「CNN.co.jp」の「米下院 人民元安に対抗する相殺関税法案を可決」( 2010.09.30 Thu posted at: 12:10 JST )
中国が人民元レートを不当に低く抑えていることに対抗するため、米下院は、圧倒的多数で「自国通貨の相場を低く抑えている国からの輸入品に相殺関税を課すことを可能にする法案」を可決した、と報じられています。
上記では、「中国は今年、人民元の対ドル相場の変動幅を拡大すると発表したが、その後人民元レートはほとんど上昇しておらず、米国内で批判が高まっていた。」と報じられていますが、要は、
中国は「のらりくらり」と時間稼ぎをしている
とみて間違いないと思われます。すなわち、「中国の政策スタンス」で述べた予測、すなわち、中国は「実質的なドルペッグ制をやめる気はない」という予測は、当たっていたとみてよいと思います。
そしてまた、中国は「アメリカに金融緩和 (ドル安政策) をやめさせたいのではないか」という推測についてですが、これが当たっているか否かはともかく、
米国の態度 (ドル安政策) も、変わらないと予想されます。
「毎日 jp」の「バーナンキFRB議長:金融緩和政策、効果が見えず」( 2010年9月26日 )
バーナンキ議長は、「必要なら追加緩和の用意がある」と表明した、と報じられています。
「時事ドットコム」の「過半数が「共和党勝利」予測=中間選挙の下院選-米調査」( 2010/09/29-15:55 )
今年 11 月の米国中間選挙について、(野党である) 共和党の勝利が予測されています。
ここで最初に引用した報道 (記事) に戻って考えると、
「自国通貨の相場を低く抑えている国からの輸入品に相殺関税を課すことを可能にする法案」について、米上院での審議は今年遅くになる予定だとありますので、今回の下院における可決は、当面、米国の中国に対する「交渉カード」としての効果が期待される程度でしょう。米国の中間選挙は 11 月なので、「今年遅く」の上院審議では、「間に合わない」のではないかと思われます。なぜ、審議日程を繰り上げないのかが気になりますが、場合によっては、繰り上げもありうると思われます。
中国の温首相は「中国は改革と市場開放を継続すると述べる一方で、米国の政治家の要求通りに人民元を20%以上切り上げると中国企業が倒産し、国内が大きな混乱に陥ると語っていた」と報じられていますが、
要は、中国にとって「人民元レートが弱点」だということであり、日本の「対中カードとして、使える」のではないかと思います。
なお、報道には「(今回米下院で可決された法案は) 中国が人民元レートを不当に低く抑えていることに対抗するのが狙い」とあり、
日本が今後、継続的に為替介入を行った場合であっても、(防衛ラインが明示されており) 為替レートを「不当に低く抑えている」とは考え難いことから、とくに問題にはならない (されない) のではないか、と思われます (「円売り介入の効果」参照 ) 。
ニューヨーク(CNNMoney) 米下院は29日、自国通貨の相場を低く抑えている国からの輸入品に相殺関税を課すことを可能にする法案を賛成348、反対79で可決した。中国が人民元レートを不当に低く抑えていることに対抗するのが狙い。
同法案は、商務省が通貨安政策をとる国からの輸入品に対して相殺関税をかけることを可能とする。民主、共和両党から多くの支持を集めたが、上院での審議は今年遅くになる予定だ。
人民元が低く抑えられると、米国で販売される中国製品の価格が下がる一方、中国で販売される米国製品の価格が上昇するため、米国の製造業にとって不利になる。
人民元の過小評価分がどの程度なのかは採用する推計方式により異なるが、ピーターソン国際経済研究所は対ドルで約24%と推計している。
中国は今年、人民元の対ドル相場の変動幅を拡大すると発表したが、その後人民元レートはほとんど上昇しておらず、米国内で批判が高まっていた。
オバマ大統領は同日、下院での可決に先立ち、タウンホールミーティングでこの問題に言及し、中国が人民元を低く抑えていることが米国の貿易赤字の大きな要因になっていると語った。
またオバマ大統領は先週、国連総会に出席した温家宝(ウェン・チア・パオ)首相と会談した際、人民元の切り上げを早急に行うよう温首相に求めていた。
