【掲載日:平成21年9月10日】
ほととぎす 間しまし置け 汝が鳴けば
吾が思ふ心 いたも術なし
【味間野 味間野神社から東方を望む】
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悲しみの中 戻る落ち着き
大赦の 外れ・・・
もう 諦めが 身に付いていた
娘子・・・
可哀そうなことをした
今少し わしが 強くあれば
生きているうち
愛し恋しと 思うたは わしの 甘えであったな
今
心寄る辺 花と鳥ばかり
鳥 とりわけ ホトトギスの声
耳を 離れぬ
昔を 思い出させると言うは
虚言では なかったのだ
わが宿の 花橘は いたづらに 散りか過ぐらむ 見る人無しに
《家の庭 橘の花 可哀そに 誰も見らんと 散り過ぎてまう》
―中臣宅守―〔巻十五・三七七九〕
恋ひ死なば 恋ひも死ねとや ほととぎす 物思ふ時に 来鳴き響むる
《ホトトギス 恋死ぬんやったら 死ね言うか 沈んでるとき 喧しいに鳴く》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八〇〕
旅にして 物思ふ時に ほととぎす もとな勿鳴きそ 吾が恋まさる
《配流先で 沈んでるのに ホトトギス 寂しう鳴くな よけ恋しなる》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八一〕
雨隠り 物思ふ時に ほととぎす わが住む里に 来鳴き響もす
《雨降りで 心湿るに ホトトギス わし居る里で 騒がしゅう鳴く》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八二〕
旅にして 妹に恋ふれば ほととぎす わが住む里に こよ鳴き渡る
《配流先で お前恋しと 思てたら 鳴くホトトギス 都里向いて飛ぶ》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八三〕
心なき 鳥にそありける ほととぎす 物思ふ時に 鳴くべきものか
《ホトトギス お前ホンマに 慈悲無いな 沈んでる時 鳴くやつあるか》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八四〕
ほととぎす 間しまし置け 汝が鳴けば 吾が思ふ心 いたも術なし
《ホトトギス 引っ切り無しに 鳴きないな 聞いたら心 締め付けられる》
―中臣宅守―〔巻十五・三七八五〕
何時果てるとも 知れぬ 配所暮らし
娘子の 冥福を祈りつつ
寂しく 日々が 過ぎて行く
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