植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

側款・在銘の石 本物はあるのか?

2022年12月28日 | 篆刻
篆刻に明け暮れた1年でありました。なかでも、ヤフオクでの印材集めが自分の生活の柱になっていたかもしれません。最初は自分が彫るための練習用の安い石、それから紐がある見た目に可愛い石に興味が湧きました。
しかし、今年に入って「値打ちもの」の高級印材や時代のかかった印人の彫があるものがヤフオクに出品されていることに気づいて、篆刻はおいといて、石印材をコレクションするようになったのです。

ワタシなりに磨いた鑑定のポイントは、①石自体の価値(種類・時代) ②彫りの見事さ ③「側款」の有無と真贋 であります。
石に施された飾り彫り「紐」は基本的には石の価値にはあまり影響しません。また「薄意」という浮彫も、模様が奇麗で「愛玩」したくなる、程度のものでこれに拘泥すべきではないというのが持論であります。紐や薄意に目を奪われるのは、贋作者の思うつぼで小細工につられて偽物をつかまされる、という事を恐れるべきなのです。美しい薄意が施された田黄は高価で財宝級であったりしますが、薄意があったから田黄と決めつけるわけにはいかないのです。

さてそこで本日は、今年1年で蒐集した石の中で③「側款」がある=一応作者名がわかる銘品を一挙に掲載いたします。その真贋はともかく、彫られた側款につられて落札したものであります。というより、眉唾ものが大半であります。(笑)
まずはこの大きな寿山石。「秋堂」の側款があり、清代篆刻家「陳豫鍾 」さんの号でありますが、どうもこれはにせものぽいです。見た目の美しい置物程度とみていいでしょう。


次なるは「完白山人」の字が彫られた対章。北京印痕楼の立派な木箱に入っておりました。これは中国篆刻・書人の中では最も偉大な人に数えられる「鄧 石如 」先生の号であります。先生の印はわずかしか伝存せず、印譜すら少ないそうです。そんな歴史的な名人の作のはずは無かろうと思います。

まだまだ、続きますがここらまではいささか贋作の可能性が高いものとみております。
尊敬する「徐三庚」先生の款がある印であります。
これは、ワタシの想像では透明度が高い白色系の「凍石」か青田凍を染料で煮染めて田黄に似せていると思えます。上手な側款でありますが、うー-ん、こんな立派で大きい印が徐先生の物かなぁ、といった感想です。
もう一つがこちら。
これは本ブログでも解説していますが、本物の可能性を論じるに足りるほど見事な美しい石でした。紐も側面も非常に丁寧に彫られ磨かれている寿山石です。詳しくはこちら。

次なるはこちら。1993没、韓国人篆刻家、高石峯先生の真作であろうと思います。

更に素晴らしいのがこれであります。中国明代の篆刻家で、篆刻の礎を築いたと言われる文彭さんの側款があります。ネットではあちこちで「 自作印は朱文の象牙印が唯一伝存するのみ 」と記載されますが、彼は象牙印は職人に彫らせていて、ヨウロウ石を紹介されて初めて書人・書家が自分で彫れることを実践し広めた功績が有名なので、もともと「象牙印」は彫らなかったのです。
これについては拙文を参照願います。

そうして最後に紹介するのはやはりこの印、斉白石先生の遊印であります。
この石に関してはかなり専門家さんの手を借りながら研究しました。
内容については長くなるのでやはりブログを参照してください。この前後4,5回に分けて説明しておりますのでお暇な方はどうぞご笑覧願います。

こうした印が、骨董的・文化財的な価値がある文物かどうかはわかりませんし、平均1万円前後で入手したものですから、大半が贋作・模倣・偽物であるかと悟っております。

それよりも、ミステリーの謎解きが如く印を手に取って想像し、ネットで調べて由来を探るのがお金に変えられない愉しみなのであります。

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