♦️221『自然と人間の歴史・世界篇』気体の状態方程式の発見(1662~1802)

2021-10-29 09:54:03 | Weblog

221『自然と人間の歴史・世界篇』気体の状態方程式の発見(1662~1802)


    1662年、イギリスの化学者ロバート・ボイル(1627~1697)は、閉じ込められた気体の圧力Pと体積Vとの間にPV=一定との関係があることを発見する。これに続いての1787年、今度はフランスの学者ジャック・シャルル(1746~1823)が、「酸素、窒素、水素などの気体の体積は、摂氏0(ゼロ)度から80度の間で直線的に変化することを発見する。
 

 これを、前記のボイルの業績と連動させて、「ボイル・シャルルの法則」と呼ぶ向きがある。ところが、彼は学会とは距離を置いていて、この研究成果を学会で発表しなかったという。

 そして迎えた1802年、フランスのゲイ・リュサックは、シャルルが見出していた気体と温度との関係を、自前の実験装置を用いて定量的に示すのに成功する。具体的には、空気、水素などを用いた気体の体積の増減を繰り返すことで、その「気体の体積は一定圧力のもとでは摂氏1度の温度上昇によって、摂氏0度の体積の273分の1度ずつ増加する」といい、これを「リューサックの第一法則」と呼ぶ。

 これに触発されたのがイギリスの物理学者のトムソン(のちのケルビン卿(きょう)、1824~1907)であって、1848年、かかる温度をゼロとする新しい温度目盛り(絶対温度T)を提唱する。さらにオランダの化学者ファンと・ホッフ(1812~1911)は、1モルの気体に対する一定量をR(気体定数)とし、n(エヌ)モルの気体に当てはめたときの関係式PV=nR0T(エヌアールゼロティー)を提案する。現代化学ではこれを「理想気体の状態方程式」と呼ぶ。


 なお、この「モル数」で表現した気体の状態方程式、PV = nR0T の導出としては、まずは、1モルの気体は、標準状態、すなわち0℃、1気圧( 1.013×105Pa)において、22.4リットルを占めており、この事実の説明から始めよう。

 言い換えると、このアボガドロの法則によると、同一温度、同一圧力、同一体積のすべての種類の気体には同じ個数の分子が含まれる。

 これは、イタリアの化学者アボガドロ(1776~1856)が発見したもの。その名前は、アボガドロの死後の1860年に開催された世界初の化学者国際会議で、彼の功績を記念して付与された。ちなみに、アボガドロは、「酸素や水素などは原子で存在するのではなく、二つの原子から成り立つ分子として存在する」ことも提唱した。


 それでは、その個数はいったい幾らなのかというと、くどくなるが、0℃、1atm、22.4リットルの中に 約602000000000000000000000個 というのだから、いかに多いかおわかりいただけよう。短く書くと、 6.02×10の23乗個 だ。

 さらに便利な表現で、短く書くと 、上記の関係を用いて1mol(いちもる)と表現でき、この個数をアボガドロ定数といい、記号で表すときは 「NA 」が便利。しかして、A = 6.02×10の23乗 /mol 。
 そこで、これを状態方程式に代入すると、こうなる。
 R0 = PV/nT = (1.013×105×22.4) /( 1×273)
  = 8.31*103 [(Pa・L)/(K・mol)]
  = 8.31 [J/(K・mol)]
 なお、R0 は一般気体定数と呼ばれ、気体の種類に依存しない定数となっている。



(続く)

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