だが温首相はその前日の演説で、中国は改革と市場開放を継続すると述べる一方で、米国の政治家の要求通りに人民元を20%以上切り上げると中国企業が倒産し、国内が大きな混乱に陥ると語っていた。
中国が人民元レートを不当に低く抑えていることに対抗するため、米下院は、圧倒的多数で「自国通貨の相場を低く抑えている国からの輸入品に相殺関税を課すことを可能にする法案」を可決した、と報じられています。
上記では、「中国は今年、人民元の対ドル相場の変動幅を拡大すると発表したが、その後人民元レートはほとんど上昇しておらず、米国内で批判が高まっていた。」と報じられていますが、要は、
中国は「のらりくらり」と時間稼ぎをしている
とみて間違いないと思われます。すなわち、「中国の政策スタンス」で述べた予測、すなわち、中国は「実質的なドルペッグ制をやめる気はない」という予測は、当たっていたとみてよいと思います。
そしてまた、中国は「アメリカに金融緩和 (ドル安政策) をやめさせたいのではないか」という推測についてですが、これが当たっているか否かはともかく、
米国の態度 (ドル安政策) も、変わらないと予想されます。
「毎日 jp」の「バーナンキFRB議長:金融緩和政策、効果が見えず」( 2010年9月26日 )
【ワシントン共同】米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は24日の講演で、米経済は「あらゆる努力にもかかわらず失業率を大幅に引き下げるほどの景気回復力を生み出していない」と述べ、政府の大型景気刺激策やFRBの異例の金融緩和政策が雇用改善に十分効果を上げていないとの認識を示した。
FRBは21日の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)で、景気回復と物価安定を支援するため「必要なら追加緩和の用意がある」と表明した。
バーナンキ議長は、「必要なら追加緩和の用意がある」と表明した、と報じられています。
「時事ドットコム」の「過半数が「共和党勝利」予測=中間選挙の下院選-米調査」( 2010/09/29-15:55 )
【ワシントン時事】米ギャラップ社が28日発表した世論調査によると、11月の中間選挙の下院選で共和党が過半数を握ると予想する人が52%に上り、民主党勝利を予測する32%を大きく上回った。同社によると、過去4回の中間選挙で事前に同様の世論調査を実施したが、すべて調査通りの結果になったという。
また、共和党が勝利した場合、米国はどう変わるか尋ねたところ、「良くなる」が36%で、「悪くなる」(24%)、「変わらない」(32%)を上回った。
今年 11 月の米国中間選挙について、(野党である) 共和党の勝利が予測されています。
ここで最初に引用した報道 (記事) に戻って考えると、
「自国通貨の相場を低く抑えている国からの輸入品に相殺関税を課すことを可能にする法案」について、米上院での審議は今年遅くになる予定だとありますので、今回の下院における可決は、当面、米国の中国に対する「交渉カード」としての効果が期待される程度でしょう。米国の中間選挙は 11 月なので、「今年遅く」の上院審議では、「間に合わない」のではないかと思われます。なぜ、審議日程を繰り上げないのかが気になりますが、場合によっては、繰り上げもありうると思われます。
中国の温首相は「中国は改革と市場開放を継続すると述べる一方で、米国の政治家の要求通りに人民元を20%以上切り上げると中国企業が倒産し、国内が大きな混乱に陥ると語っていた」と報じられていますが、
要は、中国にとって「人民元レートが弱点」だということであり、日本の「対中カードとして、使える」のではないかと思います。
なお、報道には「(今回米下院で可決された法案は) 中国が人民元レートを不当に低く抑えていることに対抗するのが狙い」とあり、
日本が今後、継続的に為替介入を行った場合であっても、(防衛ラインが明示されており) 為替レートを「不当に低く抑えている」とは考え難いことから、とくに問題にはならない (されない) のではないか、と思われます (「円売り介入の効果」参照 ) 。