ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

Facebookがもたらす新しい世界のルール

2011年12月20日 | ネットビジネス
Facebookから「知り合いかも」とお客さんの名前が表示されたりすると(特にそれが取締役なんかだったりすると!)、友達申請をするかどうか戸惑ってしまう。親しさを見せるために申請すべきか、一線を引いて自由な発言を楽しむべきか…

しかしこうした問いかけはまだソーシャルネットの生み出す新しい世界のルールに慣れていないだけなのかもしれない。世界のルールは変わろうとしているのだ。

僕がまだ大学生だった頃、ちょうど最初の「wired 日本語版」が創刊され、「マルチメディア」なんて言葉が流行ってた頃だ、インターネットというものが登場しその可能性について1つの象徴的な言い方があった。

「インターネットはグーテンベルク活版印刷以来の革命となるだろう」と。

事実、インターネットはそれだけの言われ方に匹敵する構造変革を社会に与えたと言っていい。

グーテンベルク活版印刷が社会に起したインパクトというのは、情報の流通量や速度を飛躍的に高めたことだ。それまで聖書というものは、1冊1冊写本を行っていたため非常に時間も労力をも必要としたのだけれど、グーテンベルクが活版印刷技術を成功させたことで聖書の大量生産を可能にした。このことは単に聖書の話というだけではなく、 様々な情報の伝播速度を高めることにつながる。ルターがローマ協会に対して問い質した「95カ条の論題」はこの活版印刷によってヨーロッパ中に広がり宗教革命へと繋がったし、その後の産業革命を生み出して行くことになる。

同様にインターネットも情報の流通量や伝播速度を大きく変えた。それは極端な言い方をすれば情報の伝播にかかる「時間」を0(ゼロ)にし、「量」を∞(無限大)にまで拡大したのだ。

その結果、これまでは商品の製造や流通過程において必要とされた、商社や問屋といった中間流通部門の役割が大幅に縮小した。製造メーカーと小売業者とが直接やりとりをはじめ、製造メーカーは系列の枠を越えて部品メーカーからの調達を行う。情報が瞬時にどこであろうと伝わることで、情報やノウハウの集約機能としての中間流通工程が不要になったのだ。

こうして僕らの競争相手は世界中に拡大し、より安い労働力を求めて製造拠点は世界各地に拡散し、より安価に原材料や部品を手に入れるために調達先を世界に求めるようになる。

ビジネス構造の「簡略化(効率化)」と「グローバル化」が進展することになる。

しかしソーシャルネットがもたらそうとしているものは、こうしたインターネット革命を更に一歩推し進めたものになるだろう。これまでのインターネット革命があくまで「A」から「B」を結びつける際の物理的な制約(距離や量)を取り除こうとしているのに対し、ソーシャルネット革命がもたらそうとしているものは「A」や「B」といった結びつける対象の発見をこれまでにない形で実現しようとしているのだ。

ソーシャルネットの結びつき方を考えた時、その構造は2層構造になっていることに気づく。1つはインフラ部分とも言うべき「人と人との結びつき」、そしてもう1つは「興味」や「関心」といった直接の結びつきを創りだすための「契機」となる部分だ。

例えばmixiや初期のgreeの場合、匿名性ではあるものの友達を招待し、人と人との関係をまず形成する。そうしたネットワークインフラはしかし決して強力な結びつきを持っているわけではない。いつでも繋がり合えるという状態を作っているだけだ。そこに「興味」や「関心」といった繋がりあう「契機」が与えられ、強い「繋がり」が生まれる。つまり「再接続」される。

「コミュニティ」や「日記」というコンテンツ、あるいは「コメント」や「足あと」という機能が、人と人とを再接続させることとなる。(mixiにとって「足あと」機能は再接続させるための重要な機能だったのだ)

これがfacebookの場合、再接続のための「契機」をPUSH型の情報として無限に配信することを可能にした。それが「NewsFeed」という機能だ。誰かが更新した情報が特に指定することなく友達全員に配信される。しかもそれを単純に時系列で表示しているわけではなく、「つながり」の強さに応じて表示の出しわけをする。

例え「友達」が1000人いたとしても、実際に親しい人、常に関心のある人というのはその一部だろう。1000人からFeedを受け取るよりも本当に関心のある人の更新情報の方が興味が湧くし、そうした情報こそ望むだろう。Newsfeedはこれらをフィルタリングしより僕らが望む情報を受け取れるようにしているのだ。そしてこれによって人と人との「再接続」が高められるのだ。

いずれにしろ、ソーシャルネットではインフラとしての「関係性」を拡大することと、その上で「再接続」するという構造をとる。そして僕らがよりそれぞれの「関心」「興味」毎に有益な情報を得ようとするなら、まずはインフラの拡大と図ること、そしてそれぞれが自身がその「契機」のDBを用意することが求められる。

これまでのようにプライバシーや個人情報の保護を優先し公開する情報を選択していたのでは、こうした再接続するための契機が失うことになる。このソーシャルネットの時代というのはまずはOPENに情報を公開することが求められるのだ。そうすることがよりソーシャルネット時代を有効に生きることにつながるのだろう。



時空の消滅とソーシャルサービスの誕生-情報革命の果て- - ビールを飲みながら考えてみた…

ソーシャルネットワーク:Facebook誕生秘話とアメリカの金儲け信仰 - ビールを飲みながら考えてみた…

Facebookが変えるスモールワールド - ビールを飲みながら考えてみた…

ソーシャルネットワークの時代と社会化・組織化される自己 - ビールを飲みながら考えてみた…

コメントを投稿