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寝台特急・はやぶさ/富士号(開放室B寝台編+α)

2008-01-10 | 鉄道[九州・JR]

    
 
既に何度か取り上げている寝台特急・はやぶさ/富士号に関する記事ですが、今日は両列車における連結車両の過半数を占める開放室B寝台に関して取り上げ、またMAKIKYUの感じている事なども少々言及したいと思います。

両列車の編成はそれぞれ6両(併結時は12両)で、その内A寝台とB寝台の個室車両が1両ずつという事は以前にも記し、これらの車両に関しては既に「MAKIKYUのページ」内でも取り上げていますが、残り4両(併結運転時は8両)とはやぶさ/富士号両列車の過半数を占めている車両が、俗に開放室と呼ばれる一般的なB寝台車で、その内両列車の熊本・大分方1両のみは喫煙車、個室車2両を挟んで東京方に連結されている3両が禁煙車となっています。

このB寝台車は一応座席(ベッド)のモケット交換など、多少のリニューアルは行われており、以前客車外観編で取り上げた車両の外観だけでなく、車内のモケットなどにもバリエーションが存在しています。

寝台は上下2段が枕木方向に並び、2つの寝台が向かい合う構造(ごく一部向かい合わせとならない寝台もありますが…)となっており、昼間は下段を座席としても使用しますが、個室車と異なり片隅に寄せられている通路部分にも折り畳み椅子が設けられており、これは個室車(特に天井空間に制約があるB寝台「ソロ」)にもあったら…と感じます。
(MAKIKYUが寝台車両に乗車した際には、通路に設けられている折り畳み椅子に座りながら、ゆっくりと車窓を眺めるのも好きですので…)

国鉄時代末期に寝台の2段化が進められ、頭上空間が狭い3段式(日本ではごく一部にしか存在しませんが、鉄道博物館の展示車両などでその様子が見学できますし、今でも寝台列車が大活躍している中国などでは多数が活躍しています)に比べると居住性は格段に優れ、座面もそれなりの広さがあり、クッションもそこそこ入っています。

定員も1両当り30名を少々超える程度ですので、設備的には寝台列車大国・中国の軟臥(格付は日本のA寝台相当で、一部列車を除くと編成内に1~2両程度連結という事が多いですが、設備的にはB寝台開放室とほぼ同レベル)とも言え、中国を走る長距離列車の硬臥車(格付は日本のB寝台相当ですが、カーテンもない3段寝台がずらりと並んでおり、1両の定員は60名を超えます)に何度か乗車し、硬臥車に車中2泊・40時間弱に渡って乗車した事もある身(それでももう少し乗っていても…と感じた程です)としては、車中1泊となるはやぶさ/富士号程度であれば、MAKIKYUとしては車両自体はそこそこ快適に過ごせる空間なのでは…と感じます。

ただ国鉄時代末期から時が止まったかの如く、設備的には大差ないまま現在まで運用されており、車内には最近姿を見る事が少なくなった冷水機まで設置されている程(ただ車両によっては故障中となっているものが幾つかあり、他車両をご利用くださいという張り紙が出ていましたが…)ですので、昔ながらの汽車旅を雰囲気を楽しむには絶好ですが、就寝時にカーテンで自身の寝台を通路などと仕切れるとはいえ、個室ではなく車中で1泊を過ごす間をずっと見知らぬ乗客と相席になる事自体、現代の日本においては少々厳しいものがあります。

料金的にもB寝台料金(2段式)だけで6300円とビジネスホテル1泊の宿泊料並み(或いはそれ以上)ですので、昔から寝台列車に乗り慣れている年配者や、列車旅が好きな人間を除いて、広く一般客に歓迎される設備とは言えないのが現状で、はやぶさ/富士号の運転区間であれば、新幹線の高速化が進んだ事などもあって、両列車の出発時刻頃に出発する昼行列車(新幹線や在来線特急:乗り継ぎも含む)を利用しても、車中で夜を明かさずに目的地へ到着できて所要時間の面では圧倒的に優位ですし、これらの列車や、鉄道以外の競合交通機関を利用しても運賃面で大差ないか、或いはむしろ優位になっています。

