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ソウルメトロ・2号線で追突事故発生~他にNYでも地下鉄事故が…

2014-05-04 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先月大韓民国(韓国)では清海鎮(Cheonghaejin)海運が運航する仁川(Incheon)~済州(Jeju)間貨客フェリー「セウォル」号が、全羅南道・珍島(Chindo)沖で転覆・沈没し、その後の対応にも問題があったため、現在確定しているだけでも200名を超える犠牲者が出る程の大惨事となっています。

この事は韓国内に限らず、韓国外でも大きく報じられており、「MAKIKYUのページ」でも既にこの事故に関連した記事も取り上げていますので、アクセス頂いている皆様方もご存知かと思います。

韓国社会におけるセウォル号沈没事故の衝撃は極めて大きく、事故後次々と明るみになった清海鎮海運の杜撰極まりない運航体制は言語道断で、セウォル号と共に仁川~済州間を運航し、一部では兄弟船とも言われる「オハマナ」号の運航停止・特別監査は当然と感じます。

清海鎮海運以外の公共交通機関各事業者における安全確保も特に注目されている最中、今月に入ってから首都ソウルにおいて地下鉄の追突脱線事故が発生しています。

今月はソウルだけでなく、米国New Yorkでも地下鉄脱線事故が発生した事が報じられ、こんな短い期間に次々と事故が発生するのは…とも感じますが、現在報じられている限りではセウォル号沈没事故とは異なり、両国を代表する2都市でほぼ同時期に発生した地下鉄事故では、共に死者発生の報を聞かないのが不幸中の幸いと感じます。

今回事故が発生したソウルメトロ2号線は、ソウル市内を環状運行する循環線区間と、車両基地への入出庫を兼ねた2線の支線から構成され、比較的歴史の浅いソウルの都市鉄道においては老舗格的存在で、ソウル市内の公共交通機関各路線の中でも非常に利用が多い路線の一つとなっています。

MAKIKYUがソウルへ足を運ぶ際には、市内宿泊場所の関係などもあり、2号線は必ず乗車する路線という程ではないのですが、それでも何度も乗車した事がある路線で、今回事故が発生した上往十里(Sang-Wansimni)駅を利用した事はないものの、循環線区間に存在する同駅は何度か通った事があります。

そのためMAKIKYUは米国へは足を運んだ事はなく、New Yorkは馴染みの薄い遠方の土地と感じる一方、ソウルは異国とは言えども訪問回数は2桁に達し、その中でも実際に何度も利用している路線で発生した事故だけに、上往十里駅の追突脱線事故は非常に身近な所で…と感じます。

今回の追突脱線事故は信号や保安装置(ATSなど)が正常に機能していれば、ブレーキが利かないなどの車両故障がない限りまず発生しない事故で、信号や保安装置が故障していたか、或いは意図的に保安装置が機能しない状況で運行したのが事故の主因かと思います。

信号や保安装置の故障も恐ろしい話ですが、意図的に保安装置が機能しない状況で運行したのであれば、安全意識の欠如によって発生した人災と言わざるを得ない事になります。

少なくとも「人災」ではない事を願うと共に、事故原因の究明と十分な再発防止策が講じられ、再び同種事故の報を聞かない事と、負傷者の早期回復を願うばかりです。

ちなみに今回追突脱線事故が発生した2号線は、ソウルの都市鉄道においては老舗格的路線と言う事もあり、開業当初に導入された車両は経年で置き換えられており、その後導入された車両も新型車両への取替えが進み、現在は10両編成で運行される循環区間充当車両だけでも、新旧合わせ複数種の車両が入り乱れて活躍する路線となっています。


今回の事故該当車両は、衝突側・被衝突側共に現行車両の中では古参に属する部類の車両で、両車種共に以前「MAKIKYUのページ」でも類似車両に関して取り上げた事がありますが、一方は2号線開業当初に導入された車両と類似したデザインで、地下鉄車両ながらも日本ではありえない「前面非貫通車」となっています。
(韓国では前面非貫通の地下鉄車両がソウルメトロ2号線だけでなく、釜山(Busan)や大邸(Daegu)でも運行しています)


もう一方の編成も、前面非貫通の先頭車を含む古参車両の編成で、後年組み込まれた比較的経年の浅い車両を寄せ集め、一部中間車の先頭車化改造などを行った編成で、これらの古参編成はクリーム色と緑色の装いとなっているのも大きな特徴です。
(2号線の新型車両はラインカラーの緑帯を巻いたステンレス車体です)

ちなみにこの記事で使用している画像は、過去の既公開記事でも使用した2006年撮影の聖水(Seongsu)支線(聖水~新設洞(Sinseoldong)間)活躍車両です。

聖水支線はソウル市内を走る都市鉄道の中では、最短の部類に入る4両編成での運行となっているのも特徴ですが、ソウルメトロをはじめとする韓国の地下鉄は日本とは比べ物にならない勢いでホームドア設置が急速に進み、現在では同じアングルでの撮影は…という状況になっています。
(スクリーンタイプのホームドアが導入されれば、車両の駅撮りには非常に有り難くない存在ですが、ホームドア形状の是非はともかく、ホームからの転落による人身事故などの輸送障害が近年多発している状況を鑑みると、ホームドア設置可能箇所への設置自体は、安全性が高く安定した輸送を実現するには重要な事かと思います)

安全面などで現在色々問題になっている韓国の公共交通機関も、日本より進んだ部分もあり、この事は鉄道や船舶だけでなく路線バスなどでも同様ですが、日韓両国で互いに良い面を生かし、取り入れつつも各種の問題点を着実に改善し、今後両国の公共交通機関がより良いものとなる事を願いたいものです。


(追記)今回の事故はネット上のニュース記事などを見ると、「人災」ではなく信号機データ変更の際にデータ入力ミスがあり、事故の数日前から保安装置が正常に作動しない状況になっていた事が主因の様です。



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