文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:べっぴんぢごく

2015-11-14 20:19:07 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
べっぴんぢごく (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


 岡山を舞台にした淫靡でホラーな話を書かせたら、この人の右に出る者はいないだろうという、岩井志麻子の「べっぴんぢごく」(新潮社)。私など、岡山というと、「晴れの国」という明るいイメージがあるのだが、確かに北部は中国山脈が深く、明治、大正のころだったら、こう言ったどろどろとした話の舞台に相応しい雰囲気だったのかもしれない。

 この作品は、女6代の100年以上にもわたる、忌まわしくも淫靡な運命を描いた作品である。幕開けは明治30年代の岡山の寒村。作品全体を通しての主人公であるシヲは、乞食の娘として放浪の生活を送っていた。ところが、この地で母を殺され、村一番の分限者の家に下女として引きとられる。だが、心に病を持っていたその家の娘が死んだため、養女として過ごすことになった。

 シヲは禍々しいまでの美貌を備えていたが、その娘のふみ枝は、牛蛙と渾名されるほどの醜女だった。しかし、ふみ枝の産んだ小夜子は、シヲゆずりの美貌を受け継いでいた。以下、冬子、未央子、亜矢と続くが、なぜか、シヲの子孫は、美女と醜女が交互に出現する。

 シヲの誕生自体も業にまみれたものだった。そのためか、シヲにはこの世の住人ではない者たちがつきまとう。シヲ自身は、自分の業をよく認識しており、子孫たちに比べれば、平穏な人生を過ごす。しかし、子孫たちは、奔放だったり、嫉妬深かったりと、それぞれの女の業にまみれた人生だった。

 物語のそこかしこに死霊たちも登場するが、それ自体は別に恐ろしいものとして描かれてはいない。描かれているのは、因果の糸で操られるような女系6代の女たちの哀しさだ。グロテスクとも言える女たちの性と業を描きながら、それを独特の筆致で、単なる官能小説ではなく、見事な文学作品として仕上げている。まさに岩井志麻子の真骨頂発揮といったところだろう。

 美しいが、どこか耽美な香りのする少女を描いた表紙イラストも素晴らしく、この作品の雰囲気を盛り上げてくれる。

☆☆☆☆

※本記事は、2012年02月11日付で、拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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ビジネスリーダー育成セミナー:MBAが変える世界

2015-11-14 16:17:01 | セミナー、講演会他






 今日は、朝から、かなり強い雨が降っていたが、県立広島大学が主催する「ビジネスリーダー育成セミナー」というのを聴講に、県民文化センター内にあるサテライトキャンパスひろしままで出かけてきた。これは、日本でもかなり知られるようになったMBAについて、色々な面から紹介するというものであり、今回は、「MBAが変える社会」というテーマでの講演だ。講師は、アクシアムの渡邊光章さん。

 MBAがどんなところで求められているか、県立広島大のMBAコースでは、自分のクラスではこういう風にしたいというような話だった。

 一つ記憶に残ったのは、トップに近いような求人は、公募マーケットには出てこないということ。人事にまかせたらつぶされるので、トップが、スカウトマーケットに依頼してスカウトするのだそうだ。だから、公募市場では、そういった求人は、隠れて見えない。

 確かに、日本の会社で、人事と言う部署は、大抵は保守的で、ろくなことはしない。そのくせ、自分たちの権益を守ることはうまい。会社が生き残りたかったら、まず人事をぶっ潰すことが、その第一歩だというところは、案外多いのではないかと思う。特に、やたらと趣味のように人事制度をいじったりするようなところ、「人材」ではない「人財」だとかといった、やたらと言葉遊びをしたがるくせに、その実、人を「人役」でしか数えないようなところは、要注意だ。


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田舎風景

2015-11-14 11:51:11 | 旅行:山口県


 先般帰省した折の、田舎風景だ。上の写真のように、田んぼはすっかり稲刈りが終わっている。昔は、この後に大麦を植えて、二毛作をしていたものだが、最近はどうなんだろう。




 田んぼ脇の側溝には、なんと浮草が繁殖していた。久しぶりに見たが、この季節まだ元気なんだ。




 そして、いつもの「稲川」風景。昔より、かなり汚くなったが、この川を見ていると、なんとなく落ち着く。

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