【掲載日:平成25年5月17日】
立ちて居て たどきも知らず 我が心 天つ空なり 地は踏めども
惹かれる思い 来るのは何処か
天が持て来か 胸から湧くか
逢えんで苦し 逢た後さらに
ずっと一緒に 居りたい居たい
立ちて居て たどきも知らず 我が心 天つ空なり 地は踏めども
《この恋は どしたら良んや わしの胸 ただぼんやりと 立ってるだけや》
―作者未詳―(巻十二・二八八七)
いでなんぞ 我が幾許だく恋ふる 我妹子が 逢はじと言へる こともあらなくに
《なんでわし こんな恋しゅう 思うんか あの児逢わへん 言た訳違うに》
―作者未詳―(巻十二・二八八九)
なかなかに 黙もあらましを あづきなく 相見そめても 我れは恋ふるか
《黙ってて 済ますんやった 迂闊にも 一目で惚れて 恋苦しんどんや》
―作者未詳―(巻十二・二八九九)
何時はなも 恋ひずありとは あらねども うたてこのころ 恋し繁しも
《何時言うて 恋し無いとき 無いけども なんやこの頃 偉ろ恋しいで》
―作者未詳―(巻十二・二八七七)
我妹子が 笑まひ眉引き 面影に かかりてもとな 思ほゆるかも
《あぁお前 笑顔や眉毛 ちらついて 辛抱たまらん 恋してならん》
―作者未詳―(巻十二・二九〇〇)
さ夜更けて 妹を思ひ出で 敷栲の 枕もそよに 嘆きつるかも
《真夜中に ふいにお前を 思い出し 枕鳴るほど 身悶えしたで》
―作者未詳―(巻十二・二八八五)
朝去にて 夕は来ます 君ゆゑに ゆゆしくも我は 嘆きつるかも
《朝帰っても 晩にまた来る あんたやに 罰当たりやな 溜息するて》
―作者未詳―(巻十二・二八九三)
我が恋は 夜昼別ず 百重なす 心し思へば いたも術なし
《恋苦しんは 夜昼無いで 次々に あんた出て来て どう仕様もないわ》
―作者未詳―(巻十二・二九〇二)
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