文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:新企画 渾身の企画と発想の手の内すべて見せます

2016-05-07 08:59:14 | 書評:ビジネス
新企画 渾身の企画と発想の手の内すべて見せます
クリエーター情報なし
幻冬舎

・鈴木おさむ

 本書は、著者が考えたテレビやネットの番組やアプリに関する22の企画について解説し、どのようにその企画を考えついたか、企画の考え方や作り方などを示したものである。

 著者は、「はじめに」で「ここで僕が解説している企画の考え方やその精神論は、テレビの世界でなくても多くの人の仕事の仕方、考え方のヒントになるかもしれないと思いました」(p6)と書いている。確かに考え方などは、他業界でもある程度の参考にはなるだろう。

 しかし、帯に「どの業界でもすぐに応用できる驚異の企画術!」と書かれているのは、さすがに書きすぎだろうと思う。(もっともこの部分は著者ではなく、出版社側がつけたのだと思うが)
 
 もちろん、これは「応用」という言葉をどういった意味合いで使うかということにも関わってくるのだが、一例を挙げると、自分に興味を持ってもらうために話の種にとSMクラブにいったことが書かれている。(p44)これを応用できる業界というのは、いったいどの位あるのだろう。

 個別の企画についても、うーんと思ってしまうものがある。例えば、「新企画6 自治体危機シミュレーション」だ。企画の中では、災害の発生確率だけを考えているようだが、災害の場合は、被害の規模もあわせていう必要があるだろう。いくつか災害の例が挙げてあるのだが、これもいつまでの期間を見て言っているのか分からないし、実際の数字自体もずっと小さいと思われるものが多い。また、科学的には、他のリスクと比べてどうかという観点も必要だろう。どうもこのあたりは、メディア系の人間の考え方が透けて見えるような気がするがどうなんだろう。著者は、「危険をあおることと、危険の可能性を提示することは違う」(p67)と書いているが、この企画では危険をあおるだけの結果になりかねない。

 やはり、この本の内容は、主に放送関係の企画に関してのことだろう。他業種に応用するには、相当の応用力が必要だと思う。

☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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