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小沢氏の辞任
小沢氏の辞任は、彼の公設秘書逮捕後、誰もが考えた一つの筋書きです。どのような思惑が働いたにせよ、西松建設の違法献金問題が発覚し、検察が動き出したたこと自体が、すでにその可能性を暗示していたのです。
http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY200905110206.html?ref=reca
事件発覚後、有権者が求めてきたのは小沢氏自身による明確な説明でした。
しかし、ここに至るまで彼はそれを避けてきた。多額の献金を、しかも毎年、10年にもおよぶ期間、結果的に献金を受けてきたという明確な事実があるのですから、小沢氏側が主張したきたような、西松からの献金とは知らなかったというのでは、誰も納得しない。いくどかの世論調査で多数が辞任すべきと答えてきたのは、こうした経過に要因があると考えてよいでしょう。その意味では余りにも疑わしい経過をそのままにしてきたのですから反発も買うというわけです。
辞任する、しないで事が解決するわけではむろんありません。求められているのは、かかわった小沢氏自身がすぐにでも説明責任を果たすことです。
問題は、適法的に処理されてきたか否かではない。適法的に政治資金規正法に仮に対処してきたとしても、問われるのは、金銭授受、献金のワイロ性でしょう。小沢氏が何もやましいことがないのであれば、ここをしっかり国民にむけて訴えるべきでした。
自民党政権のゆきづまりの下で、小沢氏は辞めるべきだという意見は多かった。たとえば姜尚中氏も識者のなかのそうした一人でした。辞めよという意見は、自民党側からすれば政権交代を阻止するためのものでしょうし、民主党寄りの立場から辞めよという意見があったとすれば、それは政権交代にとってそれが悪影響を及ぼすとして、ダメージを少なくするためにも辞めよ、こう考えられてきたのでしょう。
けれど、どうでしょうか。たとえ小沢氏が企業献金は廃止と主張したところで、自らのこれまで受け取ってきた献金について、何も語らず放っておいては誰も信用しない。小沢氏はそこを勘違いしていたようです。事態は好転しなかった。あるいは、それしか彼のとるべき態度はなかったともいえるかもしれません。有権者は小沢氏についてはこなかったのです。
繰り返せば、辞めて何かが解決するのではありません。小沢氏には依然、説明責任が問われるのですから。民主党が、自民党と異なるのであれば、小沢氏はただちに説明に乗り出すべきでしょう。それでも私は遅きに失したと考えるのですが。
しかし、そう単純ではなさそうです。
小沢氏が辞任会見で、「選挙を考えたときに政権交代できる体制を作る必要がある。これは投げ出すのではなく戦うための選択だ」と語るとき、そこに依然、政権交代というスローガンのみが先行していることを私たちはみることができます。私たちは、自民党の腐り切った、ダーティな政治家とは一線を画したところに小沢氏がいて、あるいは民主党があってはじめて、政権の交代の意味を実感できるのでしょう。が、そうした明確なちがいが示されないままでは、はたして政権交代といっても意味があるのかどうか、ある意味ペシミスティックに、それを強く私たちに迫る結果になるのではないでしょうか。自民党にはできない相談でしょうが、政治には自浄作用というものがあるということを有権者に示す責任が民主党自身に強く求められている、こう私は考えます。小沢氏はその先頭に立て。
(「世相を拾う」09097)
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