言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

放射性物質拡散予測の公表自粛要請

2011-04-03 | 日記
 「日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった」と報じられています。



 「予測」という「不確実性を伴う情報を提供すること」はよくない、国の公式見解のみを公表すべきだ、という趣旨のようですが、

   本来、予測とは不確実なもの

ですから、このような主張は「おかしい」と考えるべきだと思います。



 これでは、かえって「本当は放射性物質が拡散しつつあるから隠したいんだな」という憶測を生んでしまいます。



asahi.com」の「放射性物質予測、公表自粛を 気象学会要請に戸惑う会員」( 2011年4月2日 )

 福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。

 文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたずら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。

 新野さんによると、事故発生後、大気中の放射性物質の広がりをコンピューターで解析して予測しようとする動きが会員の間で広まったことを危惧し、文書を出した。

 情報公開を抑える文書には不満も広まり、ネット上では「学者の言葉ではない」「時代錯誤」などとする批判が相次いだ。「研究をやめないといけないのか」など、会員からの問い合わせを受けた新野さんは「研究は大切だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法ではない。社会的影響もあるので、政府が出すべきだと思う」と話す。

 だが、今回の原発事故では、原子力安全委員会によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算の発表は遅すぎた。震災発生から10日以上たった23日に発表したときには、国民に不安が広まっていた。

 気象学会員でもある山形俊男東京大理学部長は「学問は自由なもの。文書を見たときは、少し怖い感じがした」と話す。「ただ、国民の不安をあおるのもよくない。英知を集めて研究し、政府に対しても適切に助言をするべきだ」

 火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵されている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話している。(鈴木彩子、木村俊介)


東京電力の福島第一原発7~8号機増設計画

2011-04-03 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「東電が「原発増設計画」…福島県は反発」( 2011年4月3日01時51分 )

 東京電力が、福島第一原発事故後に国へ提出した電力供給計画に、第一原発7、8号機の増設を盛り込んでいたことが2日、わかった。

 第一原発事故では、福島県内の土壌などから高濃度の放射性物質が検出されており、同県は「県民感情として(増設は)受け入れられない」と反発している。

 供給計画は、電気事業法で、電力会社が電力需要などを見込んで年度末に資源エネルギー庁に届け出ることが義務付けられている。

 東電側は1995年度の供給計画から7、8号機の増設を盛り込んでおり「提出した後に修正するつもりだった」と説明している。

 同庁によると、提出された供給計画には、地震の被害を踏まえたうえで、精査して再提出するとの文言が含まれているという。




 「東電は福島第一原発を維持したいらしい」での私の推測、

   東京電力はなお、
    計画中の福島第一原発7~8号機は建設したいらしい、

は当たっていたようです。



 おそらく、東京電力の主張する「提出した後に修正するつもりだった」は本当でしょう。電力供給に責任をもつ東京電力としては、「盛り込まないわけにはいかなかった」のではないかとも思われますが、

 同時に、(東京電力の役員には) 会社の置かれている状況がわかっていないのではないかとも思われます。



 関連記事を引用しておきます。



毎日jp」の「東日本大震災:菅首相、原発計画「見直し」」( 2011年4月1日 )

 菅直人首相は31日、来日したフランスのサルコジ大統領との共同記者会見で、原発を30年までに14基以上新増設するとした政府の「エネルギー基本計画」に関し、「どういうエネルギー政策を進めていくか、改めて議論する必要がある」と述べ、再検討する考えを示した。首相は共産党の志位和夫委員長との同日の会談でも「見直しを含めて検討する」と語り、計画通りの増設は事実上、困難との認識を示した。

 昨年6月に策定された基本計画は、エネルギー自給率を30年に倍増させることを目標に原発の新増設推進を打ち出した。これについて志位氏は「到底、国民の理解を得られない」と指摘。首相は「見直しを含めて検討する。エネルギー政策全般を検討したい」と応じたという。また、志位氏が新しい安全基準による全国の原発の総点検を提案したのに対し「根本的に安全性の議論が必要だ」と検討を約束した。【中田卓二】




テレ朝 news」の「【原発】「5・6号機も廃炉」枝野官房長官」( 03/31 05:50 )

 枝野官房長官は福島第一原発の5号機と6号機について、「客観的状況ははっきりしている」として、廃炉すべきだとの見解を示しました。

 枝野官房長官:「(Q.1号機から4号機については東京電力も廃炉ということでおっしゃっていますし、5号機、6号機については)客観的状況として、ある意味でははっきりしているんじゃないかと私は思っておりまして、私から改めて申し上げるまでもない」
 福島第一原発をめぐって、東京電力の勝俣会長は、1号機から4号機は廃炉にせざるを得ないという認識を示していますが、枝野長官は、5号機、6号機についても廃炉すべきだという考えを示しました。
 一方、事故への対応で、海江田経済産業大臣は、一部の作業員の拠点を自衛隊や消防の前線基地となっている福島県広野町の施設に置く体制にしたことを明らかにしました。これで自衛隊などと連携した機動的な運用が可能になり、作業の効率性アップが期待されます。


