10%
カリフォルニア
10% 77% 13% 16%
ニューヨーク
11% 64% 3% 8%
* 平均値は単純平均である。(←但し書き)
たしかにこの表を見ると、最高税率が高ければ、所得増加率も雇用増加率も低い、という傾向が見て取れます。したがって、著者の主張、税金が安いほど経済成長が活発になり、雇用も増える、という主張は、認めてよいと思います。
しかし、カリフォルニアは凄いですね。10%もの税率 (全米2~3位の高税率) であるにもかかわらず、個人所得が77%も増加し、雇用が16%も増えています。この数字は、税率が0の州の数字と比較して、遜色がありません。「カリフォルニアからの人口流出」は気にするほどのこともない、とも考えられますが、カリフォルニアの税金が安ければ、個人所得も雇用も、もっと増えていたはずであると考えられますので、高税率であるにもかかわらず税率0の州と遜色ない経済成長を遂げていることをもって、カリフォルニアの経済政策が「正しい」ことにはならないこと、もちろんです。
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