植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

黒塗りの下に 生のグロテスクな代物がある

2022年07月29日 | 時事
ワタシがまだ学生の頃、大学の寮に寄宿していました。その時の先輩が横浜税関でアルバイトをしていたのです。その内容が、輸入外国ポルノの局部をマジックで黒塗りする作業だと聞きました。最初は大興奮しても、3日も経てば見飽きて、ただグロテスクと感じて気持ち悪くなるそうです。それでもワタシ達はお土産にもらった戦利品のマジックをどうにかして落とそうとバターを塗ったりアルコールで拭いたり(笑)。

日本は言わずと知れた「検閲大国」で、「猥褻物」はもろに見せてはならない決まりであります。よその国では知りませんが、映画や動画にぼかしが入る数少ない国で、映画はいまだに映倫なるものが審査し、モザイクが掛かっております。インターネットが普及し、洋画でもなんでも無修正で見られる時代なので、そうした映像の審査が必要なのか、有効なのかはだんだん曖昧になっています。もっとも過激な暴力や残虐シーンはやはり一定の制限がかかるのもやむないと思いますね。

戦前戦後を問わず、出版物には官憲による検閲が入ることも多く、長年、思想や信条・表現の自由が侵害され毀損されてきたことは紛れもない事実でもあります。

そこで思い出すのが、例の森友問題です。あの安倍さんの名前を冠して設立しようとした小学校創設の夢を膨らませた籠池夫妻への国有地払い下げに関わる一連の認可売買書類などに政治的な配慮が働き、不当に安値で取引されたという問題で、お役人たちが開示した文章は黒塗りだらけで何も読めない状態でありました。あの自殺した赤木さんがなぜ改ざんに関わったかも黒く塗りつぶされたのでした。

今回「旧統一教会」がにわかにクローズアップされたのは、「安倍さんが銃撃され亡くなった事件」がきっかけであります。銃撃した山上容疑者の母親が統一教会に無制限に寄付したため、親族が二人自殺するなどして精神面でも経済面でも追い詰められたことが明らかになってきました。

そこで、統一教会が霊感商法で法外な値段でガラクタを買わせた過去が取りざたされ、団体法人名を世界平和統一家庭連合 に変えることを承認された経緯がにわかに問題となってきたのです。これはオウムがアレフとか光の輪に変えたことと同じく、反社会的宗教団体であることを隠して、違法の勧誘活動と宗教活動(資金集め)に必要不可欠であります。一般社会でそうとわからないように生き延び団体の勢力を拡大してくるための隠れ蓑で、看板を付け替えただけで本質・実態は変わりません。

看板の付け替えやめくらましが最も得意なのは政府与党です。今回、GX(グリーントランスフォーメーション)実行推進担当相、新興企業を支援する「スタートアップ担当相」 などの意味が分からない大臣を新設するそうです。コロナ関連で言えば、唐突に「BA・5対策強化宣言」 を創設すると発表しました。政府は関知しないで、都道府県の判断でやればいい、という相変わらずの無責任、まんぼうの看板の付け替えで間に合わそうという魂胆であります。

で、黒塗りの庁内書類が開示されました。肝心な「名前の変更を認める理由」が塗りつぶされております。これは、その理由を開示すると教団側に不利益を生じる懸念があるといっておりますが、さにあらず。変更を認める理由が、実態を反映しない不当で社会通念上許されないレベルであった(こじつけ)が故、文化庁が「非難されるのを避ける」ために塗りつぶしたとしか考えられません。また、時の文科大臣下村さんが、どれだけ統一教会から働きかけを受け、安倍さんからどういう指示があったのかも大変重要なポイントであろうと思います。

ワタシは思うのです。行政上、疎明し証拠書類として永久的に保存する公文書、そのほとんどが税金の使い道など、国民の権利に直結する資料でもあります。もし、納税者からその開示を求められた場合、国家間の外交機密文書や厳密な意味での個人情報を除いて、何一つ隠してはならないと。自己検証ほど、真実を糊塗するものはない、といのは自明の理であります。行政や政府が内部で判断し決定した内容が誤りであった、あるいは、特定の人物を利する、邪な意図に基づくものであれば、当事者に開示の範囲を任せるなど愚の骨頂であります。

黒塗りの下に、どれだけグロテスクで醜いおぞましいものが隠されているとしても、国民やマスメディアも目を背けることなく、直視できる決まりを作ることが肝要であります。もう隠し事や誤魔化しを見るのはうんざりであります。
コメント (2)
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