MAKIKYUは今年春も「青春18きっぷ」(随分前に概要を記した記事があり、青春18きっぷに関して分からない方はこちらをクリック)を購入し、一昨日その1回目を使って日帰り小旅行(今年春は、大半がこの様な使い方になりそうです)に出かけたのですが、その目的地として選んだ場所は静岡県・伊東でした。
伊東を目的地に選んだのは、現在MAKIKYUが居る横浜市内からもさほど遠くない割に、あまり訪問する機会がなかったのも一つの理由なのですが、昨年秋に海老名で開催された「小田急ファミリー鉄道展」の会場で展示されたバス4台の内の一つ、東海バスのリンガーベル号に乗車したかったという事があり、伊東観光フリーパス(伊東周辺の東海バスが乗り放題で現地発売は当日限り有効:また小田急線の各駅などで、伊東までの往復とセット発売されているものもあり、こちらは有効期間が長くなっています)を購入して乗車してきました。
(ちなみに他の3台は神奈中・三太号(以前取り上げた記事はこちらをクリック)と箱根登山・箱根施設めぐりバス、立川バス・リラックマバスです)
リンガーベル号とは、平成初頭(1989~90年)に東海バスが伊東周辺の観光路線用に導入したバスで、メキシコのストリートカーをイメージしたレトロ調の特注車両(この車両の車体は、東京特殊車体という会社が製作しています)は、一般の路線バスとは全く別物で非常に存在感がありますが、運行本数が限られていますので、予め運行時刻を調べておかないとなかなか遭遇できない車両です。
車内に足を踏み入れても、木材を多用したダブルルーフの天井などは非常に印象的で、床下も座席下は木材を用いています(旧年式車でよくある黒い油が塗られたものとは異なります)が、車両自体もミッドシップエンジン(車体の中央付近にエンジンを設置:日本国内を走る路線バスは、殆どがリアエンジン車)である事もあって、前側が通路の両側に2人がけを配し、後側はロングシート配列で最後尾まで座席が設置(しかも最後尾の3枚窓は両脇が開閉可能です)されているのは特徴的です。
ただミッドシップエンジン車でエンジンが車体下にある上に、下回りはトラック用をベースにしている事もあって、騒音や振動(MAKIKYUが乗車した際の感想としては、エンジンブレーキ作動時が特に凄まじく感じられました)がかなり大きく、日野製の一般路線車とは大きく異なる独特な乗り心地が楽しめる反面、リンガーベル号の運行区間を考えるとさほど問題にはならないとはいえ、居住性も決して良いと言えないのは難点です。
また東海バスが保有している本当のレトロバスとして有名な、ボンネットバス「伊豆の踊子号」などに比べれば、遥かに新しい車両とはいえ、現在首都圏などの大都市圏では、排ガス規制の影響などで平成7~8年(1995~96年)頃の車両が退役となっており、大都市圏で退役した車両を中古として導入している地方事業者(東海バスもその一つです)でも、この年式の中古車両を導入する事で、昭和末期(60年代)~平成初期にかけて導入した車両(中古・自社発注共)を淘汰している状況ですので、路線バスの寿命を考えると、レトロ調というだけでなく実際に古参格に当たります。
その上ミッドシップエンジン車故に、一般の2段ステップ車に比べても床面の高さは高く、その上1扉車で前方に2人がけ座席がずらりと並んでいますので、このバスが製造された頃はさほど意識されなかった、車椅子での乗車などといったバリアフリーの観点でも厳しいものがあり、今では本当にレトロなバスと言っても良い状況になっています。
(ただ年式が古い割に、サイドブレーキがホイールパーク式になっている辺りはこのバスの面白い点ですが…)
そのため今後同種のバスが導入される可能性はまず考えられず、またリンガーベル号自体も年式的にはいつ退役しても不思議でない状況ですが、特別な車両故に手入れにも念を入れているのか、内外共に年式の割には綺麗に使われている印象を受けましたので、伊東観光の目玉として今後も活躍する事を期待したいもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会がありましたら、是非リンガーベル号に乗車されてみては如何でしょうか?
ちなみに伊東市内を走るリンガーベル号の運行時刻は一応決まっている様で、全て伊東観光フリーバス通用エリア内での運行(シャボテン公園~伊豆高原駅~伊豆海洋公園は、伊豆高原・城ヶ崎フリーパスでも乗車可能です)ですが、MAKIKYUが把握している限りでは以下の便での充当を確認(他に朝方の運行もあり、また事情による車両変更の可能性もあります)しており、乗車を検討される方は参考にして下さい。
シャボテン公園→伊東駅 1050
(伊東駅向かいの待機場で比較的長時間停車しています)
伊東駅→シャボテン公園 1240
シャボテン公園→伊豆高原駅→伊豆海洋公園 930 1355
伊豆海洋公園→伊豆高原駅→シャボテン公園 1005 1505
写真はリンガーベル号の外観(左前方/右後方から撮影)と、車内の様子(前方/後方から撮影)です。