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「歴史の記憶」と『母べえ』
スペインからのニュースでは、上下両院選挙で与党の第一党が確実になり、サパテロ首相が続投するもようだ。
左派与党、第1党確実に=サパテロ首相続投へ-スペイン総選挙 スペインの上下両院選挙は9日の投票締め切り後、即日開票され、サパテロ首相(47)率いる左派与党・社会労働党が、日本の衆院に当たる下院(定数350)で第1党の座を確保した。今後4年間、同首相が引き続き2期目の政権を担当する。 ただ、右派野党の国民党も善戦、社労党の議席は過半数に届かなかった。好調だったスペイン経済に昨年秋以降、陰りが見えていることなどが要因とみられる。 内務省の発表によると、開票率95.88%の時点で、社労党が169議席(得票率43.73%)、国民党は154議席(同40.13%)を得る見込みだ。 |
サパテロ政権のこの4年間の実績をみてみると、カタルーニャ自治州の自治権拡大、女性への暴力根絶に向けた法律、男女同権法の制定、同性婚の合法化、若者への家賃補助の実施など、相次いで改革を実行している。一方で、経済では年3%前後の、欧州では比較的高い成長率を維持しながら、不安定雇用が全体の3分の1に達するなど問題点も指摘されてきた。
そして、とくにあげたいのは、フランコ軍事独裁政権時代(*1)に弾圧された犠牲者の名誉を回復する「歴史の記憶法」を制定したことだ。
歴史の記憶法。同法の成立は、過去にどのようにむきあうのか、日本との対比でいろいろと考えさせてくれる。
「歴史の記憶法」は昨年11月、スペインで成立した。1936年から39年まで続いた内戦とその後75年までの軍事独裁政権下で政治弾圧を受けた犠牲者の名誉を回復し、遺族を補償する内容のものだ。
共和制を求める人々に対して軍政下で行われた裁判は「非合法」と規定した。遺族年金の充実、犠牲者の身元確認の促進、内戦や政治弾圧に関する資料の保存などをすすめる。一方で、フランコ将軍や蜂起をたたえる記念碑やシンボルの撤去も求めている。
2004年に発足したサパテロ政権のもと、内戦と軍政時の被害を調査する委員会が発足するなど、弾圧についての調査、研究が進んでいた。
そこで、思うのは日本の現実である。
日本では、人民戦線政府ができたことはもちろんないが、しかし、政治弾圧は厳然としてあった。治安維持法によって、共産主義者だけではなく、民主主義者、リベラリスト、宗教者にも弾圧の手は及んだ。
この治安維持法を、山田洋次が映画化している。『母べえ』である。
ドイツ文学者・野上滋(坂東三津五郎)はある朝、治安維持法違反で検挙されてしまう。二人のこどもたちと父との暮らしも語らいも、これが最後であった。権力にとって不都合であれば、検挙できる。野上の存在そのものが邪魔だというわけだ。これが治安維持法である。
山田の作品で一貫している家族というテーマは、政治(弾圧)という、この作品の横軸と交わり、政治弾圧の非人間性をいっそう鋭く暴いている。母べえ(吉永小百合)の死の直前の、天国でなんか野上滋に会いたくないという言葉は、それまでじっと耐えて、滋との再会を願っていた佳代の、権力への激しい抵抗の意思表明と抗議だといえるのではないか。
戦後、治安維持法は廃止された。
しかし、日本では、治安維持法犠牲者にたいする国家の責任が明確に表明されたためしはない。謝罪や補償の要求にたいしても無視している。記憶に対峙する忘却ともいえる。
歴代政府のこうした対応は、一方での戦犯の復権を許してきたことと軌を一にしている。
歴史の記憶として、軍事弾圧を断罪し、その犠牲者を高く評価するスペインと、以上の日本の対比は鮮やかにすぎる。すなわち、それは両者の民主主義の成熟度のちがいを示しているのだろうか。
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*1;スペインでは、1931年の統一地方選挙で共和制支持派が勝利し、同年12月にはスペインを主権在民の民主的共和国とする憲法が制定されています。
その後、36年2月の総選挙では、共産党や社会党、共和党なども加わった人民戦線が勝利し、政府をつくりました。しかし、同年7月、フランコ将軍らが軍事反乱を起こし、内戦が全国に広がり、36年10月半ばには反乱軍がスペイン本土の約3分の2を占領します。
39年3月には反乱軍がマドリードを制圧し内戦は終結。これ以降、75年11月にフランコが亡くなるまで軍政が続き、共産党や労働組合の活動家らが不当に逮捕、処刑されています。