そのためMAKIKYUがはやぶさ/富士号に乗車した際も、開放室B寝台車は空席が目立っており、その上に使用車両も塗装が剥がれている箇所などが見受けられ、見るからに草臥れた感のある有様では、とても多くの人々に「いつかは乗りたい」と思わせる列車とは言えませんし、B寝台開放室の一部車両は、多少の防音・振動対策は施してあるとはいえ、ディーゼル発電機を搭載した車両になっており、この車両(スハネフ14形:喫煙車を利用する場合、通常の編成では必然的に当ります)は一部の酔狂な方は別として、一般的に考えて車中で夜を過ごすには相応しくない環境となっていると言わざるを得ません。

まして近年は利用不振などもあって、列車内の併食空間(食堂車)が廃止され、車内販売も朝のみの乗務という状況ですし、車内には長距離フェリーの様なインスタント・レトルト食品の自動販売機すら設置されていません(ジュース程度ならありますが…)し、列車の性質上急ぎの乗客は余りいないであろうにも関わらず、東京発の列車では夕方~夜にかけての各駅での停車時間などは切り詰められていますので、列車の乗車前に食料を買い忘れると大変な事になってしまうといった、列車設定を一工夫(静岡県内の何処かの駅辺りで5~10分程度の停車時間を設け、ホーム上で駅弁等を販売するなど)すれば何とでもなりそうなソフト面での問題もあり、この観点でも何も知らずにふらりと一般客が乗り込んだ場合、一度の乗車で懲りてしまいそうな点も問題です。

この様にはやぶさ/富士号、特に開放室B寝台に関しては問題点が山積していますので、来年での列車設定廃止も、車両の老朽取替・或いは更新が必要な状況ともなれば、遂に来るときが…という感がありますが、車内でゆっくりと時を過ごせ、目が覚めたら遠方の景色が車窓に広がる寝台列車での旅は、他の列車では味わえない味わいがあります。

現に北海道方面の寝台列車などは、所要時間がかかる事からビジネス利用は限られるとはいえ、観光客に使いやすい様な運行形態や設備を供する事でそれなりに繁盛していますし、寝台列車大国・中国で今でも多数の列車が多くの乗客を乗せて大繁盛している状況なども見ている身としては、このまま朽ち果てる様にはやぶさ/富士号が列車消滅となるのは惜しい限りで、何とかして時代のニーズに合わせた寝台列車を、せめて週末運行などの臨時列車でも良いので、首都圏~九州方面に1本程度は走らせて欲しいと感じますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様は如何感じられるでしょうか?

 

画像ははやぶさ/富士号開放室B寝台の様子(寝台モケットに注目)と車内に設置された冷水機(以上記事最上部掲載)と、瀬戸内海を見ながら迎える朝の景色(東京発のはやぶさ/富士号に乗車した場合、目が覚めたらこの様な景色が待っています)、記事中で若干触れた中国を走る硬臥車の様子(参考:既公開記事での使用画像)です。



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9 コメント

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寝台特急 (八雲運転所(函クモ))
2008-01-10 20:30:27
 こんばんは。私は以前北海道にいたので寝台列車は座席利用も含め結構利用してました。「カシオペア」「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「日本海」「あけぼの」「はくつる」「はまなす」「きたぐに」「あおもり(臨時列車)」に乗車しましたが、帰省の時期なのでどの列車も比較的混雑していたように思います。
 九州方面は新幹線が並行しているので寝台列車が不振なのは仕方がないのかもしれませんが、九州への夜行バスは毎週末になると盛況ですし、現にJRサイバーステーションの空席情報では低調著しい九州ゆきの寝台特急とはいえ年末年始は満席になっている列車が多く、夜行需要は決して少なくないと思います。工夫次第ではもう少し乗客を増やすこともできるのではないでしょうか。
 自分の場合、東京~博多間を乗るなら「のぞみ」自由席に7770円もの特急料金を払うくらいなら少し高くなっても寝台特急のほうが良いですが、そういう人は少数派なのでしょうか。
こちらも同感で… (MAKIKYU)
2008-01-11 13:21:22
八雲運転所(函クモ)様こんにちは。

