令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

あぢま野悲恋(9)間しまし置け

2009年08月31日 | あぢま野悲恋
【掲載日:平成21年9月10日】

ほととぎす あひだしまし置け が鳴けば
               ふ心 いたもすべなし


【味間野 味間野神社から東方を望む】


悲しみの中 戻る落ち着き 
大赦たいしゃの 外れ・・・ 
もう あきらめが 身に付いていた
娘子おとめ・・・ 
可哀かわいそうなことをした
今少し わしが 強くあれば 
生きているうち  
いとし恋しと 思うたは わしの 甘えであったな

 
心寄る 花と鳥ばかり
鳥 とりわけ ホトトギスの声 
耳を 離れぬ 
昔を 思い出させると言うは  
虚言そらごとでは なかったのだ
わが宿やどの はなたちばなは いたづらに 散りか過ぐらむ 見る人無しに
うちの庭 橘の花 可哀かわいそに 誰も見らんと 散り過ぎてまう》 
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七七九〕
恋ひなば 恋ひも死ねとや ほととぎす ものふ時に 鳴きとよむる
《ホトトギス 恋死ぬんやったら 死ね言うか 沈んでるとき やかましいに鳴く》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八〇〕
旅にして ものふ時に ほととぎす もとなきそ こひまさる
配流たび先で 沈んでるのに ホトトギス 寂しう鳴くな よけ恋しなる》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八一〕
あまごもり ものふ時に ほととぎす わが住む里に とよもす
《雨降りで 心湿しめるに ホトトギス わしる里で 騒がしゅう鳴く》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八二〕
旅にして いもに恋ふれば ほととぎす わが住む里に こよ鳴き渡る
配流たび先で お前恋しと 思てたら 鳴くホトトギス 都里さと向いて飛ぶ》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八三〕
心なき 鳥にそありける ほととぎす ものふ時に 鳴くべきものか
《ホトトギス お前ホンマに 慈悲じひ無いな 沈んでる時 鳴くやつあるか》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八四〕
ほととぎす あひだしまし置け が鳴けば ふ心 いたもすべなし
《ホトトギス 引っ切り無しに 鳴きないな 聞いたら心 締め付けられる》 
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―〔巻十五・三七八五〕

何時果てるとも 知れぬ 配所暮らし 
娘子おとめの 冥福めいふくを祈りつつ 
寂しく 日々が 過ぎて行く 



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