狙いのサイド攻撃が当たらず前半は苦戦した
日本はボランチに山口蛍と遠藤航を使うテストモードにトライした。左SBに藤春を入れて長友を右SBに回し、ワントップに岡崎、トップ下に香川、左に宇佐美、右に原口と、先日のシンガポール戦から大幅にスタメンを入れ替えた。
日本の狙いはサイド攻撃だった。だがカンボジアの人数をかけた手厚いサイド対策に阻まれ、なかなか崩し切れない。こうして無得点のまま、5バックで引いて守る相手の「やらせておく」ゲームプランに雪崩れ込んで行った。
日本は両SBを積極的にオーバーラップさせ、そのかわり守備的なボランチ2枚とCBの4人が自陣に居残り守るゲームプランだった。だがサイド攻撃が機能しないと見るや、後半スタートからゲームを作るタイプのボランチである柏木を投入し、チームは激変。後半に2点を取って格下に辛勝した。
サイドにスペースを作らないカンボジアの5バックに手こずる
ボランチの山口は低い位置から、サイドに開いた宇佐美にダイアゴナルの大きな展開をするなど機能していた。彼は先日のシンガポール戦での柏木を意識したかのような、フィールドを横切る斜めのパスを何度もきれいに決めていた。
だが前線にいるパスの受け手が、カンボジアの5バックの厚い守りに阻まれた。フィニッシュやラストパスの精度にも欠け、前半は点が取れないままズルズル進んだ。日本は次第に焦りも出て、そのうちに運動量も落ちた。もっと早めに1点取れれば展開は大きく変わっていたかもしれない。
日本は両SBが高い位置を取り、チームとしてサイド攻撃を狙っていた。ボランチやCBからサイドに開いたSHへ斜めのパスを出し、そのSHの背後をSBがオーバーラップする。この形を入念にパターン練習していたようだ。
だがカンボジアは5バックなのでシンガポールと同じく引いて守ってはいても、シンガポールのようにサイドにスペースができるわけではない。前半20分くらいまでの日本は悪くなかったが、カンボジアは日本のサイドアタックに対し同サイドに3人が集中的に詰めてくるなどサイドのケアに抜かりがなかった。こうして日本は次第に相手のゲームプランにハマって行った。
日本はしきりに攻めて最終ラインを押し上げるが、逆にパスカットされた後にプレスがかからず高いラインの裏を突かれてカウンターを食らう。ネガティヴ・トランジションが悪かった。その流れで相手に与えた前半30分のFKはあやうく1点もの。カンボジアに何度も危ない場面を作られ、前半は守備面でも大きな課題を残した。
柏木がもたらした「長い槍」が光った
そして後半立ち上がり。スタートから投入された柏木のロングパスが起点になり、ゴール前の交錯からPKを取れた(キッカーの岡崎が外して得点ならず)。だがこのシーンが象徴するように、後半は「柏木の時間」になる。
後半6分にその柏木のFKがカンボジアのオウンゴールを呼び、まずは1点先制。半分は彼のゴールだった。これ以後、相手バックラインの裏のスペースへ柏木が何度も浮き球の中長距離パスを落とした。彼のもたらした「長い槍」が日本のリズムを変えた。後半35分には、GKがかろうじて弾く惜しいミドルシュートも放った。
後半の日本は(アバウトでなく)狙いの正確な裏を狙うロングボールを増やし、「大きなサッカー」をするようになる。
後半13分には原口がドリブルからワンツーでリターンをもらい、最後は逆サイドに詰めた長友にドンピシャの長いラストパス。長友のヘッドは決まらなかったが、完全に日本ペースになった。長友は精力的に攻め上がり、何度もいいクロスを入れていた。
2点目の起点になったのは、右サイドから長友が左の原口へ出したサイドチェンジ。前のスペースに走り込んだ藤春が原口から縦パスを受けてセンタリングし、途中投入された本田がヘッドで決めた。この日何度も上がった藤春はなかなか結実しなかったが、最後に大きな仕事をした。本田はこれでW杯予選5試合連続ゴールとなり、日本新記録を達成した。やっぱりこの男は持っている。
残り5分で交代出場した南野も短時間ながら手応えあり。余裕と風格があり、長い時間プレイさせれば結果を出しそうな予感がする。格下相手に2点しか取れなかったのは大いに不満だが、新しい選手を使うトライをしたことは評価したい。
むしろ宇佐美と香川をスタメンで使ったのが疑問だ
選手別では、個人的に期待していた遠藤航は預けるだけのパスや逃げのパスが目立ち、大きく展開したり「作るパス」が出せなかった。ミスも目立ち、パスカットされカウンターを食らいそうになるシーンもあった。
CBの槙野は長めの縦パスを何度も狙っていた。だが前半21分に両SBがどちらも上がっているにもかかわらず自分でドリブルし持ち上がってボールを奪われ、薄い守備を突かれて一気にカウンターを食らう「やらかし」もあった。
原口は絞り気味でSBが上がるためのスペースを作った。彼はいつものようにアグレッシブだったが、ややプレイに精度を欠く場面もあった。ボールを離すまでのインテンシティは非常にいいが、最後のパス出しやシュートの正確性が課題だ。ミスを減らしたい。
最後に繰り返しになるが、新顔の選手を大胆に試すチャレンジには拍手を送りたい。むしろすでに力のわかっている宇佐美や香川をスタメンで使ったことのほうが疑問だった。特に宇佐美はもうレギュラー脱落ではないだろうか?
