○○471『自然人間の歴史・日本篇』1990年代半ばまでの経済

2016-09-04 07:52:37 | Weblog

471『自然人間の歴史・日本篇』1990年代半ばまでの経済

 1990年代の始めから半ばまでの経済状況について、景気刺激策の度重なる投入と、消費税増税への動きが進んでいく。景気刺激については、筆者はこう振り返っている。
 「公共事業増大を軸とする財政支出による下支えが始まりました。92年3月末の公共事業前倒しを中心とした緊急経済対策の実施と従来型の手を打ちました。
 日本銀行は90年8月30日、同3月の第4次に続いて第5次の公定歩合引き上げに踏み切りました。上げ幅は0.75%で、これによって西ドイツ、スイスと同率の6%となりました。90年5月の先進7か国蔵相・中央銀行蔵相会議(G7)の後 さらにイラクのクウェート侵攻による中東情勢の緊迫化の最中の出来事でした。この時点の日米の金利差は、短期金利としてはほとんど並んでいました。
 長期金利差は名目上はアメリカの通常もののTB(財務省証券)と日本の119回国債の名目金利差はアメリカの方が0.84%上であるけれども、物価でデフレートした実質ベースは90年4月頃から逆に日本の方が高くなっていました。
 87年7月以降92年6月末までの間に、4回の公定歩合引き下げることで金融を潤沢にする試みも従来型景気対策といえるでしょう。それにもかかわららず、92年6月を過ぎてからも景気ははかばかしくありません。こうしたデフレ・スパイラルが続いたのは、その効果をうち消すほどに過剰な資本の蓄積が進んでいたからなのです。
 そこで92年8月、総事業規模で10兆7000億円、名目GDP比で2.3%の総合景気対策。6兆2500億円の公共事業。これは一般公共事業+地方単独事業+施設費+災害復旧事業+農業と震災対策費の合計です。そのうちいわゆる真水分は5兆2100億円。公共事業予算追加額は国の1兆8444億円と地方の4兆7062億円の合計で6兆5506億円。公共事業追加額とは、国については補正予算の公共事業関係費のことであり、また地方のそれは決算額から地方財政計画額を差し引いた投資的経費のことを指しています。
 93年4月のそれは13兆2000億円、名目GDP比で2.8%。減税が1500億円。公共事業7兆1700億円。そのうち真水分は6兆720億円。93年9月のそれは6兆1500億円、名目GDP比で1.3%の追加景気対策。減税ゼロ。公共事業1兆9500億円。そのうち真水分は1兆6500億円。93年4月と同9月とを合わせた公共事業予算追加額は、国が6兆5757億円、地方が2兆3799億円の合計で8兆9556億円となった。
 続いて94年2月の総合景気対策としては、15兆2500億円、名目GDP比で3.2%のもの。減税は5兆8500億円の規模でした。公共事業は3兆9500億円。そのうち真水分は3兆3280億円。公共事業追加分は国が1兆6246億円、地方が9304億円の合計でしめて2兆5550億円に膨らんだ。」
 一方、消費税については、1988年12月、竹下登首相(自民党)の下で消費税法が成立する。1989年4月 同内閣の下で税率3%で消費税法が施行されていた。それが、1994年11月、村山富市首相(当時は社会党、現在は社民党)を首班とする連立内閣の下で、消費税率を3%から4%に引き上げ、これに地方消費税1%を加え合計5%にする税制改革関連法が成立する。なお後日談ながら、1997年4月の橋本龍太郎首相(自民党)内閣の下、消費税率の5%への引き上げを施行する。(その後は、2012年6月、野田佳彦首相(民主党)内閣の下で、税率を2014年度に8%、15年度に10%に引き上げる法案を提出する。同案は、同年8月10日の参院本会議で可決成立する。2014年4月、安倍晋三首相(自民党)を首班とする連立内閣(自民党と公明党)下で消費税率8%に引き上げを施行する。2014年11月、同内閣は、2015年10月に10%に引き上げるとしていた税率引上げを2017年4月に延期する、等々の歩みとなってく。


(続く)

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