世界史を正しく学んでこなかった人には解説できない:
30年近くも前のことだったが、中近東というかアラブ圏内というか、イスラーム教圏内の国に駐在経験がある商社マンにこう言われて「あの地区の情勢の解説をやんわりと断られた事」があった。それから猛反省して世界史を見直してやっと教えて貰えた。この人物が言ったことと、もう一人の同地区での駐在経験者が言うことも、マスコミ論調とは趣を異にしている。
この辺りをもどかしく思っていたが、本日の産経新聞に不肖・宮嶋茂樹氏が”ハマスが「善」でイスラエルは「悪」か?”と題して「直球&曲球」で主張しておられる事柄は傾聴に値するどころではなく、熟読玩味されて良いと思う。彼は「在日イスラエル大使館のそばを練り歩くデモ隊のシュプレヒコールが風に乗って聞こえてくるわ。欧米では東京の比やないで。ロンドンでは30万人も集まったって?主催者発表でも凄いは」と「イスラエルが悪い」と言い募るデモの状況を描写していた。
宮嶋氏の更なる指摘の要点は別途引用するが、彼の見方は上記の駐在経験者たちが言うことと同じことなのである。あの地区で何千年も続いてきた宗教間の争いを適切に解説することなく、現在起きている現象のみを報道して「片方が悪で、一方は善である」かの如き報道の仕方は宜しくないのだと思う。彼は「報道機関はその気で視聴者をミスリードしようとしている」と批判しているのではないか。
我が親愛なるマスメディアの方々は、こういう基本的なことを知らないはずがないのだ」が、「勧善懲悪」の如くに取り上げる方が、視聴率が伸び、新聞の購読者減少がいくらかでも和らぐかと考えているのかと、本気で疑っている。カトリックが主流であると見ているヨーロッパの諸国でも、一般人はフランスを除いて「パレスチナ可哀想派」なのだ。
>引用開始
しかしや、オノレらが連帯を表明し命と自由と人権を守れと叫ぶパレスチナ人が選挙で選んだ政権が「ハマス」なんや。イスラエル領内に何千発ものロケット弾を降らせ、1200人以上の丸腰のイスラエル人を殺戮し、200人以上の人質をガザに拉致したハマスや。立派なテロやんけ。デモ隊の皆様、何でパレスチナへは「人質を解放せよ」とは訴えんの?ハマスのテロは「善」でイスラエルの反撃は「悪」なんか?
<引用終わる
ここまでで十分だと思う。私はヨーロッパの諸国の一般大衆も世界史の勉強不足で、正義の味方的な感情論に囚われて感傷的になっていると見えるのだ。わが国の報道機関も宮嶋氏の上記のような指摘に対して、何処まで筋道を立てて反論できるのかと、興味深く彼の「直球&曲球」を読んだ。
私が言いたいことは「マスコミの善と悪の視点からの報道の仕方が正しいかとか、宮嶋氏の主張が適切であるかを論じることも肝要か」と思う。だが、報道機関は「ハマス善でパレスチナ人が可哀想」であり「イスラエルのガザ侵攻が悪である」という報道の仕方では物事の一面しか取り上げていない偏向した感情論ではないかと指摘されたときに、「いえ、我が方は事態を正確に認識して報道しています」と胸を張って言えるのかと問いかけたい。
嘗ては、マスコミの片隅に片足の指の爪先の突端を入れていた経験もある当方が、報道機関非難をぶち上げるのが適切ではないかも知れない。だが、連日のようにハマス(パレスチナ)側から送られてきた動画や写真を使って「イスラエルは悪」の報道を続けるのが適切なのだろうかと思ってしまう。
イスラエルにも特派員等やらは送り込んでいるはずだから、ネタニヤフ首相の記者会見しか報じておらず、一般市民で家族を失った方や家族を人質に取られた方の声を余り聞いて記憶がないのは何故か。産経新聞の宮嶋氏のコラムは秀逸だと思うが、それとても産経新聞社の社説ではないのだ。宮嶋氏の辛辣な口を借りただけではないか。
飽くまでも一般論だが、我が国と世界の報道機関は事の全容を正しく認識して、感情論に流れず、感傷的ではないことを知らせて欲しいのだ。
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