仲村清司『本音の沖縄問題』( p.46 )
著者は中国が尖閣諸島や先島諸島に軍事侵攻することなど「あり得るはずがない」と決めつけていますが、「可能性は十分ある」と考えるのが当然だと思います。
相手(他国)がどう行動するか、わからない以上、「あり得るはずがない」と考えるのは危険で、「その可能性はある」と考えておくのが当然です。
もしも軍事侵攻された場合、私達国民の「生命」にかかわります。
したがって軍事侵攻など「あり得るはずがない」と簡単に決めつけるのではなく、「その可能性はある」と考えたうえで、万一に備えて対策を練り、準備しておくのは当然でしょう。
次に、著者が中国による軍事侵攻が「あり得るはずがない」と考えている理由は、「もしそんなことがあれば地域紛争どころではすまなくなる」です。
たしかに地域紛争どころではすまなくなるかもしれません。
しかし、だからといって、中国が軍事侵攻を開始しないという保証にはなりません。
中国は日本の方向に向けてミサイルを配備しています。そして、中国は核(兵器)を保有しています。それを考えれば、著者の考えかたには同意し難いです。
最後に、過疎化ゆえの島の貧しい経済を背景に、与那国島の民意が割れた、という点についてですが、
かりに中国による軍事侵攻が「あり得るはずがない」としても、島の経済にとってプラスになることは間違いない以上、論理的には、自衛隊の誘致に反対する必要はありません。
中国による軍事侵攻があり得るならば、安全(防衛)のために、自衛隊の存在は必要であり、なおかつ、島の経済にも有益。
中国による軍事侵攻があり得ないとしても、自衛隊の存在は島の経済に有益。
とすれば、軍事侵攻が「あり得る」「あり得ない」、そのどちらであっても、自衛隊の誘致に賛成することが、合理的な選択になります。誘致に反対することなど、論理的に考えられません。
もちろん基地が存在することによるマイナス面があることは承知していますが、マイナス面にばかり目を向け、中国による軍事侵攻から人々を守るという自衛隊の存在意義(プラス面)には、まったく目を向けようとしない著者の姿勢には疑問を感じます。
二〇一二年年始に沖縄タイムスと琉球新報の地元二紙が県民の関心事項や意識を問う世論調査を発表している。そのなかに、沖縄に配備された自衛隊の将来を質問する項目がある。
それによると、「いままで通り」が五七%(沖縄タイムス)、「現状維持のままででい」が四一・五%(琉球新報)となっている。両方の数字を平均すると約半数が現状維持を閉め、縮小(二三・〇五%=平均値)、強化・拡大(八・五%=平均値)をはるかに上回っている。
(中略)
しかし、自衛隊に対する感情は地域によってかなり異なっている。意外に知られていないが、沖縄における自衛隊基地面積は那覇市を筆頭に沖縄本島が九割以上を占め、宮古島が二%、八重山諸島は〇%である。つまり、国境の島嶼(とうしょ)群である八重山諸島には戦後六十七年間にわたって自衛隊基地の存在しない歴史が続いているのである。
したがって、地元二紙の統計に表れた数字も、市町村別に仔細に分析すれば、沖縄本島と宮古・八重山諸島などの先島(さきしま)では、かなり違っていることが考えられる。
(中略)
二〇一二年一月三日付、沖縄タイムスの「本土復帰40年 沖縄の自画像」という連載企画の記事には次のような発言が掲載されている。
「米軍基地の負担を強いられている本島と、米軍や自衛隊基地がなく中国の脅威にさらされている八重山とでは、国防や平和のあり方に対する温度差はある」
語り手は石垣市議で八重山防衛協会事務局長を務めている砥板芳行(といたよしゆき)氏である。「中国の脅威」とはいうまでもなく、尖閣諸島問題や中国漁船衝突事件を指している。
常識的にみて、中国が先島や尖閣諸島に軍事侵攻することなどあり得るはずがないが(もしそんなことがあれば地域紛争どころではすまなくなる)、政府は自公政権の頃から先島地域に陸上自衛隊の配備計画を検討してきた経緯がある。
配備先として真っ先に候補にあがったのは八重山諸島の最西端にある与那国島である。二〇〇八年九月、与那国町議会は与那国防衛協会の「自衛隊誘致に関する陳情」と自衛隊誘致に関する要請決議を賛成多数で採択・可決した。背景には島の過疎化対策と補助金の交付金などへの期待があった。
(中略)
一方、島民の民意は真っ二つに割れた。署名運動も展開され、誘致反対署名が賛成署名を上回るなど民意は逆転し、二〇一一年一一月には反対デモ行進が実施された。与那国島ではデモそのものが行われること自体、史上初めてというから、歴史的な出来事といっていい。
こうして国境の小さな島は住民同士が対立を激化させて現在にいたっているが、過疎化ゆえの島の貧しい経済を背景に、国防を唱える人たちの意向が、ありもしない「脅威」を煽って(あおって)南西諸島方面の防衛力強化を狙う政府の思惑と一直線につながってしまったといっていい。
著者は中国が尖閣諸島や先島諸島に軍事侵攻することなど「あり得るはずがない」と決めつけていますが、「可能性は十分ある」と考えるのが当然だと思います。
相手(他国)がどう行動するか、わからない以上、「あり得るはずがない」と考えるのは危険で、「その可能性はある」と考えておくのが当然です。
もしも軍事侵攻された場合、私達国民の「生命」にかかわります。
したがって軍事侵攻など「あり得るはずがない」と簡単に決めつけるのではなく、「その可能性はある」と考えたうえで、万一に備えて対策を練り、準備しておくのは当然でしょう。
次に、著者が中国による軍事侵攻が「あり得るはずがない」と考えている理由は、「もしそんなことがあれば地域紛争どころではすまなくなる」です。
たしかに地域紛争どころではすまなくなるかもしれません。
しかし、だからといって、中国が軍事侵攻を開始しないという保証にはなりません。
中国は日本の方向に向けてミサイルを配備しています。そして、中国は核(兵器)を保有しています。それを考えれば、著者の考えかたには同意し難いです。
最後に、過疎化ゆえの島の貧しい経済を背景に、与那国島の民意が割れた、という点についてですが、
かりに中国による軍事侵攻が「あり得るはずがない」としても、島の経済にとってプラスになることは間違いない以上、論理的には、自衛隊の誘致に反対する必要はありません。
中国による軍事侵攻があり得るならば、安全(防衛)のために、自衛隊の存在は必要であり、なおかつ、島の経済にも有益。
中国による軍事侵攻があり得ないとしても、自衛隊の存在は島の経済に有益。
とすれば、軍事侵攻が「あり得る」「あり得ない」、そのどちらであっても、自衛隊の誘致に賛成することが、合理的な選択になります。誘致に反対することなど、論理的に考えられません。
もちろん基地が存在することによるマイナス面があることは承知していますが、マイナス面にばかり目を向け、中国による軍事侵攻から人々を守るという自衛隊の存在意義(プラス面)には、まったく目を向けようとしない著者の姿勢には疑問を感じます。