植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

明日のコメさえ無かったぁな お前♪~

2022年06月25日 | 時事
見るともなくNHKのBS放送にしていたら、地球温暖化と群集心理についての研究をテーマにしていました、例えば人が襲われているのを見かけた時、そこにいた傍観者の数が多ければ多いほど、助けようとか警察に通報しようという行動が遅くなるのだそうです。
また、脳は、自分に都合のいい情報だけ取り入れて活発化し、逆に面白くない情報や自分の考え方と異なる意見には反応しない、耳を傾けようとしないのです。そんなことは、新たに実験するまでも無くワタシ達が経験的に感じていることですが、科学的に検証し証明することは結構なことであります。

少し話は飛びますが、わが国の食料自給率は極端に低くその歯止めも掛からないのです。例えばコメは、1970年代の減反政策を機に、徐々に田んぼが減りコメ農家が減り、農業従事者が減っております。今やコメすらも輸入に頼っており、政府の備蓄は国民のたった二日分の食料だそうです。因みに中国は14億人の国民が半年間食べられるだけの備蓄をしているのだとか。

農業のみならず漁業や林業、畜産業も然りで、第一次産業は日本の経済政策からは置き去りにされ衰退する一方なのです。しかし、それを経済政策の根幹に据えようとか、農政を根本的に変えていこうなどといった政党は出てきません。自民党にとっては、農業はどうなってもいい、農村の保守票だけが確保できればいいので、農家の近代化や法人化、自由化などは議論もされないのですね。

昨夜は、22年問題が取り上がられていました。都市近郊の畑が特例で生産緑地として課税を減免されていたのです。これが、今年度で解除されるので、今まではたけや果樹園として守っていた先祖伝来の農地を一気に手放す動きが出ているのだそうです。その原因は、①高齢化し跡取りが居ない ②生産性が低く収入が乏しい ③農地として優遇される反面、農家以外の農業参入が難しい ④一般企業の農業参入を規制しているなどの様々であります。

しかし、元凶となるのは物流と農業資材・機械・種苗などを一元的に囲い込んでいる農協にあります。これが、偏狭な既得権益にしがみつき農業の近代化を阻む一番の障害になっているのです。例えば、農薬は農協で作る農薬カレンダー通りに農薬散布を強制し、収穫した生産物には等級をつけ、外見上の虫食いや傷などがあると規格外として廃棄処分を促がします。

高い農機具を個別農家に買わせて借金漬けにし、グループ化・法人化に反対し、農協に与しないフリーの自営農家を目の敵にします。自民党からの補助金によって保護され、農家の税金優遇によって自助努力をやらなくなり減反政策の結果として衰微した日本農業は、すっかり国際競争力も失っています。

こうしたことが放置され、世間の耳目を集めることもない、国会でもほとんど取り上げられないというのが現状なんです。これは、国民全体に危機意識が無く、興味がないからだとも言えます。村田英雄さんが歌った「夫婦春秋」には、「明日の飯さえ無かったぁなー」という一節があります。家内は、家の米びつにコメが無いくらい怖いものは無い、というのが口癖であります。しかし、スーパーでもどこでも自然にどこから運ばれて来るので、それが無くなるかもしれないとは考えようとしないのです。

2007年になってから世界的な食糧危機が起こり、主要国は田畑を増やし農業生産を上げることに注力しました。バイオ燃料への転用や買い占め、世界的凶作などが原因で、コメ・小麦・大豆などが急騰したのです。以降、各国は安定的に食糧を確保できる体制に変わり、農業用地も広がったと聞きます。一方日本は1961年7万㎢以上あったのが、直近では4.3万㎢まで減り、毎年減り続け、恐らく22年問題により生産緑地の売却で更に減少が加速するでしょう。

近年度重なる自然災害に異常気象、農業を取り巻く環境はますます悪化しているのです。地方では若い者が農業を見限って都会に移り、過疎化の一途であります。これも都会の人は無関心。もしかしたらおまんまにありつけなくなるかもしれない、と誰も心配しないうち、日本人の貧困化はゆっくり確実に進んでいますが、あまりにも多くの人が傍観しているので「大変だぁ」と騒ぎ立てないのです。

少なくとも、家の米びつの底が見え始める前に、何とかしなければいけないと思うのであります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする