未だに「非関税障壁でアメリカの自動車が売れない」と我が国を責めるのは戯言だ:
私は5月5日にアメリカの我が国に対する貿易赤字問題を論じて次のように指摘していたので、ここで敢えて重ねてアメリカ側というかデトロイトの主張が如何におかしいかを述べておこうと思う。非関税障壁などという言いがかりは30~40年も前の蒸し返しであって、全く現実味がないのだ。もしもアメリカの自動車メーカーもトランプ大統領も、ライトハイザーUSTR代表が本気でそう言っているのだったら「知らないからこそ言える妄言」の他ならないのだ。
>引用開始
私はトランプ大統領が大統領として貿易赤字を削減しようと言われるのは普通だし、特に間違っているとは思わない。だが、細川氏も指摘されたように30年も前の貿易摩擦の時期に何あったのか、何故アメリカは大きな赤字を抱えるようになったかをご存じで言っておられるとはとても思えないのだ。また、何かと言えば、デトロイトの詭弁を信じて「我が国が非関税障壁を設けてアメリカ産の自動車を輸入しないのが怪しからん」と言うのは、自国の問題点を全く認識していないからこそ言える台詞だと思う。
私は何度「未だに左ハンドルの車しか作らない姿勢を反省もしていないのは不当である。ドイツを筆頭に欧州車が何故我が国で売れているかを知ろうともしないのか」と批判し続けてきた。英語の表現では右ハンドルの我が国の車は The steering wheel is on the wrong side. となってしまうのだ。即ち、「ハンドルが誤った位置にについている」という観念なのだ。誤った位置に付けているのは自分たちだという自覚がないのだ。
細川氏はこの件の締めくくりで興味深いことを言っていたのには同感だった。それは「もしも、我が国がそれではアメリカ産の車を100万台輸入しましょう」と言ったならば、その場合に入ってくるのはアメリカで製造されたトヨタやホンダの車になることになってしまうぞ」だった。現に、所謂逆輸入の車は入ってきている。私は細川氏の言を借りるまでもなく、政府なのか経産省なのか、茂木大臣なのか知らないが、デトロイトに向かっては「貴方たちが如何に誤っているか」を怖めず臆せずに言って聞かせるべきだし、ライトハイザーUSTR代表もこれくらいのことが解っていないはずはないと思っている。
<引用終わる
お気付きの方が多いことを希望的に考えているが、未だにハンドルが反対側に付いた車しか造らず、売れないのを我が国の市場のせいにしている点などは典型的なアメリカの産業界人の悪い癖で「自分たちの至らざるを潔く認めることなく、買わない日本が悪い」と開き直っている姿勢は1990年代かそれ以前から全く変わっていないのだ。私は何度も繰り返して指摘したが、1994年7月にUSTRのカラーヒルズ大使は「対日輸出が振るわないのはアメリカで初等教育が充実していないことと、識字率が低すぎる点に問題があるからだ」と率直に認めておられた。
同じ頃にFRBの議長のグリーンスパン氏は「アメリカの労働者階級では numeracy (=一桁の足し算と引き算ができる能力)が低いことは問題である」と指摘されてていた。これらの指摘が意味するところは簡単に言えば「労働力の質の低さ」である。そういう言い草を21世紀の今日まで引き摺って難癖を付けるアメリカの手法はフェアーではない。尤も、カーラヒルズ大使は「そうであっても買わない日本が悪い」と指摘された。彼らは何があっても負けないのだ。
貿易赤字対策で我が国に圧力をかけるのも一法だろうが、その手法はクリントン政権下でも失敗した実績がある。どのような製品を如何なる手法で売り込めば成功するかをもっと真剣に検討すべきだ。トランプ大統領がご執心のFTAも一つの手段だろうが、それがもしも締結に成功したとしても、どれほどの日時を要するかをお考えだろうかと疑ってしまう。既に指摘したが、W社の紙パルプ製品がなくなっただけでも数百億円を失っているし、他のアメリカの同業者だって同様に市場を失っているはずだ。
我が国がアメリカの貿易赤字削減に協力すべきだろうとは思う。だが、自分たちが何ら工夫も十分な努力もせずにいきなり関税をかけるとか、圧力をかけるだけではこの世界でも有数に難しい市場での売上高を伸ばすのは容易ではないと20数年の経験からも敢えて指摘しておく。ところで皆様に伺いますが、アメリカ産の自動車で何をさて措いても買いたい車種かブランドがありますか。何でも良いからアメリカの製品でなければ買わないと執着されたい品物がありますか。
