2月15日 編集手帳
殿様のお国は雪が難儀でございましょう?
江戸屋敷の小坊主がそう尋ねると、
加賀藩主の前田利常は答えたという。
「雪が積もると、
いくさの心配がなくてよい。
ゆっくり眠れてありがたい」。
いまの世は幸いにして晴天でもいくさの心配はないが、
ことわざにあるように、
誰しも敷居をまたげば七人の敵がいる。
何をどう数えて七つかは知らないが、
上司や同僚に誘われる渋々ながらの付き合い酒なども“敵”の一つに数えられるのだろう。
さあ諸君、
電車が止まらないうちに帰りたまえ…。
きのうはあちこちのオフィスで、
よく似たセリフが聞かれたに違いない。
交通機関は乱れる。
転倒の危険は増す。
困りものの大雪だが、
前田の殿様流に言えば、
「不意の敵襲を受ける心配がなく、
一目散に帰館できてありがたい」のはささやかな功徳かも知れない。
昨夜は渡りに船ならぬ渡りに雪と、
未明のテレビ観戦に備えて早寝をした方も多かろう。
いまは夜。
職場の窓に舞う雪がいよいよ猛々たけだけしい。
〈天上に宴うたげありとや雪やまず〉(上村占魚)。
宴をめぐる盃(さかずき)は、
さて金製か、
何製か。
皆さんはご存じのはずである。
殿様のお国は雪が難儀でございましょう?
江戸屋敷の小坊主がそう尋ねると、
加賀藩主の前田利常は答えたという。
「雪が積もると、
いくさの心配がなくてよい。
ゆっくり眠れてありがたい」。
いまの世は幸いにして晴天でもいくさの心配はないが、
ことわざにあるように、
誰しも敷居をまたげば七人の敵がいる。
何をどう数えて七つかは知らないが、
上司や同僚に誘われる渋々ながらの付き合い酒なども“敵”の一つに数えられるのだろう。
さあ諸君、
電車が止まらないうちに帰りたまえ…。
きのうはあちこちのオフィスで、
よく似たセリフが聞かれたに違いない。
交通機関は乱れる。
転倒の危険は増す。
困りものの大雪だが、
前田の殿様流に言えば、
「不意の敵襲を受ける心配がなく、
一目散に帰館できてありがたい」のはささやかな功徳かも知れない。
昨夜は渡りに船ならぬ渡りに雪と、
未明のテレビ観戦に備えて早寝をした方も多かろう。
いまは夜。
職場の窓に舞う雪がいよいよ猛々たけだけしい。
〈天上に宴うたげありとや雪やまず〉(上村占魚)。
宴をめぐる盃(さかずき)は、
さて金製か、
何製か。
皆さんはご存じのはずである。