新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

米が売り場から消えた

2024-08-25 07:28:00 | コラム
オイルショックの再来かな:

昨24日の11時過ぎのこと。高田馬場駅前のバス停のベンチに座っていた。目の前がドン・キホーテという立地条件。そこに、高年齢と思しきご夫婦がお揃いの濃紺のle coqspotif (「ルコックスポルテイフ」というフランスのスポーツウエア)のシャツにRolex(断固として「ローレックス」で「ロレックス」ではない)という出で立ちで「どうしようか」と相談の後で、ご主人が差し迫った硬い表情でドン・キホーテに入って行かれた。

暫くして、落胆の表情で出てきて「ここにも無かった」と奥方に告げられた。奥方は深刻な表情で「どうしようね」の一言。それから暫く何か相談してから「仕方がないね」と諦めの表情でベンチに座り込んだのだった。

確かにここ数日私が何気なく入った数店でも、米売り場の棚は見事に空っぽだった。この傾向は昨年の猛暑による不作で品薄と報じられてからは、値上がりすれども品物は不足の状態に陥っていた。そこに南海トラフ警告と7号台風に対する危険信号が出たのだから堪らない。我が家の前のイオン系の「まいばすけっと」でも米だけではなく、食料品売り場の棚には「空っぽ」が急増し始めた。

店の人に「買い溜めの傾向ですか」と尋ねると「いえ、違います。在庫を絞っているのです」という上手い答えが返ってきた。でも、米は無くなっても「おむすび」は何処に行ってチャンと棚に並んでいる。報道によれば9月になればこの品薄問題は解決されるのだそうだ。

結局は何事も起きなかった南海トラフでの地震云々は、誰にでも「今買っておかないと」とオイルショックの時のあの買いだめ騒ぎを想起させたのだろうと思う。善意から出た警報の副反応はこのように案外に強烈だったのだ。

私は「どう考えても現在の暑すぎる夏は今年限りで終わること」はあり得ないので、不作や凶作になってしまうのは、何も米だけではないとしか思えない。それだけではなくて気象予報を聞いていれば、海水温の上昇傾向は止まるところを知らないようだから、異常気象は続くだろう。台風が発生すれば大型化ではなくて超大型化するのを、現代の科学の力や人力では防げないのだろう。「サンマが大漁」などと喜んでいられる時ではないと思う。

私のように米はいうまでもなく食べる物が本当に無かった戦中・戦後に育ってきて、引退するまでの20年ほどは年の3分の1ほどは米飯が無い国で過ごしてきた者は、米飯が無くても痛痒は感じないのは例外だろう。これから先に「お米を食べて育ってきた世代」のために米作りをどうするかを、為政者は真剣に再検討せねばなるまいと思う。

能登半島地震の後の復旧の手立てでさえ不十分なこの時期に、今週には大型化が予測されている10号台風が本州に迫ってくる。新幹線を止めてしまうとか飛行機を減便するような対策以外の、根本的な策を工夫する時ではないのだろうか。この自然災害対策は自民党の総裁選に誰が出るとか出ないのという問題よりも、米の需給対策と同様に遙かに国民にとって重要であると思う。


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