「安全宣言」は時期尚早

2011-04-03 | 日記
 「放射性物質の流出阻止は数カ月後が1つの目標」である以上、現段階での「安全宣言」は時期尚早(じきしょうそう)だと考えなければなりません。



毎日jp」の「東日本大震災:「鹿島灘の魚は安全」 組合会長宣言、風評被害を危惧 /茨城」( 2011年4月3日 )

 「鹿島灘の魚は安全です」。鹿島灘の魚から食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質が出なかったという検査結果を受けて、「鹿島灘漁業権共有組合連合会」(鹿嶋市)の小野勲会長が2日会見し、「安全宣言」をした。ただ、加工品の風評被害が出始めており、漁業再生への道のりは険しい。

 連合会には大洗町、鹿島灘、はさきの3漁協が所属している。県環境放射線監視センターの分析では、それぞれ1キロあたり▽イカナゴ(大洗町沖)66ベクレル▽カタクチイワシ(同)30ベクレル▽ハマグリ(鹿嶋市沖)19ベクレル▽サヨリ(同)11ベクレル▽マコガレイ(神栖市沖)3ベクレル▽ヒラメ(同)検出されず--となった。いずれも、1キロあたり500ベクレルの暫定規制値を大幅に下回る。放射性ヨウ素については規制がないため調べていないという。

 鹿島灘漁協組合長も務める小野会長は、福島第1原発から流れる汚染水について「不安はあるけど、こちらまで来ないと思う。明日から胸を張って出船できる」と胸をなでおろす。先週から、一部の漁船は千葉県銚子沖で漁を再開。だが、茨城沖での操業は安全性が未確認なうえ、魚の買い手もつかないため見送っていた。出漁のタイミングについて、小野会長は「業者が魚を買ってくれなければ漁には出られない」として、仲買人や千葉県の市場などと協議する考えだ。

 県水産加工業協同組合連合会によると、加盟する加工業者が震災後に客から「原料が今取れたものではないという証明書がほしい」「放射性物質が含まれていない証明書がほしい」などと注文をつけられるケースが出ているという。同会は「茨城沖ではまだ出漁していないから、震災前に水揚げされた原料であるのは明らかだ。風評被害は増えるかもしれない」と危惧する。

 小野会長は「震災だけなら船や港が直れば出船できるが、原発のダメージが大きい。茨城の魚は警戒されている」と表情は険しい。県内の漁港は高さ3~7メートルの津波に襲われ、船が転覆し、市場など漁港設備が壊れた。小野会長は「漁師は余裕がない。みんな原発に怒っている」とまくしたてた。【原田啓之】


 鹿島灘の魚から食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質が出なかったという検査結果を受けて、「鹿島灘漁業権共有組合連合会」(鹿嶋市)の小野勲会長が2日会見し、「安全宣言」をした、と報じられています。



 「安全宣言」の根拠は、「県環境放射線監視センターの分析」では「食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質が出なかった」という結果が出たこと、ですが、それは「現段階では」安全だというにすぎず、

   今後、汚染の拡大とともに危険になる可能性がある

以上、「安全宣言」をするには早すぎると言わざるを得ないと思います。



 また、「(漁業者の)風評被害を危惧」する気持ちはわかりますが、「(消費者の)健康被害を危惧」する気持ちがあるなら、この時期に「安全宣言」など出すべきではないでしょう。



毎日jp」の「放射性物質:風評被害作物も「補償の対象に」…鹿野農相」( 2011年3月25日11時10分 - 最終更新 3月25日11時29分 )

 鹿野道彦農相は25日の閣議後会見で、東京電力福島第1原子力発電所の事故による農産物の放射能汚染について「事故との間に相当の因果関係が認められれば補償の対象になる」と述べ、政府が指示した出荷制限などによる直接的な損害に加え、対象品目外の農産物が風評被害のため販売できなくなった場合なども、東電や政府による補償の対象になりうるとの考えを明らかにした。

 原子力災害の風評被害をめぐっては、99年に茨城県で起きた核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で補償が行われた前例がある。【行友弥】




 国は、「風評被害」の場合であっても補償の対象になりうる、と言っているのであり、そもそも、「(自分達漁業者の利益のために)風評被害を危惧」するなど、論外ではないでしょうか。

 「(消費者の)健康被害を危惧」する気持ちにはなれないのでしょうか?



