植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

独居老人を救うのは 誰だ?

2022年06月28日 | 時事
昨夜は、平塚市の南地区の「福祉」を考える情報交換の会議がありました。
市役所の専門部署や、社会福祉協議会、市議2名に、ワタシ達自治会長などが集まって、地域の老人福祉を中心とした制度見直しを検討するもので、10年ほど前に発足したのだそうです。

一貫したそのテーマは「避難行動要支援者支援制度」というわかりにくい制度の問題点であります。今の制度では、市町村は一定以上の年齢の老人には「民生委員」を指名して年寄りの面倒を見させるという形が一般的です。市役所は人手が足りず、タダ同然の手当を支給して特別公務員の身分で働かせているのです。

年金や特養老人ホーム・後期高齢者にまつわる様々な制度を全部説明すると、大変なボリュームになるので割愛しますが、年間7,8万円程度の報酬・経費で多くの老人の生活支援を行うのですから、民生委員のなり手が少ないというのが大きな問題でもあります。

ただでさえ負担が多く人が民生委員が少ないのに、いざ災害などで緊急避難する時、自分一人では避難できない人を支援して下さい、というのが「支援制度」であります。これには孤立している独居老人、障害がある・一人での生活さえ困難、という高齢者が自ら手を上げて、いざという時の支援者を指名し、一定の個人情報開示を承諾することでその対象に取り上げられるので、制度を知らない人、公の支援を拒否するような頑固な人、認知症の高齢者などはそうした手続きを取らないので支援の網から外れています。

有事の際、自治会長と民生委員だけで多くの老人の安否確認や避難指示、更には避難行動支援するなどは絵に描いた餅、机上の空論であります。ワタシの町内だけで20名以上のお年寄りの該当者がいます。大津波が迫ったとして、全員に周知させ避難させるまでに、濁流にのまれてしまうのではないかと思います。あの福島の津波に飲まれた被害者の中に、一旦自分は避難したのに、自分が担当する老人の姿が見えず引き返して亡くなったという民生委員さんが50人近くいたと聞きました。

自治会長にせよ民生委員にせよ、そうした介護を要する人のリストを保管している以上、いざという時には身の危険を顧みず避難支援に走る、という責任を感じているのです。(※本来、災害時は真っ先に自分の身の安全を確保なさいと明記されているのですが)。そしてそのサポートをするのが老人の個別の支援者という位置づけです。しかし、付き合いのない町内の老人もいるし、好き嫌いもあります。身を守るのに精いっぱいならば、人の世話など御免ですと断られるのが通例なのです。

挙句の果てに民生委員協議会の責任者は、支援を求める方が積極的に手を挙げ、情報に敏感になって自立しなければ解決しないと言い出す始末。耳が遠くなった年寄りが増えたが、補聴器を買っても使わないとか、口で言ってもわかったふりをするので筆談になるとか、ネガティブな発言が多いのです。それが出来ないから支援制度を作ったのでしょうが。

それで10年前から支援制度の欠陥をなんとかせねばという問題意識があって会議を続けたものの、堂々巡りで何も変えられずに現状維持、さすがに欠陥制度をいつまでも議論しても埒が明かないという意見が大勢を占めてきたのです。

行政が手一杯で相談事も人手が足りない、と議員が嘆いていました。いやぁ、それはどうかな?。ワタシはこの件で以前、市役所の福祉課担当に電話したところ「在宅勤務日」なので、回答できないと言われました。翌日電話がありましたがあれあれ、在宅勤務になると担当者とは連絡できず、リモートにもならないのですか。それって、自宅で「有給休暇」とっているのと変わらない、と思いますよ。

今に至るまで、何も改善されないのは、運よく大災害が無かったからであります。災害・人災が起きて犠牲が出たらはじめて問題が露見し、その後には責任の押し付け合いになります。熱海の地滑り土石流の災害がいい例であります。

行政や制度に頼らず、地域や町内で声を掛け合って相互に協力し、共助の精神で行く、それが実は結論なのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする