この作品を一言で言えば、悪役令嬢ものである。悪役令嬢が、ヒロインの色香に迷ったアホ王太子から悪役令嬢が婚約破棄されるというもので、王太子の周りには同じような取り巻きがいる。もちろん取り巻きもアホだ。そして、アホ王太子の言っていたことはすべて冤罪で、王太子を魅了魔法であやつっていた、一応ヒロインのマリアが犯人である。
実は、この世界、乙女ゲームの世界。主人公で騎士団長の息子で子爵令息のエクスは、この世界の転生者なのである。エクスも取り巻きの一人だったのだが、この断罪イベントの間に、乙女ゲームをやっていた主人公が転生してくる。転生と言っても主人公の精神がエクスの中に入り込んだ感じだ。そのため、エクスには魅了魔法が効かなくなった。マリアも転生者で、エクスよりゲームのことをよく知っていた。
王太子が婚約破棄したとたん、エクスはアリスに結婚を申し込む。そして、王太子は廃嫡され(弟が王太子になった)その取り巻きも処罰される。
マリアは牢に入れられていたのだが、エクスは彼女が自分の知らないゲーム知識を持っていることから、アリスの侍女にする。果たしてこれが吉と出るか凶と出るか。
しかし、悪役令嬢のはずのアリス、全然そんなイメージはないのだ。優しくと可愛らしい女性である。いやこれなら殆どの男は溺愛すると思うのだが、元王太子のアホぶりがよく目立つ。それにしてもこの物語に出てくる王様って何者? みんな王様の掌で転がされているような気もするのだが。
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