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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「異人たちの棲む館」

2019-04-30 10:23:55 | 外国映画
 「異人たちの棲む館」(「Magnifica presenza」、2012年、伊)
   監督 フェルザン・オズペテク
   脚本 フェルザン・オズペテク  フェデリカ・ポンテオモーリ
   撮影 マウリッィオ・カルヴェージュ
   出演 エリオ・ジェルマーノ
      マルゲリータ・ブイ  ペッぺ・フィオレッロ
      パオラ・ミナッチョーニ  ビットリア・プッチーニ
      アンナ・プロクレメル

 宵乃さんのサイト「忘却エンドロール」で行われてる企画に参加しようとTSUTAYAへ行った時、間違えて借りそうになった作品。(タイトルうろ覚えで「異人たちのナンチャラ」のまま探してたので(汗)、よく考えたら、確か邦画で、大林さんだったっけと(笑)、でも、その後、ずっと気になってたのです)
 filmarks3.6(5点満点中)だし、期待せずに観たのですが・・・今年最初のホームラン!かなり個人的好みの範疇なので「只今、推薦中!」には載せませんが、僕がファンタジー映画に求める理想形の一つのタイプでした、苦味と哀しみが有るのにファンタジーの風味は失わない、笑い飛ばす強さが悲劇を乗り越え夢幻的なラストを支えています。

 2012年、ローマに出て来てパン職人をしながら俳優を目指してるピエトロ、自立と居候先の年上の従兄弟(実際は遠い親戚・女)のイビキから逃れる為、部屋探しをしてたら格安、バルコニー付きの広い部屋が見つかる。
 大喜びで引っ越し、心を寄せる男の来訪を待つのだが、そこには、1943年で時間が止まったままの先住者が居た・・・。

  予告編(原語版) https://www.youtube.com/watch?v=ZZCeQ9YipD0

 或る意味「成仏」の物語。(笑)
 「成仏」って東洋の概念の気がするけど、「ゴースト ニューヨークの幻」だって成仏するまでの話ですよね、他にも、そういう映画って沢山あったように思うし。

 異人たち〜売れてた劇団員たち〜は、1943年で止まってるから「ガルボ風」とか、デートリッヒの話に反応したりとか、その辺のくすぐりもニヤッとさせられるし、若い方の女優さん(と言っても既婚、子持ち役)も綺麗で魅力的、最初、バーグマンに似せてるのかなと思ったけど、バーグマンとローレン・バコールを足して2で割った感じ。
 劇団員たちの衣装、撮り方はビスコンティや「暗殺の森」のベルドリッチを思い起こすし、ビエトロに想いを寄せるルカはヘルムート・バーガーを連想してしまいました。

 全体的には今年のベスト3に入りそうな作品なのですが、若干の疑問点がないでもない、まぁ、どうでもいいのですが、一応。(汗)
 作品中、時間が止まってる設定(厳密に言えば「そんな気がした」と言ってるから動いてない訳じゃない)なのに少しだけ時間を動かしたので気分的に整合性がとれなくなったような、只、このお陰で涙腺崩壊になったのだから個人的には文句なし。
 もう一つ、このラストはまんま「〜・〜・パラダイス」ですが、暗転する直前、色が褪せてくように見える。二回目は余り感じなかった(画面が小さかった)けど、最初見た時はカラーからセピア色になって暗転に見えてしまった、これだと、映画文法的には劇団員たちがビエトふロを連れて行ってしまったように見えて、本当の怪談ではないかと。(汗〜「牡丹灯籠」のお露さん、「四谷怪談」のお岩さんが男を連れて行ったように)
 何故、ストップ・モーションじゃなかったのだろう、監督、本当の「怪談」にするつもりだったのか。(笑)
 ※これは、僕の単純な錯覚でした、確かに色は褪せてくけど、通常のフェード・アウトの範疇、情感を強調する手法として正常でした。(大汗)

