メイおばさんの料理帖

「メイおばさんの宝箱」からはみ出してしまった料理や食べ物や食文化のお話を世界のいろいろな場所から楽しくお届けします。

たった5ドルの贅沢ランチ@バインミー

2016-08-30 08:26:03 | シアトルレストラン
「SAIGON BISTRO」は、「UWAJIMAYA」という大きなスーパーの
フードコートの中にあります。

チャイナ、コリア、ジャパン、ハワイ、ベトナム、、、、、、

ふだんは素通りしてしまうのに
なんだかこの日は「ベトナムスイッチ」が入ってしまって
メイおばさんにしては珍しく
ふらりとカウンターに座ってしまったのでした。

PHO(麺)は重すぎます。
とくれば、もちろんベトナムのサンドイッチ「バインミー」です。

カウンターの向こうからおばさんが
めちゃめちゃわからない英語で話しかけてきます。

とりあえず注文をしても
まだいろいろ話しかけてきます。

日本人らしい小柄なメイおばさんが
ひとりでちょこりとカウンターにすわって

「お豆腐のバインミーをお願いします。」

などと言ったのが珍しかったのかもしれません。

メニューなどありません。
「バインミー(ポーク、チキン、ビーフ、トーフ)」と
黒板に書いてあるのです。

トーフを頼んだらこんなバインミーが運ばれてきました。

カウンターの向こうでおばさんが作ってくれたものです。
小さなスープが付いてきます。

おばさんは、カウンターの上にのっている4つの調味料を
ひとつずつ説明してくれます。

よくわからない英語を一生懸命聞き取ろうとしていたら
「Good,Good」と言いながら
メイおばさんのバインミーに勝手に二種類のソースをかけてしまいました(笑)。


パンは美味しいし
たっぷり挟まれたパクチー、大根と人参のナマス
フライド豆腐(がんもどきの様なもの)は美味しいし
勝手にかけられたソースは美味しいし。

それなのに5ドルでおつりがくるなんて、、、、、

目抜き通りの観光客目当てのタイレストランでの
呆れるほどまずくて、あきれるほど高かったパイナップルライス事件の後では
なんと心に響くことでしょう。

歯ごたえのあるフランスパンをしかり噛みしめながら
しっかり噛める歯を持っていることの幸せ
しかり味わう舌を持っていることの幸せ
美味しい物を美味しいと感じることができる幸せに感謝しました。

バインミーは大好きです。
長い間フランスの植民地だったベトナムの
ホーチミンの町の喧騒の中を歩きながら
道端にぺったりと腰を下ろしたおばさんが
目の前でフランスパンを二つに切って作ってくれて
手渡してくれたバインミーの味は忘れられません。

あれがメイおばさんのバインミーの原点でしょうか。

自分で作ったってよさそうなものに
なぜかこのサンドイッチばかりは
ベトナムのおばさんに作ってもらいたいのです。

ところで、カウンターのとなりのアメリカ青年は
別皿に山と盛られた生モヤシとミントの葉を
慣れた手付きで麺の上に盛っては
箸でPHOを食べています。

おばさんは、なおもメイおばさんに話しかけてきます。
そのうち少しずつわかるようになってきて
だんだん会話らしくなってきました。

「おいしいバインミーだった。また来るね。ありがとう。」

おばさんがにっこり笑って大きくうなづきました。
たった5ドルの贅沢なお一人様ランチでしたよ。
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