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多様な埴輪(2)

2020-08-13 08:20:34 | 古代と中世

<続き>

前回は特殊器台から円筒埴輪への移行過程をご覧いただいた。以下、各埴輪の出現の順番について一般論を紹介した後、古墳時代前期(4世紀)の古い埴輪から古墳時代中期(5世紀)にかけての埴輪を紹介する。

先ず、埴輪の出現に関する一般論である。最初に出現するのは、円筒埴輪と朝顔形円筒埴輪であることは、先に紹介したとおりである。形象埴輪の出現順は、家形埴輪と鶏(にわとり)を写した鳥形埴輪であろうと云われている。次いで楯と蓋(きぬがさ)を模したものが出現する。蓋は貴人にさしかける傘の一種。これらの形象埴輪がつくられはじめるのは4世紀後半。それ以降、靫(ゆぎ)、甲冑、太刀、鞆(とも)といった武器・武具類の埴輪や翳(さしば)の埴輪が登場する。靫は矢筒、鞆は弓を射るときにけが防止のために手首につけるもの、翳は長い柄のついた団扇のようなもので、貴人にさしかけるもの。これらの次の段階で出現するのが、馬形埴輪や人物埴輪である。

それでは古墳時代前期以降の埴輪を順次紹介する。

舟形埴輪 古墳時代・前期 4世紀 葛城市歴史博物館

冠帽形埴輪 古墳時代・前期 4世紀 桜井市埋蔵文化財センター

翳(さしば)形埴輪 古墳時代・前期 4世紀 

大阪府立近つ飛鳥博物館

靫(ゆぎ)形埴輪 古墳時代・前期 4世紀 

大阪府立近つ飛鳥博物館

円筒埴輪と同じころに既に形象埴輪の一部が造られていたことになり、一般論はあてにならないか?

朝顔形円筒埴輪 古墳時代・中期 5世紀 上淀白鳳の丘展示館

家形埴輪 古墳時代・中期 5世紀 みよし風土記の丘ミュージアム

家形埴輪 古墳時代・中期 5世紀 

湯梨浜町羽合歴史民俗資料館

鶏形埴輪 弥生時代・中期 5世紀 桜井市埋蔵文化財センター

鶏形埴輪 古墳時代・中期 5世紀 安土城考古博物館

水鳥形埴輪 古墳時代・中期 5世紀 安土城考古博物館

水鳥形埴輪 古墳時代・中期 5世紀 大阪府立近つ飛鳥博物館

今回はここまでとしておく。埴輪は有力者が葬られた古墳から出土する。鶏は時告げ鳥である。時を管理するのは有力者の権力の最たるものである。水鳥は死者の霊魂を天界に運ぶ。それぞれの埴輪には意味があった。

<続く>

 


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