九州方面への寝台列車は、ご指摘の通り新幹線が並行している事、それに高速バスや京阪神~九州間では夜行フェリーも存在する事から、料金・所要時間といった面を考えると、寝台列車は厳しい感がありますが、現状は敢えて利用しにくい列車にしている感があり、コストのかかる施策は厳しいにしろ、こちらの記事でも触れている様なダイヤの一工夫などはあっても…と思います。

輸送需要の波動が大きい事も、九州方面寝台列車の難しい面ですが、これもいっその事はやぶさ・富士号などは分割併合を止め、列車を一本化する事(この場合は東京~熊本間に一本化)で運用の単純化を図り、客車ならではのメリットとも言える車庫での増解結を容易にして、空気輸送状態の車両を減らすと共に、寝台列車利用者が九州内在来線特急へ乗り継ぐ際に大幅な割引を設け、尚且つ隣のホームで乗り継げる様にするなどの策を講じても…と思います。
(これはダイヤが錯綜している九州内在来線のダイヤ構成面でもメリットがありますし、大分方面を訪問する旅行客に、魅力的なJR九州の特急列車を周知するメリットもありますので…)

また東京~博多間でのぞみ自由席に7770円もの特急料金を払うくらいなら、少し高くなっても寝台特急のほうが良いという事ですが、こちらも昨年九州へ出向いた帰りにはのぞみ普通車指定席(500系)を利用し、これは時間的制約の問題もあったのですが、時間に余裕があるなら、同程度の運賃+料金であれば寝台列車(利用したのはソロですが…)の方が…と感じたのは同感です。
九州旅行計画中です (red star)
2008-01-16 08:42:07
実は今年のGWに九州への家族旅行を計画しておりまして、混雑を見越して早くも博多のホテルを予約しました。行きは富士ぶさを利用予定です。二人用個室がないので、最初はどうしようかと思いましたが、来年春に廃止になるのでそんな贅沢言ってられませんorz

はやぶさの博多到着が羽田からの朝一の飛行機到着と殆ど変わらないので、わざわざ高い寝台料金を払ってまでブルトレ車中で夜を明かす必要性がありませんからね。熊本まで乗り通そう思うのですが、熊本に先着する他の特急に乗り換える事はせず、多分私にとって最後になる九州ブルトレの旅をじっくり堪能したいと思います。

列車の性質を考えると… (MAKIKYU)
2008-01-16 22:22:40
red star様こんばんは。

現在のはやぶさ/富士号の性質を考えると、どう考えてもビジネス向けには使い勝手が悪く、時間に余裕がある観光客、それも余程の飛行機嫌いか、列車旅そのものに価値を見出す乗客でなければ…という感があります。(こちらはその双方に該当する人物の一人ですが…)

それにも関わらず現状では個室は1人用のみ(複数人で1人用個室に分かれるのが嫌なら、必然的に開放室利用となります)、また急ぐ乗客など皆無にも関わらず下り夕方~夜間の各駅停車時間が切り詰められているなど、観光向けにも使い難い中途半端な列車となってしまっていますので、この様な状況をずっと続ける事で列車削減→乗客減少の悪循環に陥り、遂に九州ブルトレ自体が…と言っても良いかと思います。

