大迫・清武・原口の奮闘で2位に浮上
たがいに前からプレスを掛け合い、緊迫感のある打ち合いを演じた試合だった。勝ち点3差の首位サウジアラビアをホームに迎えた大一番だ。日本は勝てば状況によっては首位もあり、負ければ脱落という天国と地獄。ふたを開けてみると今予選屈指の熱戦になり、日本はPKから先制したあと原口の最終予選・4試合連続ゴールになるダイレクトシュートで突き放した。結果、日本はサウジと勝ち点が並んだが得失点差で2位に。今節が終わってみればグループ4位のUAEまで、上位4チームがわずか勝ち点1差にひしめく大混戦になった。
最終予選が前半戦を折り返す、このカド番。ハリルは不調の本田と香川、岡崎の3枚看板をスタメンから外す大手術を決行した。ドイツ・ケルンで好調な大迫をワントップに据え、トップ下には清武。本田不在の右SHには新鋭の久保(ヤングボーイズ)を抜擢した。
立ち上がりから日本はアグレッシブで積極的だ。動きがいい。こんなにコンディションのいい選手ばかりを揃えた試合はいつ以来だろうか? 大迫はえらくボールが収まる「神ポスト」を連発し、前線で基点を作る。彼にボールが入るとプレスをかけられても足元からボールが離れない。かたや清武はゾーンのギャップで間受けしては幅広く動いてゲームを作る。
一方の原口はネガティブ・トランジションがよく、サウジボールになればすぐにディフェンスして相手ボールを足に引っかける。そしてマイボールにするとすぐポジトラを発動、ダイナミックに前へ出て行く。すごい闘争心だ。彼はイラク戦とオーストラリア戦で点を取ったときの、この守備から始まりシュートで終わる「止まらない動き」をこの日も繰り返した。選手の熱い気持ちが伝わってくる好ゲームである。
サウジは日本のビルドアップを研究していた
サウジは(放り込みでなく)グラウンダーのパスできっちりビルドアップしてくる。ボールをしっかり繋ぐ個の強い攻撃サッカーだった。インテンシティも高い。なにより首位でアウェイの彼らが、あんな前がかりで積極的にプレスをかけてくるとは思わなかった。
日本は最終ラインからのビルドアップのとき両センターバックが開き、押し出すようにSBを高い位置に上げて基点を作る。サウジはこの日本のビルドアップを明らかに研究しており、日本の2CBに対し前の2枚が常にプレスをかけて2対2を作っていた。ビルドアップ時にはアンカーが降りて一時的に3CBにするなど、ハリルは早急に対策を考える必要がある。でないと前から狙われる。
また彼らはほとんどバックパスせずに前へ前へと押し上げてくるが、日本は前が詰まるとすぐ最終ラインにバックパスしてビルドアップし直す遅攻のクセが身についてしまっている。明らかにこの点もサウジに研究されており、彼らはしつこいフォアプレッシャーで日本のバックパスをかっさらおうと狙っていた。日本が快勝したように見えるが実は鼻の差だ。どこかのパスやシュートがボール1個分ずれていたら、試合はどうなっていたかわからなかった。
生気のない本田と香川を途中起用する迷采配
ハリルは本田と香川、岡崎を途中から投入したが、あれは試合展開とはまったく関係なく事前に考えてあった采配だろう。「みんなで勝利を勝ち取った」的なクサい演出だ。現にハリルは試合に先立つ記者会見で「今回が最後のW杯になる者もいる」などと珍しく感傷的なコメントを発していた。感動を演出して盛り上げようみたいな意図だろうが、おかげで好ゲームの流れがブツ切りになってしまった。
スタメンを外された本田と香川は、モチベーションが落ちて魂を抜かれた亡霊のように生気がなかった。プレイもパッとしないデキで、何か「やらかす」んじゃないかとヒヤヒヤした。勝ったからいいようなものの、あれでもし逆転されていたらハリルは即、解任だった。ごく自然に世代交代が起ころうとしているのに、なぜ時計の針を戻すのか? 相変わらずの迷采配だ。
「大胆に言えば」右SHの久保を代えるなら斎藤学が見たかったし、トップ下の清武を引っ込めるなら小林祐希をチェックしたかった。新生・日本代表の成長を阻害するだけの、必然性のないああいう選手起用は絶対に考え直してほしい。
