国民的な現状認識ができていない
「日本はW杯に正々堂々と攻撃サッカーで臨んでほしい」
そんな声をよく耳にする。
これは日本サッカーが世界の中でどの位置にいるか? および弱いチームはどんな戦い方をするのがセオリーなのか? について、国民的な合意ができてないからだ。
例えば2018年3月に行われたハリルジャパン最後のベルギー遠征について、「ワールドカップに出場できないマリやウクライナにさえ勝てなかった」という意見を聞く。この声は以下の3点で現状認識を欠いている。
まず第1点として世界には、「ワールドカップに出られなくても日本より強い国はたくさんある」ということ。例えばウクライナは明らかに日本より上だった。W杯には出ないが、ヨーロッパにはああいう強い国がいくらでもある。
これはひとつには、アジアのレギュレーションが欧州よりはるかに楽だから。ゆえにヨーロッパにはアジアより強豪国がたくさんあるのに、ワールドカップに出られる国はちょっとしかない。そういう規定だということだ。だから「W杯に出られないウクライナにさえ勝てなかった」という比較論はまったく的外れである。
第2点として、冒頭にあげた「日本は攻撃サッカーをせよ」という意見を言う人は、「日本は世界の中では弱小国だ」との認識がない。そして、そうした弱小国はW杯でどう戦うのがセオリーか? を知らない、ということだ。
第1点であげた通り、ワールドカップに出られなくても日本より強い国はたくさんある。つまり日本はW杯では弱小国だ。「弱者のサッカー」なる言葉がある通り、弱小国はW杯では「負けないこと」を目指す。まず失点しないことを考えるのがセオリーだ。であれば日本がやるべき戦い方は必然的に決まっている。日本は少なくとも守備から入るべきである。
テストマッチで勝つ必要はない
さて最後だ。第3点として、日本はマリやウクライナに勝てなかったが、そもそもテストマッチって勝つ必要があるのか? というポイントへ行こう。ワールドカップに突入する前に行われる試合には、勝ちに行く試合とそうでない試合がある。マリ戦とウクライナ戦は明らかに後者だった。つまりテストマッチである。
テストマッチでは新戦力を試したり、新しい戦術にトライして経過観察が行われる。そして出た結果を本番であるW杯に生かす。そのためのテストが行われる。ゆえに勝敗に特段の意味はない。まずは有意義なテストができること。次にそれを本番に生かすことに意味がある。
第2に日本サッカー協会は、「マリ戦とウクライナ戦に勝てなければ解任ですよ」とハリルに明示していなかった。であればハリルはこの2試合を、いろんなテスト目的として自由に使えるはずだ。「親善試合であろうとすべて勝ちに行くべきだ」などという意見はまったくのナンセンスである。
第3にW杯直前のテストマッチは情報戦の場である、ということ。コロンビアなどワールドカップで日本が対戦する国は、当然、マリ戦とウクライナ戦を偵察し分析している。そんな試合で本番さながらのメンバーと戦術をさらけ出してしまえば、日本は本番前に丸裸にされる。
そして策士のハリルは当然そう考え、隠しておく部分を隠したままあの2試合に臨んだはずだ。つまりそれでは勝てないし、また勝つことが目的の試合ではないからそれでいい。
結論として、「ワールドカップに出場できないマリやウクライナにさえ勝てなかった」という声はまったくの見当はずれだ、ということ。そして弱者である日本はまずW杯で負けないこと。つまり引き分けて「勝ち点1」を積み上げる。ゆえにまずは失点しないことを目指すべきだ。とすれば、そこであるべき戦い方は必然的に決まってくる。それは少なくとも「攻撃サッカー」ではない。
「日本はW杯に正々堂々と攻撃サッカーで臨んでほしい」
そんな声をよく耳にする。
これは日本サッカーが世界の中でどの位置にいるか? および弱いチームはどんな戦い方をするのがセオリーなのか? について、国民的な合意ができてないからだ。
例えば2018年3月に行われたハリルジャパン最後のベルギー遠征について、「ワールドカップに出場できないマリやウクライナにさえ勝てなかった」という意見を聞く。この声は以下の3点で現状認識を欠いている。
まず第1点として世界には、「ワールドカップに出られなくても日本より強い国はたくさんある」ということ。例えばウクライナは明らかに日本より上だった。W杯には出ないが、ヨーロッパにはああいう強い国がいくらでもある。
これはひとつには、アジアのレギュレーションが欧州よりはるかに楽だから。ゆえにヨーロッパにはアジアより強豪国がたくさんあるのに、ワールドカップに出られる国はちょっとしかない。そういう規定だということだ。だから「W杯に出られないウクライナにさえ勝てなかった」という比較論はまったく的外れである。
第2点として、冒頭にあげた「日本は攻撃サッカーをせよ」という意見を言う人は、「日本は世界の中では弱小国だ」との認識がない。そして、そうした弱小国はW杯でどう戦うのがセオリーか? を知らない、ということだ。
第1点であげた通り、ワールドカップに出られなくても日本より強い国はたくさんある。つまり日本はW杯では弱小国だ。「弱者のサッカー」なる言葉がある通り、弱小国はW杯では「負けないこと」を目指す。まず失点しないことを考えるのがセオリーだ。であれば日本がやるべき戦い方は必然的に決まっている。日本は少なくとも守備から入るべきである。
テストマッチで勝つ必要はない
さて最後だ。第3点として、日本はマリやウクライナに勝てなかったが、そもそもテストマッチって勝つ必要があるのか? というポイントへ行こう。ワールドカップに突入する前に行われる試合には、勝ちに行く試合とそうでない試合がある。マリ戦とウクライナ戦は明らかに後者だった。つまりテストマッチである。
テストマッチでは新戦力を試したり、新しい戦術にトライして経過観察が行われる。そして出た結果を本番であるW杯に生かす。そのためのテストが行われる。ゆえに勝敗に特段の意味はない。まずは有意義なテストができること。次にそれを本番に生かすことに意味がある。
第2に日本サッカー協会は、「マリ戦とウクライナ戦に勝てなければ解任ですよ」とハリルに明示していなかった。であればハリルはこの2試合を、いろんなテスト目的として自由に使えるはずだ。「親善試合であろうとすべて勝ちに行くべきだ」などという意見はまったくのナンセンスである。
第3にW杯直前のテストマッチは情報戦の場である、ということ。コロンビアなどワールドカップで日本が対戦する国は、当然、マリ戦とウクライナ戦を偵察し分析している。そんな試合で本番さながらのメンバーと戦術をさらけ出してしまえば、日本は本番前に丸裸にされる。
そして策士のハリルは当然そう考え、隠しておく部分を隠したままあの2試合に臨んだはずだ。つまりそれでは勝てないし、また勝つことが目的の試合ではないからそれでいい。
結論として、「ワールドカップに出場できないマリやウクライナにさえ勝てなかった」という声はまったくの見当はずれだ、ということ。そして弱者である日本はまずW杯で負けないこと。つまり引き分けて「勝ち点1」を積み上げる。ゆえにまずは失点しないことを目指すべきだ。とすれば、そこであるべき戦い方は必然的に決まってくる。それは少なくとも「攻撃サッカー」ではない。