私は5月5日にアメリカの我が国に対する貿易赤字問題を論じて次のように指摘していたので、ここで敢えて重ねてアメリカ側というかデトロイトの主張が如何におかしいかを述べておこうと思う。非関税障壁などという言いがかりは30~40年も前の蒸し返しであって、全く現実味がないのだ。もしもアメリカの自動車メーカーもトランプ大統領も、ライトハイザーUSTR代表が本気でそう言っているのだったら「知らないからこそ言える妄言」の他ならないのだ。
>引用開始
私はトランプ大統領が大統領として貿易赤字を削減しようと言われるのは普通だし、特に間違っているとは思わない。だが、細川氏も指摘されたように30年も前の貿易摩擦の時期に何あったのか、何故アメリカは大きな赤字を抱えるようになったかをご存じで言っておられるとはとても思えないのだ。また、何かと言えば、デトロイトの詭弁を信じて「我が国が非関税障壁を設けてアメリカ産の自動車を輸入しないのが怪しからん」と言うのは、自国の問題点を全く認識していないからこそ言える台詞だと思う。
私は何度「未だに左ハンドルの車しか作らない姿勢を反省もしていないのは不当である。ドイツを筆頭に欧州車が何故我が国で売れているかを知ろうともしないのか」と批判し続けてきた。英語の表現では右ハンドルの我が国の車は The steering wheel is on the wrong side. となってしまうのだ。即ち、「ハンドルが誤った位置にについている」という観念なのだ。誤った位置に付けているのは自分たちだという自覚がないのだ。
細川氏はこの件の締めくくりで興味深いことを言っていたのには同感だった。それは「もしも、我が国がそれではアメリカ産の車を100万台輸入しましょう」と言ったならば、その場合に入ってくるのはアメリカで製造されたトヨタやホンダの車になることになってしまうぞ」だった。現に、所謂逆輸入の車は入ってきている。私は細川氏の言を借りるまでもなく、政府なのか経産省なのか、茂木大臣なのか知らないが、デトロイトに向かっては「貴方たちが如何に誤っているか」を怖めず臆せずに言って聞かせるべきだし、ライトハイザーUSTR代表もこれくらいのことが解っていないはずはないと思っている。
<引用終わる
お気付きの方が多いことを希望的に考えているが、未だにハンドルが反対側に付いた車しか造らず、売れないのを我が国の市場のせいにしている点などは典型的なアメリカの産業界人の悪い癖で「自分たちの至らざるを潔く認めることなく、買わない日本が悪い」と開き直っている姿勢は1990年代かそれ以前から全く変わっていないのだ。私は何度も繰り返して指摘したが、1994年7月にUSTRのカラーヒルズ大使は「対日輸出が振るわないのはアメリカで初等教育が充実していないことと、識字率が低すぎる点に問題があるからだ」と率直に認めておられた。
同じ頃にFRBの議長のグリーンスパン氏は「アメリカの労働者階級では numeracy (=一桁の足し算と引き算ができる能力)が低いことは問題である」と指摘されてていた。これらの指摘が意味するところは簡単に言えば「労働力の質の低さ」である。そういう言い草を21世紀の今日まで引き摺って難癖を付けるアメリカの手法はフェアーではない。尤も、カーラヒルズ大使は「そうであっても買わない日本が悪い」と指摘された。彼らは何があっても負けないのだ。
貿易赤字対策で我が国に圧力をかけるのも一法だろうが、その手法はクリントン政権下でも失敗した実績がある。どのような製品を如何なる手法で売り込めば成功するかをもっと真剣に検討すべきだ。トランプ大統領がご執心のFTAも一つの手段だろうが、それがもしも締結に成功したとしても、どれほどの日時を要するかをお考えだろうかと疑ってしまう。既に指摘したが、W社の紙パルプ製品がなくなっただけでも数百億円を失っているし、他のアメリカの同業者だって同様に市場を失っているはずだ。
我が国がアメリカの貿易赤字削減に協力すべきだろうとは思う。だが、自分たちが何ら工夫も十分な努力もせずにいきなり関税をかけるとか、圧力をかけるだけではこの世界でも有数に難しい市場での売上高を伸ばすのは容易ではないと20数年の経験からも敢えて指摘しておく。ところで皆様に伺いますが、アメリカ産の自動車で何をさて措いても買いたい車種かブランドがありますか。何でも良いからアメリカの製品でなければ買わないと執着されたい品物がありますか。
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