〇○549の4の1『自然と人間の歴史・日本篇』消費税増税(2019.10~)方針の問題点(あらまし)

2019-03-18 21:21:55 | Weblog
549の4の1『自然と人間の歴史・日本篇』消費税増税(2019.10~)方針の問題点(あらまし)
4.  消費税増税方針(2019.10~)の問題点(あらまし)
(1) 消費減退などから、景気回復中の景気を失速させる恐れがある。この増税の前に値上げをしようとの「便乗値上げ」が、2019年3月時点で始まっているように見受けられる。消費税が増税されると、その分は販売価格に転嫁されよう。消費者の懐具合は厳しくなるので、消費が減退する恐れが濃い。それは、この国の景気に水をさすことが懸念されている。
 そんなおり、国民のため物価の安定を優先すべき立場にあるはずの日本銀行の動きに、消費税増税の影響も物価上昇率に当て込んでいることが判明した。2019年1月の「経済・物価情勢の展望」において姑息な数字合わせをしていた。その目算の中身だが、「日銀の試算によると、消費者物価指数の上昇率は2019年度に0.2ポイント、20年度は0.1ポイント上振れする程度だ」(「納税通信」2019年3月4日付け)という。
① 2014年の8%への引き上げ後の景気減退の経験を踏まえていない。これを進める政治家、財政当局、財界などは、国民経済の行く末を見据えないままに、この増税策を進めている。
②最近の米中の貿易摩擦などを軸にした、世界経済の怪しい雲行きを踏まえていない。また、消費税を巡る海外の動向を踏まえていない。ちなみに、日本経済は、2018年後半からは世界経済の成長鈍化を受け減速傾向を強めており、2019年2月時点で一部上場企業の「3年ぶり減益」が予想されるなど、不透明さを強めつつある。
③これによる財政欠陥が埋まるわけではなく、再建の見通しは明らかでない。したがって、大衆増税のみが先走りしていく恐れがある。
また、消費税収が社会保障関係費に投入されることが明文化(消費税法第一条)されたとはいっても、持続して社会保障関係に十分な手当てがなされていく保証はない。
 ちなみに、2040年の人口予想は1億1091万9千人、2065年のそれは8807万7千人とされている。さしあたっては、2040年頃には65歳以上人口が約40%にもなっていくだろうから、その間はかなりの社会保障関係費が必要とされるだろう(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」2019年版)。
 さらに、増え続ける公共事業費(「復興財源」を含める)や軍事費の負担が、財政に大きくのしかかっている。
④もって今後、一般大衆を苦しめる増税が、次なる消費税増税という形になっていく恐れが大きい。そんな思いを持ちながら今度の増税をみると、大衆増税という道をますます広げる役割を果たすことになりそうだ。
 (2)国民の間に、広く貧困、貧富の差を増大させる恐れがある。
① 所得に対する消費の割合の大きい勤労者層の生活を直撃する。貧困、貧富の差を縮小させるのが経済政策の主な役割であるはずなのに、逆に増大させている。
(3)派遣など、「非正規労働」(本来、この用語は当該労働者に対し失礼な言葉だが、一般的に使われていることから用いている)を企業が増やす傾向を促進する。(詳しくは、次の個別項目を参照されたい)
(4)新設予定の軽減税率に対しては、複雑で曖昧なものとなっている。しかも、低所得者の本当の利益が図られない。インボイスを含め、中小零細事業者の事務負担が増す恐れもある。ポイント還元の仕組みは、増税導入の地ならしにしようとの、政府のご都合主義によるものにほかならない。
①軽減税率はまた、境目を決めるのが難しい。線引きを巡って訴訟も起こりうる。むしろ、一定の所得以下の人や一定の資産保有以下の人に対し、定額の給付金を給付する方がよい。
➁軽減税率では、食料品や外食が中心となろうが、その中にも高級品志向とそうでないものとの区別がありうる。一人当たりにしてみると、前者の方が、より多く減税分の恩恵を受けるのではないか。外食と持ち帰りの区別するのは、外食に依存している人たちの税負担を増やすことになる。
③軽減でも食料品に税率を8%で据え置きというのなら、現下の食料品、生活必需品にかかる消費税率をせめて5%へ引き下げてはどうか、との声も出てこよう。
④ポイント還元とは、中小小売店などで現金を使わずに決裁した時に、購入額の最大5%を国が消費者にポイントで還元する仕組みなのだが、これのために「政府は19年度分の必要予算として2798億円を計上したが、国会では、備品を大量に購入する法人にも還元される」(エヌピー通信社「納税新聞」209年3月19日付け)のだと伝わる。
(5)のちに述べるインボイス制度が導入されていない現状では、前段階税額控除は、仕入額×消費税率が前段階で納税され、かかる額が仕入額にそのまま上乗せされているとの仮定して、計算を行っている。
 この流れだと、中小零細企業を中心に、商売上、価格転嫁が難しくなっているところもあろう。それというのも、彼らからの購入者は、仕入額が消費税分だけ高くなることを拒否しようとも、なおかつ消費税分を税額控除できるからだ。
 こうなると、消費税を滞納もしくは脱税したりしない中では、対応の一つとして値引きする場合があるだろう。例えば、消費税8%のときの税込み価格は(本体価格×1.08)円で表せる。いま税込み価格を1050円におくと、本体価格をX円として、X円×1.08=1050円だからX=約972円となろう。
 本来1000円のものを税込み1050円で売ったとするならば、帳簿上は本体価格を972円に値引きし、そこに消費税8%分の1050-972=78円を上乗せして販売したというという、そのような税負担の公平をゆがめるようなことを許すことになっているのかもしれない。
 このような面からも、今回の消費税増税に際して、4年の猶予をもってインボイスの完全導入が予定されているのであって、それなりに評価できようが、それまでの間は、現状とさして違わないところの消費税10%での税制の運営が続くとみられる。

(続く)
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