10月13日(土)に、東急シアターオーブ(渋谷)で公演していたマシュー・ボーン振付・演出のバレエ「シンデレラ」を観てきました。
本格的なバレエを観るのは人生初だったのですが、とても興味深く拝見しました。
シンデレラ…といっても、グリム童話やシャルル・ペローの原作に近い中世のヨーロッパを舞台にしたものではなく、1940年代のロンドンに時代と場所を移したものにアレンジされていました。だから王子もRAFパイロットに変更されておりました(WWII中のイギリス市民にとって、パイロットは憧れの的だったのだとか)。シンデレラもロンドン市民へ変更です。
1940年代の、空襲が重なるロンドンを舞台に、RAFのパイロットがブルードレスで踊る。以前から興味はあるものの行ってなかったバレエを観に行った動機も、ここにあるといっても過言ではないという...。ツイッターでフォローしているダンケルクの民(浜辺から帰ってこれてない人ともいう)の方々も観に行ってるし、じゃあ行ってみるかと。
結論として、とても素晴らしい時間を過ごしました。
まずはダンサーの高い身体能力。舞台のところだけ重力が月くらいになったんじゃないの?!というくらい、軽々と自身の体を操ってました。
人間って美しいなあ、とあらためて素直に思えるくらいには。
ちなみに私のお気に入りは、シンデレラやRAFパイロットを別にすると、天使を演じたダンサーです。
原作だと魔法使い/仙女の役どころなのですが、人間の中に混じった、人に非ざる者…という役どころにピッタリでした。浮世離れしてるというか。ただ歩いてる?ように見える場面も、ただしく舞踊のようでした。ドラえもんが歩いてるみたいな感じにも見えましたけど。←ドラえもんは、常に体を何センチか浮かせてる設定なのだ!
彼が腕をふるだけで魔法にかかったみたいでしたよ。ディズニーの映画みたく。
そして当然ながら、シンデレラ+RAFパイロット(王子)の踊りも素敵でした。
マネキンを王子にみたててダンスをする場面があったのですが、彼女の想像(妄想)からマネキンがやがては王子の形となって二人でダンスをするですよ。でも王子は元来マネキンだから、動きはぎこちないというのがね!ツボ過ぎて!←柔軟性にかける動きをバレエダンサーがするんですよね。でも動き一つ一つはウツクシイんですよ。
マリオネットと美女(@眼鏡の地味モード)のダンスが大変素晴らしく。また、恋する女性が好きになった相手を思って踊るダンスがいじらしくてですねえ(←親戚のおばはんモードに入る私)。
シンデレラが眼鏡地味モード→眼鏡なしキラキラ美女モードになった後の王子+シンデレラのダンスも素敵だったんですけども、私にとって一番印象的だったのがマネキン+シンデレラのダンスでした。
それにしても、マシュー・ボーンの演出/振付は、劇を観てるようでした。時代背景を多少説明する必要があったからか(なんといっても70年以上前の出来事)、最初にニュース映像(ロンドン市民に爆撃があった時の心得を知らせるもの;防空壕に入る、ガスマスクを携帯、市民が保護を求めてきたら、その家の住民は受け入れること等)が流れ、その後に怪我を負ったパイロットがシンデレラの家に彷徨いくることに対する説明にもなっておりました。
本格的なバレエの鑑賞をするのはこれが初めてだったためプログラムを前もって読んで臨みましたが、なんというか、物語性が高いバレエだなあとも思いました。マシュー・ボーンの特性を私は知らないのですが、こういう物語(振付、演出)をする人なのかしら。
もうね、舞台でも表現されていた市民たちの逞しさが凄かった!
史実でもロンドンの市民たちは、爆弾が降り注いだ状況下であってもオシャレを楽しみ、踊り、恋を楽しんでいたわけですが、それが舞台上でも表現されていたというのが凄い。台詞もない、バレエで。
今回の鑑賞で自分がバレエにハマったのかどうかは解らないのですが(NHKでテレビ放送されてるのを観ても途中で飽きたりする人なので)、(マシュー・ボーンの)違う演目は観てみたいなあとは思いました。
来年はSWAN、ということで、スキをみてまた観に行ってみたいと思います。
すごく楽しみです。
好きが増えるのはイイね。世界のどこを向いても好きなものばかりになるね…。