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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(16)萩の古枝に

2010年01月19日 | 赤人編
【掲載日:平成22年3月12日】

百済野くだらのの 萩の古枝ふるえに 春待つと 居りしうぐひす 鳴きにけむかも


春まだ浅い野  梅がほころびを待つ
かすかに 鶯の声
赤人は  思いやっていた
〔あれは 野枯れた原を 辿たどっていた折であった
 季節はずれの  鶯 
 萩の古枝ふるえだ 寒げに 止まってった
 あの 枯野のおもむき
 なぜか 心にかるものがあった〕

百済野くだらのの 萩の古枝ふるえに 春待つと 居りしうぐひす 鳴きにけむかも
《百済野の 萩の古枝 止まってた 春待ちどりは もう鳴いたかな》
                         ―山部赤人―〔巻八・一四三一〕 

あしひきの  山谷越えて 野づかさに 今は鳴くらむ うぐひすの声
《山や谷  越えて野の岡 来て今は 鳴いてるやろな 鶯の声》
                         ―山部赤人―〔巻十七・三九一五〕 

恋しけば 形見にせむと わが屋戸やどに 植ゑし藤波 いま咲きにけり
郭公かっこうを 偲ぶよすがに 植えといた うちの藤花 今咲いたがな》
                         ―山部赤人―〔巻八・一四七一〕

そこには  
自然の中に身を置き  
あるがままを楽しむ  
枯れた赤人が  いた