今日の構造改革のなかで懸念の一つは、デフレ容認型サプライサイド改革です。それは、アメリカでは意味がありました。常に需要超過の状況ですから、サプライサイドを改革するのが大事だったのです。消費欲旺盛の反面、サプライサイド、つまり産業の競争力が弱かった。だから輸入も増えて貿易赤字になります。それが、双子の赤字の背景であり、それがまた失業の背景でもあるのです。だから、サプライサイド改革をして国内産業の競争力と供給力を強化することが極めて大切な政策であり、意味があったのです。
ところが日本では、むしろ逆です。資産デフレの直撃がまずあったのです。日本の企業の競争力がなくなって、失業が増加し、それが消費を減退させて不況を招いているわけではありません。国際的な大競争のなかで苦戦しているとはいえ、なお貿易黒字を維持しています。供給力がそんなに衰えているわけではない。サプライサイドがダメだから、外国企業に日本の市場も席巻され、また外国の市場で負けているわけではありません。
(中略)
サプライサイド改革を推進するときは、一方で需要対策も必要だということです。
日本の状況は、アメリカの状況とは違う、と書かれています。
引用文には、いまの状況には当てはまらないと思われる部分もありますが、
「構造改革のなかで懸念の一つは、デフレ容認型サプライサイド改革です。それは、アメリカでは意味がありました。常に需要超過の状況ですから、サプライサイドを改革するのが大事だったのです。」には、説得力があります。
ただし、結論は、サプライサイド改革も必要、となっています。