植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

吾日に吾が身を三省す

2021年03月11日 | 篆刻
相変わらず、篆刻印をヤフオクで落札しています。

 昨日到着したものは、篆刻印約70個(使用済み、未使用、紐つき、いろいろ)まとめてで9千円弱、中に3,600円の値札付きのものがあり、それを定価で買ったとして、残りを一個78円で入手したという計算になります。一般に売られている最も廉価の青田石でも、大きさに比例して値段が高くなりますが、50円から300円ほどで売られています。今回のものは紐(持ち手の飾り彫り)があるものが半数、残りも寿山石を主体にはるかに質のいいものでしたからまぁお買い得でした。
 
 自分で彫るために沢山集めていますが、すでに彫られているものについては、磨って新たに彫りなおします。中には、素晴らしい作品もあり、篆刻の勉強や参考になるもの、あるいはそのまま遊印や書の最初に押す関防印として使えるものもあります。
 そこで必要なのが、篆書文字の「解読」であります。何に使うにせよ書いてある字句が読めないと話になりません。持ち主や篆刻した人の名前をチェックします。万一、それが高名な人によるものなら簡単に処分するわけにもいきません(もしかしたら高値がつくかも笑)。姓名と雅号のある印は再利用できませんからいったん潰します。篆書字典などの辞書は、活字に書かれた漢字から篆書体を引くためにあり、逆引き、篆書文字を活字体に読む辞書はありません。つまり彫るためのもので、印の文字を読むのには適していないのです。

 すると、見て分かる部首から地道に探していく作業になります。これも勉強です。あとはもう何百も何千も印を彫り、頭に刻むしかないのです。彫ったことがある文字ならば刻まれてる文字にピンとくることもおいおい出てきます。

 さて、以前入手した関防印に「五省」というのを見つけました。三省というのは聞いたことがあります。以前仕えていた上司のお名前でした。その時に聞いた話が「論語」の「吾日に吾が身を三省す」からとったそうです。親御さんがさぞや教養のある人だったのでしょう。この上司も非常に優秀で、某金融機関の社長までなりました。

 そこで「五省」は何だろう、と思ってネットで調べると、どうやら旧帝国海軍士官学校の訓戒で、日ごろの修練に活用されていたらしいです。かなり限定的な字句なので、この印の持ち主は海軍の幹部候補生であったのではないか、と想像されます。ついでに三省・五省の中身を調べてみました。

昔の人はいいことを言ったものです。今と違って精神修養や自戒自省を尊び、背筋をピンと張っていこうとしていたのです。この五省の教えは、国会議員や官邸の人にはぜひ覚えていただきたいものですね。

 ちなみに三省は、「人の相談事に誠意をもって取り組み、友人の信頼にこたえる。自分の知らない覚えのないこを人に教えてはならない」という戒めで一日一回省みようということであります。
 仲良くしている関係企業から接待が持ち込まれれば断らず、相談を聞く。監督官庁の担当責任者として、その信に応えるよう政策に反映させる。ばれて追及されても「記憶にない」と覚えのないことを伝えない(笑)。まさに論語などの古典を修養し、「科挙」に合格した総務省の国家公務員は、その意を汲んで実践しており、さすがと言わざるを得ませんね。 

 さて、今日は3月11日。あれから10年たちました。いまだに余震が続く巨大地震です。自分の人生の中でも、あの日のことは一番鮮明な記憶が残る1日です。
 これから起きるかもしれない、首都直下型、東海関東大地震への恐怖はいつの間にか薄れてしまっております。年に一度くらいは、そうした大災害への備えを再確認する大事な「一省」の日とすべきでしょうね。
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