たがいに前からプレスを掛け合い、緊迫感のある打ち合いを演じた試合だった。勝ち点3差の首位サウジアラビアをホームに迎えた大一番だ。日本は勝てば状況によっては首位もあり、負ければ脱落という天国と地獄。ふたを開けてみると今予選屈指の熱戦になり、日本はPKから先制したあと原口の最終予選・4試合連続ゴールになるダイレクトシュートで突き放した。結果、日本はサウジと勝ち点が並んだが得失点差で2位に。今節が終わってみればグループ4位のUAEまで、上位4チームがわずか勝ち点1差にひしめく大混戦になった。
最終予選が前半戦を折り返す、このカド番。ハリルは不調の本田と香川、岡崎の3枚看板をスタメンから外す大手術を決行した。ドイツ・ケルンで好調な大迫をワントップに据え、トップ下には清武。本田不在の右SHには新鋭の久保(ヤングボーイズ)を抜擢した。
立ち上がりから日本はアグレッシブで積極的だ。動きがいい。こんなにコンディションのいい選手ばかりを揃えた試合はいつ以来だろうか? 大迫はえらくボールが収まる「神ポスト」を連発し、前線で基点を作る。彼にボールが入るとプレスをかけられても足元からボールが離れない。かたや清武はゾーンのギャップで間受けしては幅広く動いてゲームを作る。
一方の原口はネガティブ・トランジションがよく、サウジボールになればすぐにディフェンスして相手ボールを足に引っかける。そしてマイボールにするとすぐポジトラを発動、ダイナミックに前へ出て行く。すごい闘争心だ。彼はイラク戦とオーストラリア戦で点を取ったときの、この守備から始まりシュートで終わる「止まらない動き」をこの日も繰り返した。選手の熱い気持ちが伝わってくる好ゲームである。
サウジは日本のビルドアップを研究していた
サウジは(放り込みでなく)グラウンダーのパスできっちりビルドアップしてくる。ボールをしっかり繋ぐ個の強い攻撃サッカーだった。インテンシティも高い。なにより首位でアウェイの彼らが、あんな前がかりで積極的にプレスをかけてくるとは思わなかった。
日本は最終ラインからのビルドアップのとき両センターバックが開き、押し出すようにSBを高い位置に上げて基点を作る。サウジはこの日本のビルドアップを明らかに研究しており、日本の2CBに対し前の2枚が常にプレスをかけて2対2を作っていた。ビルドアップ時にはアンカーが降りて一時的に3CBにするなど、ハリルは早急に対策を考える必要がある。でないと前から狙われる。
また彼らはほとんどバックパスせずに前へ前へと押し上げてくるが、日本は前が詰まるとすぐ最終ラインにバックパスしてビルドアップし直す遅攻のクセが身についてしまっている。明らかにこの点もサウジに研究されており、彼らはしつこいフォアプレッシャーで日本のバックパスをかっさらおうと狙っていた。日本が快勝したように見えるが実は鼻の差だ。どこかのパスやシュートがボール1個分ずれていたら、試合はどうなっていたかわからなかった。
生気のない本田と香川を途中起用する迷采配
ハリルは本田と香川、岡崎を途中から投入したが、あれは試合展開とはまったく関係なく事前に考えてあった采配だろう。「みんなで勝利を勝ち取った」的なクサい演出だ。現にハリルは試合に先立つ記者会見で「今回が最後のW杯になる者もいる」などと珍しく感傷的なコメントを発していた。感動を演出して盛り上げようみたいな意図だろうが、おかげで好ゲームの流れがブツ切りになってしまった。
スタメンを外された本田と香川は、モチベーションが落ちて魂を抜かれた亡霊のように生気がなかった。プレイもパッとしないデキで、何か「やらかす」んじゃないかとヒヤヒヤした。勝ったからいいようなものの、あれでもし逆転されていたらハリルは即、解任だった。ごく自然に世代交代が起ころうとしているのに、なぜ時計の針を戻すのか? 相変わらずの迷采配だ。
「大胆に言えば」右SHの久保を代えるなら斎藤学が見たかったし、トップ下の清武を引っ込めるなら小林祐希をチェックしたかった。新生・日本代表の成長を阻害するだけの、必然性のないああいう選手起用は絶対に考え直してほしい。