アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.68 )
引用文中の (中略) は、私が省略したものではありません。原文そのものに (中略) と書かれています。以下の引用文中に (中略) とあるのは、私が省略した部分です。
同 ( p.78 )
減税をすると、かえって税収が増えることを、実例をまじえて説明されています。
今回引用した部分に書かれていることは、要するに「富裕層に対する減税の是非」・「ラッファー・カーブ理論」で引用した部分に書いてある内容と同じですが、
減税が税収を増やす (可能性がある)
というのは重要なポイントであるにもかかわらず、感覚的に理解しづらいところがあると思われるので、引用しています。
このような趣旨で引用しているために、あらたな(私の)主張・検討は加えていません。
本来、引用とは自分の意見・主張を述べるために行うべきものですが、過去の2記事、すなわち「富裕層に対する減税の是非」・「ラッファー・カーブ理論」と一体となり、補強するための引用なので (全体的にみれば) 自分の意見・主張を述べていると捉えていただければと思います。
強硬な減税反対論者に対して誰よりも熱弁を振るったのは、ほかならぬケネディ大統領自身だった。
「いまわれわれが迫られている選択は、減税をするか、財政赤字の拡大を防ぐか、ということではない。(中略) 税収が頭打ちになったままずるずると慢性的赤字を続け経済を萎縮させるか、それとも税収拡大と将来的な財政黒字をめざして減税を断行し、経済を刺激し、過渡的な赤字はやむなしと考えるか、という選択なのだ。前者の赤字は無駄であり、後者の赤字は未来への投資である」(*3)
なんという説得力。しかもこの言葉は、今日でも真実である。
引用文中の (中略) は、私が省略したものではありません。原文そのものに (中略) と書かれています。以下の引用文中に (中略) とあるのは、私が省略した部分です。
同 ( p.78 )
ロナルド・レーガンは、のちに大統領選挙に出馬したとき、次のように語っている。「所得税率が九〇%にも達していて、自分がその最高税率を適用されるとわかったら、働く気などなくなってしまう。映画なんて、やめだ。一ドル稼ぐたびに九〇セント政府にとられるような仕事は一切やりたくない」。
(中略)
ケネディが大統領に就任した一九六一年、所得税の最高税率は九一%、最低税率は二〇%だった(*20)。考えてみてもほしい。高い報酬を手にしたら、あるいは商売で大きく儲けたら、一番上の所得階層区分に相当する分は一ドルにつき九一セントを国に献上しなければならない。手元に残るのはたった九セントである。こうなったら、がんばってもっと稼ごうという気にならないのは当然であろう。ジョン・ケネス・ガルブレイスをはじめとする経済顧問の多くは、需要を喚起し雇用を創出するためには政府支出を増やす必要があるとケネディに助言した(*21)。だがケネディは、最後は自分自身で決断を下す。この若い大統領は人間というものがよくわかっていたし、過去の歴史からも学んでいた。アメリカ経済をトップギアに切り替えるためには、減税がベストだと知っていたのである。一九六三年にエコノミクス・クラブ・オブ・ニューヨークで講演した際に、ケネディは次のように語った。「逆説的に聞こえるかもしれないが、現在の税率は高すぎ、税収は少なすぎる。長い目で見て税収を増やす最も健全な方法は、減税なのだ。高い税金に圧迫されている経済は、十分な雇用も利益も生み出せず、したがって財政を均衡させられるだけの税収をもたらすことは未来永劫できない」(*22)
このようにケネディは成長を促す政策とは何かを本能的に知っており、それを就任早々明確に示した。現代のサプライサイド経済学を理解していた最初の大統領は、ケネディだったと言えよう。しかし減税が一九六四年初めに法制化される数カ月前に、大統領は悲劇的な死を迎えたのだった。ケネディ減税によって、個人所得の最高限界税率は一九六五年までに九一%から七〇%に引き下げられ、同時に最低税率も引き下げられた(*23)。
ちなみに経済学者が使う「限界税率」という言葉は、所得の最後の一ドルに適用される税率を意味する。所得税が累進課税であれば、限界税率は所得が増えるにつれて上昇する。最初の五万ドルには二〇%、次の五万ドルには三五%という具合である。
ケネディの減税案は、議会で数カ月かけて議論された。先ほども述べたが、皮肉にもこのときこぞって反対したのは共和党、大賛成したのは民主党だった。熱心に支持を訴えたのは、下院歳入委員会の委員長ウィルバー・ミルズである。ミルズが下院本会議場で行った演説は、ぜひともここに引用しておかねばなるまい。と言うのも、経済通の著名な民主党議員が、減税は税収を増やすと主張した貴重な例だからである。
「議長閣下、この減税法案に国民総生産を今後数年間で五〇〇億ドル増やす効果があることは、疑う余地がありません。国民総生産が拡大すれば、税率が低くなっても、税収は少なく見積もっても一二〇億ドル増えると考えられます」(*24)
そしてミルズは予言した。減税が経済成長を促す効果として、「所得の拡大により税収が増加し、減税を行わない場合よりも早く連邦予算は均衡化するでありましょう」と(*25)。
ケネディもミルズも正しかった。税金の重圧が和らぐと、アメリカ経済のエンジンは再び回転し始める。一九六四年、六五年、六六年と、経済はハイペースで成長した。失業率は、平時としては過去三〇年間で最低の水準まで下がる(*26)。「アメリカ史上最も大幅な減税に続く驚くべき税収増を目の当たりにして、減税を強力に推進した政治家ですら驚いている」(*27)と一九六六年のUSニュース・アンド・ワールド・レポートには書かれているが、冗談を言ってはいけない。リンドン・ジョンソン大統領の首席経済顧問を務めたアーサー・オーカンは、減税による景気刺激効果をちゃんと計算している。「一九六四年の減税は、翌六五年半ばまでに二五〇億ドル、六五年末までに三〇〇億ドルのGNP押し上げ効果をもたらしている。最終的にはGNPを三六〇億ドル増加させると考えられる」(*28)。忘れないでほしい、これは一九六六年のことで、当時のアメリカ経済は現在の五分の一の規模だった。当時の三六〇億ドルは、GNPのじつに一〇%に相当する。
さらに刮目すべきは、減税が納税分布に与えた影響である。富裕層に適用される税率が引き下げられた結果、この層が納めた税金が税収総額に占める割合は増えたのである。年間所得五万ドル(今日の二〇万ドルに相当する)以上のアメリカ人が納めた税金は、減税実施後に四〇%近く増えた。税収総額に占める割合は、一九六三年には一二%だったのが、六六年には一五%になっている(図3・3参照)。また年間所得一〇〇万ドル以上の富裕層が納めた税金は、二倍近くになった。税率が九一%だった一九六二年には三億一一〇〇万ドルだったのが、七〇%になった六五年には六億三〇〇万ドルに増えている(*29)。
減税をすると、かえって税収が増えることを、実例をまじえて説明されています。
今回引用した部分に書かれていることは、要するに「富裕層に対する減税の是非」・「ラッファー・カーブ理論」で引用した部分に書いてある内容と同じですが、
減税が税収を増やす (可能性がある)
というのは重要なポイントであるにもかかわらず、感覚的に理解しづらいところがあると思われるので、引用しています。
このような趣旨で引用しているために、あらたな(私の)主張・検討は加えていません。
本来、引用とは自分の意見・主張を述べるために行うべきものですが、過去の2記事、すなわち「富裕層に対する減税の是非」・「ラッファー・カーブ理論」と一体となり、補強するための引用なので (全体的にみれば) 自分の意見・主張を述べていると捉えていただければと思います。