「ブラックペアン」が気になったで:
TBSだったかがこのように題したドラマの、言うところの「番宣」を繰り返しているのが気になった。それは“black pean“とでもなるのだろうが、それは英語とドイツ語の組み合わせだからだ。
調べてみれば「ペアン」とは「止血鉗子」のことで、“pean“がドイツ語で、英語では“pean forceps“となるのだそうだ。アメリカの病院勤務の経験がある看護師さんは“pean“の発音は「ピーアンとなる」と指摘されていたが、尤もである。
いきなりカタカナ語論から入ってしまったが、本稿の趣旨は「医学用語は今や英語が主体になっているようだが、上記のように(米倉涼子主演等の)テレビドラマでは「ペアン」(pean)」や「コッヘル」(Kocher)が出てくる。そこで、私が経験した医学用語の変遷を取り上げてみるのも一興か」と思った次第である。
私は昭和35年(1960年)12月に急性ヴィールス性肝炎で、横浜警友病院に約1ヶ月半も入院したことがあった。その頃は完全にと言って良いだろうドイツ語の時代。患者である私は“Kranke”、「胃がん」は“Margen Krebs”、「死亡」は“Sterben”、「午後は空いていますか」と看護婦さんが医師に問いかける時には「午後はフライですか」即ち“free“の意味で”frei“を使い、「退院」は”Entlassung“で「エントラッセン」となっていたと記憶。
このような医学用語は時と共に英語化されていったようで、患者を「クランケ」などと呼ぶ病院も医院もクリニックもなくなったようだ。気が付けば薬の名称も「ドイツ・バイエル・アスピリン」も“Bayer”は「バイエル」ではなく「ベイヤー」と英語読みも出てきていた。また、アメリカのジョンソン&ジョンソン社のTylenor(タイレノール)も大いに普及していた。
私は2006年1月に1回目の心筋梗塞を発症した際に命を救って頂けたのは、カテーテル(ドイツ語でKatheter、英語でCatheter=キャセター)による経皮的血管再生術だった。何故か、国立国際医療センター病院でも「カテーテル」のドイツ語読みの儘だった。
さらに2006年末に皮膚癌が発見された時には、主治医は生検の結果で「悪性腫瘍でしたから手術で切除します」と言われてPCを私の方に回された。だが、衝撃を受けたのでそこに出ていた英語での病名は覚えていなかったが、”malignant“という単語はなかった。
英語化された専門語の例をいくつか挙げていけば、「カルテ」(=Karte)もPCに組み込まれているようだ。だが、「カルテ」という呼び方が聞こえなくはなったが“patient’s case record”だの“medical sheet“などと言う英語の表現は使われていないと思う。「慢性の心不全」を抱えている私は6週間置きの検査で最も気にしている項目BNPも,英語で“Brain natriuretic peptide“という英語の略語。
救急隊が使っている専門用語も取り上げておこう。私が何度も搬送して頂いたお陰で覚えたものの中で、病名や症状を現すのは「心筋梗塞」はAMI=Acute myocardial infarctionであるし、CPA=心肺停止は“Cardiopulmonary arrest“なっていて、全てが英語である。
ここまでで指摘したいことは「現在の医学界では専門語の英語化は進んだようだし、コンピュータ化も進んだので、医師を目指す方は読解力や会話の能力も必要かもしれないが、英語そのものに日頃から慣れ親しんでおかねばならない雰囲気を感じている。個人的な興味と関心から話をやや深掘りしてしまった感があるが、何かのご参考にでもなれば幸甚である。
わたしの親戚が医師で、カテーテルは知っていましたが、ドイツ語だったんですね。
わたしが知る限り、現在の成人の日本人の英語は結構ヒドイです。
ビールなどのAsahiのノベルティのカップ&ソーサは、パッケージに「マグカップ&ソーサー」とありました。
ネットでリユースを検索しても、バッグをバック、スモックをスモッグ、
ノークレームノーリターンをノンクレームノンリターン、だの、
ヒドイ横文字がいっぱいです。
最近ようやく小学校から英語教育を行うようになって、英語音痴は近い将来少しは解決しそうです。
マグをマグカップというのでさえ恥なのに、
マグカップ&ソーサーには驚かされました。