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“憎まない生き方”パレスチナ人医師の思い

2014-02-26 08:00:00 | 報道/ニュース
2月20日 ワールドWaveモーニング


ガザ地区に住むパレスチナ人医師のイゼルディン・アブエライシュさん(59)はガザ地区の難民キャンプで生まれ育った。
ガザ地区はパレスチナ暫定自治区のひとつで南北約40キロ、東西約10キロの細長い区域。
広さが東京23区の6割程度の土地に170万人が住んでいる。
その7割がイスラエルの建国などによって家をおわれたパレスチナ難民である。
ガザ地区でのイスラム過激派の台頭を受けてイスラエル軍は地上作戦や空爆による攻撃をたびたび行っており
国際社会から非難されている。
対立の中にあってアブエライシュさんはイスラエルの病院に医師として努めながら双方の懸け橋としての役割を担っていた。
自宅がイスラエル軍の砲撃を受け3人の娘と姪をなくした後は
カナダの大学で研究を続けているが共存の訴えを続けノーベル平和賞候補にも挙げられている。
アブエライシュさんの著書は世界の23か国語に翻訳され日本でも先月出版された。
タイトルは「それでも、私は憎まない」。

Q.想像するのは難しいですがガザ地区の生活はどうなっているのですか。
(パレスチナ人医師 イゼルディン・アブエライシュさん)
「ガザ地区に住む170万人のパレスチナ人は一番大切なものを奪われています。
 それは『自由』です。
 ガザでは自由な生活はありません。
 ますガザから外に出る自由はありません。
 世界から閉ざされています。
 電気はいつも供給されているわけではありません。
 人々は電気の供給計画に合わせて自分の予定を調整するようになりました。
 ある日は5時間ある日は6時間。
 水の供給や病院や子どものために水は必要です。
 また失業率が非常に高く半分以上が職に就いていません。」

アブエライシュさんは中学生のときに医師を志すようになった。
きっかけは自らの関節痛を直してくれたパレスチナ人医師の姿だった。
その後アブエライシュさんは勉学に打ち込みエジプト大学の医学部に留学して産婦人科医になった。
42才のときにはガザ地区で医療活動を続けながらイスラエルの病院でパレスチナ人初の研修医となった。
アブエライシュさんはその経験から医療によってパレスチナ人とイスラエル人の和解を後押しできると確信するようになったと言う。
「健康であるということはすべての人にとって等しく大切なことです。
 日本の病院ではすべての人々が平等に治療を受けますがイスラエルでも同じことです。
 医師は名前や民族、素性によって治療を変えるわけではありません。
 医療はあらゆる人に等しく公正に施されることを信じています。
 医療はすべての人に平和をもたらす原動力になりえるからです。」

しかしアブエライシュさんの思いとは裏腹にイスラエルとパレスチナの関係は悪化の一途をたどる。
そして2009年1月 とてつもない悲劇がアブエライシュさんを襲った。
イスラエル軍がガザ地区で軍事作戦を行いアブエライシュさんの自宅も激しい砲撃を受けたのである。
3人の娘と姪ひとりが亡くなった。
イスラエルのニュース番組にアブエライシュさんの悲痛な叫びが残っている。
「なんてことだ。
 神様!どうなっているんだ!」


Q.3人の娘さんとめいごさんを亡くされましたね。 
  あなたがテロリストになろうとイスラエルの報復を支援しようと誰もあなたを非難しないと思いますが
  あなたはそうしなかった。
  なぜ冷静でいられたのですか。
「もちろん冷静ではいられませんでした。
 しかし怒りと同時に平和への決意と力が沸き起こったのです。
 パレスチナ人とイスラエル人の間に平和が訪れる。
 娘と姪が最後の犠牲者であったのなら私は彼女たちの死を甘んじて受け入れるかもしれません。
 実は私には彼女たちが見えています。
 こう話している間も目の前にいて『私たちのために何をしてくれるの』と問いかけてくるのです。
 私は娘たちに『お前たちを忘れてはいない。決して平和をあきらめない』と言うのです。」
Q.憎しみを否定するあなたのような人はどのような気持ちだったのでしょう。
  「イスラエルを憎むな」と言い続けたのですか。
「憎しが私の体をむしばむのを許すわけにはいきません。
 憎しみは身を滅ぼす病なのです。
 憎んではいけないと人々に押しつけるのではなく私たちは憎しみの原因を防いだり治療する必要があります。
 憎しみを抱く人には原因があります。
 暴力的な人にも原因はあります。
 病気の患者がいれば私たち医師はその原因を調べます。
 憎しみや暴力は病気の結果なのです。」

イスラエルとパレスチナの中東平和交渉は去年7月にアメリカの仲介で3年ぶりに再会した。
イスラエルとパレスチナの双方の市民からも和平合意の実現は容易ではないという声が上がっているが
アブエライシュさんは希望を捨てるべきではないとしている。

Q.去年再開した中東和平交渉に期待をしていますか。
「成果の無い交渉など意味がありません。
 ガザ地区の人々の生活に改善をもたらす真剣な交渉が必要なのです。
 私は医師として決して希望を失うことはありません。
 患者に命がある限り希望があると教えられました。
 今はいい治療法が無いのです。
 しかしそれを改善することはできる。
 明日はあるのです。」
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