こんな事を言ってしまうと、とんでもない列車という感じを受けてしまうかもしれませんが、それでも事前に食料の準備をしておくなど相応の備えをしておけば、それなりに楽しい汽車旅になるかと思いますし、寝台列車は他の列車にはない魅力が詰まっていますので、そちらが乗車される機会がありましたら、ブログ等での報告も楽しみにしたいと思います。
はやぶさ富士ではありませんが。 (尾崎俊史)
2008-02-03 23:25:06
それにしても、かつての黄金時代はどこへやらの低調ぶりに愕然としています。
実は、昨年9月に大阪から東京まで銀河を利用したのですが、その時も連休期間中にも関わらず、利用客は少なかったです。やはり、高速バスや新幹線の方が安心なんでしょうか?値段が高かったり、安全という事を考えると、どうしても女性は敬遠してしまいますし。
ムーンライトえちごの様な、リクライニングシートやレディースシートがあれば、何とかなったはずですが・・・

九州ブルトレも、何らかの対策をほどこさないとダメになりそうですが、JRはあまり熱心とは思えません。
銀河号も… (MAKIKYU)
2008-02-04 12:22:14
尾崎俊史様こんにちは。

こちらは銀河号には乗車した事がないものの、列車の姿は何度も目撃しており、大して長くない編成にも関わらず閑散とした印象がありますが、東京・横浜~京都・大阪間で新幹線や高速バスが好調な事を考えると、値段や設備面で敬遠されているとしか考えられませんね。

この列車もいっその事座席車を併結するなどの施策を行えば、需要のある区間だけに何とでもなりそうなのですが、北海道関連とサンライズ以外の寝台列車は、どれもご指摘の通り…という状況なのは残念な話ですね。
はやぶさに乗車予定です。 (あさこ)
2008-07-06 14:06:01
MAKIKYUさん、はじめまして。
この夏に「はやぶさ」に乗車する予定です。寝台列車に乗るのははじめてです。
乗るのは広島ー名古屋という「はやぶさ」の全体から見れば短い区間ですが、分からないことだらけで戸惑ってます。
「ソロ」に乗りたいと思ってますが、何か乗車する上で気をつけたほうがいいことがあったら教えて頂けませんか?
(食べ物や飲み物は持参しないとダメみたいですね・・。)
思い当たる限りでは… (MAKIKYU)
2008-07-06 22:46:51
あさこ様はじめまして。

はやぶさ・富士号乗車に際しての注意点ですが、こちらが思い当たる範囲としては、以下の様な事が挙げられます

・飲み物程度であれば、一応車内に自動販売機の設置(種類などはかなり限られます)はあるものの、食べ物となれば今は食堂車もなく、朝に車内販売が巡回する程度ですので、基本的には事前調達が必要

・深夜帯では車内放送が中断される
(名古屋だと朝の到着が早いですので、放送が流れない可能性あり)

・ソロは喫煙車のみですので、タバコ嫌いだとやや臭いが…(ホテルの喫煙可能部屋と同程度と考えれば良いと思います)

・個室車への改造からも年月を経ている事もあり、ソロの個室内にコンセント設置はなし(寝台車両でも比較的新しいサンライズ出雲・瀬戸号ではソロ個室内にコンセントがあるのですが…)

この様な点を予め承知しておけば、乗車の際もさほど困る事はないと思います。

またソロははやぶさ・富士号各1両ずつで、開放室B寝台と同じ料金ですので、時期によっては確保しにくいですので、場合によっては開放室B寝台を使う方法もあり、こちらはプライバシーの点では難ありですが、禁煙車がメインとなっている点もメリットと言えます。
ありがとうございます。 (あさこ)
2008-07-06 23:15:36
さっそくのお返事、しかもとっても丁寧に教えていただいてありがとうございます。
名古屋で乗り遅れたどうしよう。。と思っているのですが、車内放送無いかもですよね・・気をつけたいと思います。
ソロは喫煙室のみですか・・これは一番心配です。教えて頂いてよかったです。
開放室のほうがいいかも迷いますが、携帯のアラームを鳴らすことを思うと名古屋は早朝なので周りの方に迷惑ですね(汗)ファブリーズ持参で喫煙車でがんばります・・。
席の確保も頑張らねば。お盆ではありませんが土曜なので。

本当に詳しく教えて頂いて感謝です。
ありがとうございました。

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