植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

目を肥やし 印の巧拙を学ぶ

2022年07月08日 | 篆刻
相変わらず、印材と彫りが施された古い落款印の落札を続けております。

印材はいくつあっても邪魔にはならず腐らないし、いくつかは作品として制作し人に差し上げているのです。それなりに毎日のように刻しているので、安定的に補充するのであります。印材が沢山あればあるほど、その石の多様性に驚きの知識が膨らむのであります。


まず、これは未刻印材まとめてです。石の種類は「広東緑石」で、印材を扱っているお店では「高級品」として扱われ、数千円からあり銘品で紐(持ち手側の飾り彫り)があるものは1万円以上致します。下の写真以外4個の印材で6千円は多変お買い得であったと思います。


 緑色の石は、安いもの(一般的なもの)から、薄い緑色の「青田石」、黄緑色の「西蔵石」、やや透明の灰緑色「沈陽石」となっていて、その上が広東緑、金茶色の層が混じる「雅安緑 」あたりが珍重されます。その上に君臨する中国三宝といわれる「田黄石・鶏血石・芙蓉石」を凌駕する幻の石「艾葉石(かいようせき)」という深い緑色の石がありますが、これはまことに稀少で、その脈も尽きているために世の中には滅多に出回りません。緑石については拙ブログ雅号は篩石 印材は緑石 - 植物園「 槐松亭 」にて説明しております。ご参考まで。

次に届いたのが、自然石などを使った遊印・関防印17個で一つには「桂華」と側款がありました。割合に良い素材を使った印に見えたので5千円ほどで落札、1個当たり300円程度なのでどうということもありません。届いた印はほとんどが自刻印と思えましたが、「うー--む」これはワタシの方が上手い、と感じたのです。篆刻の修行歴は2年足らずとはいえ、千個以上彫り、2千個近いの先人の彫のある石を手元に置いて研究しているのです。

経験を重ねるうち、彫の巧拙はわかるようになりました。それで、大変失礼ながら、これらの印面はすべて奇麗にサンドペーパーで潰して磨きました。自分の作成用には十分な良材ですし、印材を再利用するのは、前の持ち主が書道に込めた気持ちを大切に継承する、という意義を感じるからであります。敬意を表して写真には残しておきました。

その次は、昨日届いた古い刻印済みの篆刻石4個、3300円でありました。
こちらには「楊石」「蒼玄」の作款がありました。「楊石」さんの印は残念ながら高価な印材では無く、印面自体も彫残しが目立ち、力のない線質であります。これは潰してしまいます。
しかし、上の楕円の印は、もしかしたら国際的に活躍する現代書家千葉蒼玄先生の作かもしれません。だとすれば掘り出し物であります。印影は、まさにそれを裏付けるような見事で前衛的な趣を感じる印でありました。丸い自然の形の印面を彫るのを好むワタシにとって、造形的な観点から、大変参考になるポイントがいくつかありました。


篆刻家を志す身にとっては、とても興味深い丸石で、非常に丁寧に美しく磨かれているのも印象的であります。石の種類は茶色のものが「沈陽黄石」、自然石で丸いのが「崑崙凍石」と思われます。

知らない間に、いい石や種類、そして素晴らしい篆刻の印がだんだんわかるようになってきました。彫るだけでないのが「篆刻」のいいところであります。


コメント
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