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歌うように暮らしたい。アートの道探しを楽しむJasmineのきままな日々。

ヘンデルもびっくり演出のオペラ「セルセ」!

2006-01-15 | いろんな舞台鑑賞ノォト

 ヘンデルのオペラ「セルセ」。あの有名な歌曲「オンブラ・マイ・フ」が歌われるオペラであることは知っていたけど、バロックオペラなんて眠くなりそうだし、どうしようかと迷っているうちに当日になってしまいました。でも、やはり、どんなシーンであの歌が歌われるのか観たかったというのと、滅多に上演されないということで、やはり観ようとぴあにチケットを買いに行くが、売り切れ。それでもとりあえず新国立劇場に向かい、無事キャンセル待ちで入場することができました。


 さて、ステージは会場中央に、Happy Endを予感させる、きれいなターコイズブルーとシルバーで輝く柱に支えられた能舞台のように創られていて、その中で上演されました。
 物語は、「セルセ」という映画撮影の現場で恋愛模様が展開されるという劇中劇のような演出です。映画撮影スタッフに扮した登場人物が携帯でメールをしたり、撮影場所付近をジョギングしたりする人がいるなど、現代のありがちな風景の中で始まりました。
 おおよそバロック音楽のオペラとは思えない演出。キャストは、セルセの映画に出ている、という設定なので、紀元前時代風の衣裳でしたが、映画の役者だったりスタッフだったりもするので、現代の衣裳に変わったりもします。演劇的な要素も強く、着ぐるみの犬(これもセルセの登場人物の置き換え)がいたり、ダンスありベッドシーンあり、こりゃあ、終わったらブーイングだろうな、と思いながら私は見ていましたが、案の上、カーテンコールで演出が出てきたとき、「Boo」が飛んでおりましたね。
でも、私は、面白かったですね。 バロックとかセリアというと、登場人物はみんな白いチュニックみたいな衣裳をつけて、ほとんど動きのない演奏会形式のような舞台を想像します。そして、バロック好きの人は、そういう厳粛な舞台を期待したかもしれませんね。 しかし、このようなオペラは登場人物の関係が複雑だったり、実は終わってみれば簡単な話も、複雑に描かれていたりするので、よくわからない、、、というまま終わることもあります。それを勉強不足と言われればそうなのかもしれませんが、今回の演出で飽きずに楽しんでこのオペラを見ることができたし、音楽もじっくり聴くことができました。セルセって喜劇の要素も含んでいるそうなのです。オンブラ・マイ・フは、冒頭で木の美しさに感動したセルセ王が歌うアリア(紀元前のペルシャのクセルクスという王が、遠征途中で見かけたプラタナスの美しさに感動して黄金の飾りを与えて保護した、という史実に基づくストーリーだそうです)、オンブラ・マイ・フ以外にも素敵な音楽がたくさんありました。じゃあ、演出と音楽が合っていると思うのか!?と聞かれたら、正直どうなのかよくわかりません。でも、少なくとも音楽は心地よかったし、キャストを演じた方々も音楽の中に、人間心理をよく表現していたと感じましたので・・・。(でも、歌は、もう一息かな、正直言って。)今は時間の関係で音楽がカットされたり、会場や費用に制限があったり、、観に(聞きに)くるお客様もマニアだけでないですから、そのような様々な制限の中で、作曲家の意図をできるるだけ忠実に近づくように描くというのは、なかなか大変なことでしょうね。
 そんなことで、最近のオペラは現代演出というのか、斬新な演出というのが多くなっているようですが、必ずその賛否で論議があります。実は、私も以前は、現代演出というのは、いまひとつ好きになれませんでした。それが、どんな演出であろうとそう簡単にオペラの音楽が壊れてしまうようなものではない、それほど厳選と存在するものである、ということを、私自身が現代演出のオペラに参加して体で感じる体験をし、オペラ演出への価値観が変わったのです。もちろん、大前提として、演出家が(もちろん、歌い手も。でも責任は演出家ですよね?)音楽の本質を理解した上で,ということになるとは思いますが(ナマイキですけど・・・理屈では。)
 古典のオペラで描かれているのは、登場人物の普遍的な人間心理であったりします。どこまでも愛する、愛ゆえに苦しみ、また嫉妬したり恨んだり、そういうことを繰り返しながら全てを受け入れることで、より大きな愛となっていく、、、いつの時代でも同じだと思うのです。
 1点だけ。現代演出というと、なぜか、映画撮影とかTV中継での設定パターンが多いですね。新たな演出、期待しています!
 しかし、今のオペラ歌手の方は、大変ですね。まるでミュージカルのように踊って動いて、マイクなしで歌わなければいけないのですから。プラス、これからの歌手はヴィジュアルとしてどうか、ということも考えてないとですね。。。。オペラでも水着とかミニとか着る時代ですから・・・ハイ。美しくないものは見たくないもん。
 皆さん、素晴らしかったですが、音楽的にはロミルダの大隈智佳子さんが、ヴィジュアル的には?木下周子さんが好演だったとわたし的には思いました。 

 

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