 消費者に「冷静な対応」を呼び掛ける声は目立ちますが、どちらかといえば、業者に「冷静な対応」を呼び掛けるべきではないかと思われます。



■関連記事
 「放射性物質の検査は偏っていないか

放射性物質の流出阻止は数カ月後が1つの目標

2011-04-03 | 日記
日本経済新聞」の「放射性物質の流出阻止「数カ月後が目標」 細野補佐官 福島第1原発の事故」( 2011/4/3 10:38 )

 細野豪志首相補佐官は3日午前のフジテレビ番組で、東京電力福島第1原子力発電所2号機の取水口付近から高い放射線量の水が海に流出したことについて「新しい専門部隊を送り、高分子ポリマーを注入する作業に入る。何としても(流出を)止めたい」と述べた。空気中や海への放射性物質の流出を止めるメドについては「数カ月後が1つの目標になる」との見通しを示した。一方で使用済み核燃料の処理は「使用済みの燃料が1万本以上あるので相当時間がかかる」と指摘した。

 細野補佐官は政府と東電の統合連絡本部で福島第1原発事故の対応に当たっている。原発周辺の海への影響に関しては「モニタリングをしっかりやることが重要だ。東電にも指示を出し、海上保安庁にも(モニタリングを)やってもらう。どういう影響があるのか早急に調べて公開したい」と番組終了後、記者団に語った。


 細野豪志首相補佐官は、「放射性物質の流出阻止は数カ月後が1つの目標になる」との見通しを示した、と報じられています。



 とすると、



YOMIURI ONLINE」の「福島第一原発、廃炉は数十年がかり」( 2011年3月31日09時21分 )

 危機的な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所1~4号機。

 東電の勝俣恒久会長は30日、これら4基を廃炉にする方針を示したが、喫緊の課題は、原子炉の冷却や放射能に汚染された大量の水の処理だ。廃炉に持ち込むには長い時間がかかり、専門家は「すべてを終わらせるには数十年がかりの作業になる」と指摘する。

 ◆短期的課題

 目の前にある最大の課題は、高濃度の放射能に汚染された大量の水処理だ。作業用トンネル(トレンチ)にたまっている汚染水だけで、計約1万3000トン。このほか、量は不明だが、タービン建屋の地下にある大量の汚染水も除去しなくてはならない。

 汚染水を除去できれば、原子炉本来の効率的な冷却機能復活への道が開ける。しかし、現状では汚染水に阻まれ、原子炉の制御機器を動かす外部電源ケーブルすら敷設できていない。

 内部の放射線が強すぎて機器の修理ができなかったり、汚染水の排水ができなかったりして、電源が回復しないといった事態も想定される。漏えいが続くと、一時的な保管場所にしている外部タンクでは間に合わなくなる。関係者から「新たな貯蔵場所を、早急に確保しなければならない」という意見が出ているのには、こうした背景がある。

 汚染水を除去できたとして、同原発からの放射性物質の大量放出を止め、安全な状態に持ち込むには、原子炉を「冷温停止」と呼ばれる段階にする必要がある。杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話す。廃炉に向け、核燃料をさらに冷やして取り出せる状態にするには、さらに数年はかかりそうだ。

 一方、仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと事態はより深刻になる。海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測する。このシナリオだと、水の注入量は増え、汚染水も増える。

 ◆長期的課題

 最終的な廃炉には、数十年の時間がかかる。国内の商用原発として、初めて廃炉作業に入った茨城県の日本原子力発電東海発電所では、1998年の営業運転終了後、2021年までかけて段階的に進めている。

 廃炉は、燃料を取り出し、放射線量の低減を待つ。この間、発電機など汚染の少ない設備を先に解体、最後に原子炉の鋼鉄容器などを切断し地下深くに埋める。現在は熱交換器などの撤去作業中だ。

 しかし、原子炉や建屋が破損した福島第一原発の例では、こうした通常の手順通りに解体できるか疑問だ。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「今回は汚染低減作業に非常に手間がかかる。廃炉は恐らく20~30年では終わらない」と語る。


 杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話しているが、海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「(仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと) 核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測している、と報じられています。



 今回の場合、「外部電源で本来の冷却装置を動かす」ことが困難だ、ということだと考えられます。仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと予想されるので、
細野豪志首相補佐官は、放射性物質の流出阻止は数カ月後が1つの目標になる」との見通しを示した (最初に引用した報道)
と考えられます。

 冷温停止になったところで、新たに放射性物質が漏れなくなる(と考えられる)のみで、すでに漏れてしまった放射性物質の除染作業は残されていますので、

   冷温停止まで数か月

   除染完了まで数年

   廃炉は恐らく20~30年では終わらない

と予想されている、とみてよいと思います。