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富士急行8000系「フジサン特急」(2)~車内編

2015-07-14 | 鉄道[甲信越]

先月「MAKIKYUのページ」では、小田急から富士急行へ譲渡された8000系車両(元20000形RSE)に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子に関して取り上げたいと思います。

20000形RSEは小田急時代、2階がグリーン車となっているダブルデッカー車2両を組み込み、7両で運行していたものの、富士急では輸送実態に合わせ、両先頭車と平屋車1両の3両という編成に短縮されています。


RSEはダブルデッカー車の車内設備が特徴的で、グリーン車以外にも階下にはグループ客向けのセミコンパートメントも設けられていましたが、平屋車は有料特急車両では典型的な回転式リクライニングシートが2+2列配置で並んでおり、富士急でも3両中2両はこの座席配置をほぼそのままの形で踏襲しています。

特に大月・河口湖方の先頭車両に関しては、フジサン特急らしいイラスト入りのシートカバーやカーテンなどを除くと、小田急時代と殆ど変わらない雰囲気となっています。


座席なども小田急時代そのままですので、シートピッチはまずまずですが、足元が詰まっていて狭いと感じる状況は相変わらずで、全線乗り通しても1時間に満たない「フジサン特急」では大きな問題にはならない気もしますが、長時間乗車となると少々難のある座席と感じます。


中間車両は富士急移籍に合わせ、バリアフリー対応車に改造されたのが大きな特徴で、客ドアもこの車両だけ原型の折戸ではなく、幅が拡張された引戸になっています。


この引戸近くに車椅子対応型の大型トイレも設けられており、これは小田急時代と最も異なる点と言えます。

客室も新設された引戸のあるデッキからすぐの座席だけ、段差なしで客室内へ入れる様になっており、この区画が車椅子対応席になっていますが、それ以外は小田急時代を踏襲したハイデッカー構造となっています。


そのため車椅子対応区画から背後の座席へ向けて階段が設けられており、この階段を見ると、RSEがハイデッカー構造である事を改めて実感させられますが、階段以降の客室設備は大月・河口湖方の先頭車両と同様に、小田急時代と余り差異がない様に感じたものでした。


その一方で富士山方先頭車に関しては特急料金に加えて、他の2両よりも割高な特別料金を要する車両になっている事から、小田急時代とは設備的に大きく異なる車両になっているのが大きな特徴です。


車端にある折戸の客ドア近くは、座席こそ従来用いていたモノを再用しているものの、向かい合わせ配置でテーブルを配置し、グループ客向け座席としており、小田急時代に存在したセミコンパートメントこそ廃止されたものの、これに近い区画が別の形で復活したと言っても過言ではない状況になっています。

それ以外の座席は2+1列配置となっていますが、1列席はかつて2階建て車の階下にあった座席を転用したものと見受けられ、座席の窓側にはテーブルが配置されているのが大きな特徴です。


2+1列配置ながらも、グリーン車の如く座席の横幅が大きく拡がった訳ではなく、シートピッチ自体も小田急時代と大差ない状況、足元の狭さも相変わらずですので、座席だけを見ると要特別料金の車両にしては役不足が否めない気がします。


ただこの車両は先頭の運転席背後に、座席定員には含まれないラウンジが設けられ、このフリースペースの存在も考慮すると、座席指定で確実時着席できる事と合わせ、多少の特別料金を要するのも…と感じる所です。

多数の乗客で新宿~町田間などでは特急券完売、乗車後に特急券を購入した場合は車内発券料金を徴収する事で、事前購入をお願いしている状況の小田急ロマンスカーでは、先頭に定員外のフリースペースを設置する事はとても…と思います。

そのため小田急ロマンスカーではまず実現できないゆとりある空間から、富士急の名物とも言える富士山の展望を求めるのであれば、大月から富士山方向へ向かう際には利用価値ありなのでは…と感じたものでした。


このラウンジには子供向けに、運転台の模造品も設置されていましたが、ワンハンドルの8000系とは大違い、これはよく見ると以前発売されていた鉄道模型運転用コントローラー(模型用にしては結構いい値段でした)で、形状こそ国鉄末期の標準的な形態と言っても過言ではないですが、大きさは実際に運転台よりも小ぶりですので、子供向け運転台として使うには丁度良いアイテムとも感じたものでした。

富士急行ではRSEに続き、兄弟車両とも言えるJR東海・371系も購入しており、今後転用改造を施した上でこちらも「フジサン特急」として運用見込みとなっていますが、改造内容がRSEと同様になるのか、それともまた異なった雰囲気の車両になるのかも気になる所です。

また8000系に乗車した際の感想としては、特急料金の設定金額などを踏まえると、設備的にはそこそこのてレベルで、車両自体の快適さは旧国鉄車両を用いている先代の2000系よりも向上した反面、先代は元グリーン車だけあって非常にゆとりのある座席が特徴的でしたので、座席に関しては先代車両と比べると、グレードダウンが否めないと感じてしまったものでした。

全車両で先代レベルを求めるのは過酷かと思いますが、今後廃車発生品などを用い、富士山方先頭車だけでもグレードアップできないものか…と感じたものですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
(シートピッチを拡張する代わりに座席を2+2列配置にすれば、窓割が合わず展望性に難のある座席が生じる欠点はありますが、着席定員自体はさほど変わらない気もしますので…)



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2 コメント

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通りすがりのものですが、・・・ (のんびりてっちゃん)
2018-01-12 22:16:17
はじめまして。
私は富士急行の2000系と8000系の過渡期に両方乗車しました。
どちらかというと2000系に期待して行ったのですが、2000系は老朽化している上、座席間隔が間延びしすぎで決して快適とは言えず、帰路に乗車した8000系の方が圧倒的に快適でした。
貴殿は、もしかして相当の長身だったり?
体型も違えば、感じ方も人各々でしょうかが、なんとなく気になったのでコメントしました。
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車両自体の老朽化は… (MAKIKYU)
2018-01-19 21:14:43
のんびりてっちゃん様はじめまして。

車両の快適さに関してどの様に感じるかは個人差もあり、旧2000系車両に関しては老朽化が否めない部分もあると感じたものでしたが、元がグリーン車だった車両という事もあり、座席など設備面では現行特急車を凌ぐ存在だったと感じています。

またこちらの体格は人並み程度かと思いますが、座席下の足を延ばせる空間確保の有無がシートピッチと共に居住性を大きく左右する要素と感じています。

シートピッチがやや狭い車両でも、前列座席下に足を延ばせる構造になっていると、長時間乗車の際などは有難いと感じる事も多いです。

元々兄弟車両として製造され、現在富士急で活躍している8500系(元JR371系)は、シートピッチなどのスペックは8000系(元小田急20000形RSE)と大差ないものの、座席下の空間確保有無という点では差異があり、座面や背もたれなどの座席自体も含め、8000系に比べると快適性の面では上を行く存在なのでは…とも感じています。

ただ8500系は拘りのデザイナーが車両の持ち味を潰してしまう程の大改装を行い、内装なども好みが大きく分かれる非常に個性的な車両ですので、この車両に関しても評価は大きく割れる所だと思いますが…
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