876『自然と人間の歴史・世界編』エジプト(1990~2018)
エジプトにおいては、2011年2月の「アラブの春」によりムバラク大統領が辞任を余儀なくされた。長期政権の終わりとなり、自由を叫ぶ民衆には高揚感があった。
2012年6月に行われた大統領選挙では、イスラム組織「ムスリム同胞団」出身のムルシが新大統領に当選する。就任するや、彼は宗教色を強める方向へと動いていく。8月、そのムルシ大統領がタンタウ国防相を解任し、シーシを指名する。
2013年6月、反ムルシ派の大規模なデモが起きる。これを利用して、軍がムルシを大統領職からおろし、イスラム色の強い政権は崩壊する。暫定内閣が組閣となる。ムルシの勢力は排除された。8月には、治安部隊がムルシ派のデモを排除し、多くの死傷者が出る。
2014年6月には、軍のシが大統領に就任する。2016年4月、紅海にあるチラン、サナフィルの2つの島がサウジアラビアに帰属するという内容でサウジ政府と合意する。12月には、カイロのコプト教会で爆発が起き、ISが犯行声明を発す。
2016年の8月には、IMF(国際通貨基金)から3年間で計120憶ドルの融資を受けることで合意をとりつけたという。11月には、通貨のエジプトポンドの固定相場制を変動相場制に改めた。ところが、通貨の価値は、2018年3月の時点では、ドルの半分以下になっているとされるのだが。2017年の物価上昇率が高いのには、通貨減価による輸入価格の上昇も寄与しているのではあるまいか。
2017年4月には、アレクサンドリアなどコブト教会で連続爆破事件が起き、ISが犯行声明を行う。エジプト政府は、全土に国家非常事態を敷く。5月、中部のミニヤ県でコブト教徒をせたバスが襲撃を受け、ISが犯行声明を発す。11月には、シナイ半島のモスクがテロ攻撃を受け。300人以上が死傷する。
(続く)
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