日本はボランチに山口蛍と遠藤航を使うテストモードにトライした。左SBに藤春を入れて長友を右SBに回し、ワントップに岡崎、トップ下に香川、左に宇佐美、右に原口と、先日のシンガポール戦から大幅にスタメンを入れ替えた。
日本の狙いはサイド攻撃だった。だがカンボジアの人数をかけた手厚いサイド対策に阻まれ、なかなか崩し切れない。こうして無得点のまま、5バックで引いて守る相手の「やらせておく」ゲームプランに雪崩れ込んで行った。
日本は両SBを積極的にオーバーラップさせ、そのかわり守備的なボランチ2枚とCBの4人が自陣に居残り守るゲームプランだった。だがサイド攻撃が機能しないと見るや、後半スタートからゲームを作るタイプのボランチである柏木を投入し、チームは激変。後半に2点を取って格下に辛勝した。
サイドにスペースを作らないカンボジアの5バックに手こずる
ボランチの山口は低い位置から、サイドに開いた宇佐美にダイアゴナルの大きな展開をするなど機能していた。彼は先日のシンガポール戦での柏木を意識したかのような、フィールドを横切る斜めのパスを何度もきれいに決めていた。
だが前線にいるパスの受け手が、カンボジアの5バックの厚い守りに阻まれた。フィニッシュやラストパスの精度にも欠け、前半は点が取れないままズルズル進んだ。日本は次第に焦りも出て、そのうちに運動量も落ちた。もっと早めに1点取れれば展開は大きく変わっていたかもしれない。
日本は両SBが高い位置を取り、チームとしてサイド攻撃を狙っていた。ボランチやCBからサイドに開いたSHへ斜めのパスを出し、そのSHの背後をSBがオーバーラップする。この形を入念にパターン練習していたようだ。
だがカンボジアは5バックなのでシンガポールと同じく引いて守ってはいても、シンガポールのようにサイドにスペースができるわけではない。前半20分くらいまでの日本は悪くなかったが、カンボジアは日本のサイドアタックに対し同サイドに3人が集中的に詰めてくるなどサイドのケアに抜かりがなかった。こうして日本は次第に相手のゲームプランにハマって行った。
日本はしきりに攻めて最終ラインを押し上げるが、逆にパスカットされた後にプレスがかからず高いラインの裏を突かれてカウンターを食らう。ネガティヴ・トランジションが悪かった。その流れで相手に与えた前半30分のFKはあやうく1点もの。カンボジアに何度も危ない場面を作られ、前半は守備面でも大きな課題を残した。
柏木がもたらした「長い槍」が光った
そして後半立ち上がり。スタートから投入された柏木のロングパスが起点になり、ゴール前の交錯からPKを取れた(キッカーの岡崎が外して得点ならず)。だがこのシーンが象徴するように、後半は「柏木の時間」になる。
後半6分にその柏木のFKがカンボジアのオウンゴールを呼び、まずは1点先制。半分は彼のゴールだった。これ以後、相手バックラインの裏のスペースへ柏木が何度も浮き球の中長距離パスを落とした。彼のもたらした「長い槍」が日本のリズムを変えた。後半35分には、GKがかろうじて弾く惜しいミドルシュートも放った。
後半の日本は(アバウトでなく)狙いの正確な裏を狙うロングボールを増やし、「大きなサッカー」をするようになる。
後半13分には原口がドリブルからワンツーでリターンをもらい、最後は逆サイドに詰めた長友にドンピシャの長いラストパス。長友のヘッドは決まらなかったが、完全に日本ペースになった。長友は精力的に攻め上がり、何度もいいクロスを入れていた。
2点目の起点になったのは、右サイドから長友が左の原口へ出したサイドチェンジ。前のスペースに走り込んだ藤春が原口から縦パスを受けてセンタリングし、途中投入された本田がヘッドで決めた。この日何度も上がった藤春はなかなか結実しなかったが、最後に大きな仕事をした。本田はこれでW杯予選5試合連続ゴールとなり、日本新記録を達成した。やっぱりこの男は持っている。
残り5分で交代出場した南野も短時間ながら手応えあり。余裕と風格があり、長い時間プレイさせれば結果を出しそうな予感がする。格下相手に2点しか取れなかったのは大いに不満だが、新しい選手を使うトライをしたことは評価したい。
むしろ宇佐美と香川をスタメンで使ったのが疑問だ
選手別では、個人的に期待していた遠藤航は預けるだけのパスや逃げのパスが目立ち、大きく展開したり「作るパス」が出せなかった。ミスも目立ち、パスカットされカウンターを食らいそうになるシーンもあった。
CBの槙野は長めの縦パスを何度も狙っていた。だが前半21分に両SBがどちらも上がっているにもかかわらず自分でドリブルし持ち上がってボールを奪われ、薄い守備を突かれて一気にカウンターを食らう「やらかし」もあった。
原口は絞り気味でSBが上がるためのスペースを作った。彼はいつものようにアグレッシブだったが、ややプレイに精度を欠く場面もあった。ボールを離すまでのインテンシティは非常にいいが、最後のパス出しやシュートの正確性が課題だ。ミスを減らしたい。
最後に繰り返しになるが、新顔の選手を大胆に試すチャレンジには拍手を送りたい。むしろすでに力のわかっている宇佐美や香川をスタメンで使ったことのほうが疑問だった。特に宇佐美はもうレギュラー脱落ではないだろうか?