本書は、世界的に有名なコンサルタント企業であるマッキンゼー&カンパニーで使われてきた手法をもとに書かれたものである。
本書の基本的なツールはロジックツリーだ。このロジックツリーは色々な場面で使えるが、大切なことはMECEであること。MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive 相互に排他的、集合的に網羅的」の略で、要するにもれがなく重複もないということである。本書では色々なケースにおいてどのようにロジックツリーが使われるかを詳しく解説したものだ。また関連するいくつかのツールも示してあり、今はそれほど流行していないが、QCサークル活動などで見たことがある人も多いものと思う。例えば俗に「魚の骨」と言われる手法はフィッシュボーンとして登場するし、日本では一般に「なぜなぜ分析」と言われているものは「5回のなぜ」という呼び方で登場する。これらは我が国では有名な手法なので、原文がどうあっても、日本で知られている言い方を使った方がいいと思う。なお、なぜなぜ分析については、別の5回という回数にこだわる必要はないというのが私の考えだが、たぶん他にも同じ見解の方もいるだろう。
ただ、理屈を知っているだけでは、それなりのものしかできないし、色々な経験や知識がないと薄っぺらいものしかできないだろう。それを防ぐためには、色々なバックグラウンドを持った人を集めて作るという方法もある。本書を読んだ人は、ささいな問題にも、この手法を使ってみるといいだろう。とにかく愚直に使い続けるのだ。使い続けて、ツールを使いこなすレベルを上げる必要がある。一見遠回りのようだが、それが、このツールを自家薬籠中のものとするためには最も近道になるのではないだろうか。
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