それは薪争奪戦だった

　隣の宅地といっても林なんだけど、そこの木が全て切られた。切った木は使われるわけでもなくずっと放置されてたのでもったいないと思ってた。そしたら伐採を請け負った人が木をタダで貰えるように交渉してくれた。しかも自分ところだけでなく他に薪ストーブを使ってる３軒にも声をかけてくれた。

　その話を聞いて、漠然と４分の１ずつか、どういう風に分けるのかな、なんて思ってたら世の中そう甘くない。結果的にある１軒が早い者勝ちモードになって半分以上持ってっちゃった。その量は軽トラックで１０台分以上？　そんなわけでうちも予定を早めて運んだ。だけどうちよりのんびりしてる家もある。そんな話をヨメにしたら「どうせタダなんだし１本でも貰えればいいじゃん。」と言う。

　１本というのは太さ約２０～３０ｃｍ、長さ２ｍくらいの丸太である。こんな宝の山を目の前にしてよくそういう心境になれるもんだと感心した。こんな人徳のあるヨメを貰えてたなんて、このオレサマはなんと幸せ者なんだと思いたいところだけどそうでもなさそうだ。

　ストーブを毎日使ってた先月頃、このくらい薪を切っておけば明日まであるかな、なんて思っててもヨメは面白がってホイホイ燃やしてしまう。そうすると寝る前に薪が無くなってしまうんだけど、道理で家の中が暑いと思ったなんて日もあった。どうやらこっちの労力も含め、宝なんて思ってなかったようだ。でも写真を見れば宝には見えんか。