世界の街角

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北タイの”カオ二ヨ”は”おこわ”の原風景

2018-08-19 07:41:52 | 古代と中世

30数年前、当地と関りを持つようになったが、当時”カオ二ヨ”なる”おこわ”があることを知った。籐製のような小さな円筒状の蓋物に入っていた”おこわ”である。当然糯米(もちごめ)であるが、インディカ種の長粒米である。指で摘まみながら口に入れるのだが、タイ米特有の匂いはほとんどなく美味であった。その頃口にしたのは、白米の糯米のカオ二ヨであったが、いわゆる赤米のカオ二ヨも存在するという・・・このことについては暫く忘れていた。

過日、市場に出掛けた折、バナナの葉に包まれていたものを見た。カオ二ヨかと聞くと、そうだとのこと、一つ10バーツであったので購入した。滞在先に戻り開けてみると、赤米のカオ二ヨである。

赤米といっても複数種の糯米のようである。見ようによっては”おこわ(強飯)”の小豆のように見える赤米である。

強飯と云えば”ハレの日”に食す。現代に赤米を栽培する機運は高まっているようだが、近年まで壱岐を除き赤米はないに等しく、糯米に小豆をいれて紫に発色させた強飯を、祝いの日に食したものである。いつから小豆で発色させたのか、知る由もないが、昔は赤米の糯米を使っていたのであろう。

北タイは粳米、当然ながらインディカであるが、その品種は多い。次の写真はライスミルクのパッケージである。

なんと白米、赤米含めて7種類のコメのミルクである。赤米でも薄い赤、或いは黒米とでも云う発色のコメもある。弥生かどうか別にして日本の古代、大陸や西南海からの渡来人が、その本貫の地から持ち込んだ稲種はそれぞれであったろうと想像する。そうであれば、日本の古代もまた、パッケージの写真のように、多くの稲種に覆われていたであろうとの想いを持った次第である。


<了>