 あの涙腺崩壊シーンから、トラムのシーン(ここではアンネ・フランクを思い出して涙)、皆の晴れ姿で、
又、涙。
 哀しいような幸せなような、素敵な余韻の残る作品でした。

※あそこで笑い飛ばしてくれた事、それで、ピエトロもリヴィアの魂も観てた私達も、勿論、劇団員たちも全て救われた。そこが、ファンタジーとして秀逸な所。
※年上の従兄弟にモーション掛けられた時の台詞、「ゲイにもなれない僕が女なんて無理に決まってるだろ」、これ一つでビエトロという人間を表現してますね。(同じベットに寝ながら関係がない説明にもなってる〜要するに童貞こじらせ男))
※音楽、特にエンディングに流れる曲が好き、タンゴ風カンツォーネなのか詳しくないから解らんけど(汗〜イタリアとアルゼンチン、舞台はローマだけどアルゼンチンも関係してる作品だし)
※「気になっていた」>イタリア版「めぞん一刻」みたいな話かと思ってた(笑)、全然、違ってたけどね。この作品に出会えたのも「プログDEロードショー」のお陰、宵乃さん、ありがとう!

 H31.4.29
 DVD
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4 コメント

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タイトルは (宵乃)
2019-05-01 08:27:08
完全に間違えて借りるのを狙ってますよね~(笑)
軽くネタバレな気がしますが、それで鉦鼓亭さんがこの作品に出会えたならいいか!

>僕がファンタジー映画に求める理想形の一つのタイプでした

きっと鉦鼓亭さんだけでなく、結構いろんな方に刺さると思うんですけどね~。見た人の数が足りなくて正しい評価がされてないかも?

>音楽、特にエンディングに流れる曲が好き

覚えてないのが残念です。再見する時は音楽にも注目してみますね。
企画がこの作品との懸け橋になって私も嬉しいです。
2作品目のご参加ありがとうございました。
返信する
原題と違うけど (鉦鼓亭)
2019-05-01 13:50:15
 宵乃さん、こんにちは
 コメントありがとうございます!

原題に寄せてたら多分知らないまま、知っても借りてなかったと思います。
紛らわしいのはアレですが、今回はラッキーでした。(内容とかけ離れてないし)

評価サイトでは確かに観た人数少ないですね、でも、filmarks3.6、yahoo3.72で似た評価。この作品は好きな人がそっと心にしまっておくタイプなのかもしれません。

音楽〉
予告編で少し使われてますね、ラ、ラ、ラララララ〜つてやつ、この部分は曲のエンディング部分ですが。

今回は本当に宵乃さんの企画のお陰、只々、感謝しています。
返信する
お久しぶりです (しずく)
2019-06-05 10:34:35
異人たちの棲む館 と聞いて黙ってられません。
4年前に観ましたが大好きな作品でした。細かいところはうろ覚えですが、自分の書いたレビューを読んでいたら温かい雰囲気が甦ってきました。再見してもいいかなぁ~。
http://amegasuki3.blog.fc2.com/blog-entry-30.html

「ダンガル、きっと強くなる」も最近ではイチオシ。残念ながらレビューは残せてません。真剣に書くつもりでまとまった時間を取れてからと思っていたら、書き損じてしまいました・・・。
返信する
こちらこそ (鉦鼓亭)
2019-06-05 12:24:03
 しずくさん、こんにちは
 コメントありがとうございます!

今年は父の事があって例年より鑑賞数は少ないのですが。今の所、この作品が今年のベストです。
観た後の余韻がいいです、記事に書いた「哀しいようだ幸せのような」ですが、何かもっと他の言葉が有るような気がしてなりません。

「ダンガル」
〉DVD買おうと思いながら、今に至っています。(汗)
最初の特訓シーンで引いてしまう人が多そうなので、「ブログDEロードショー」にはリクエストしませんでしたが、僕も好きです。(映画館で泣きました)
最近のインド映画では「バジュランギおじさんと小さな迷子」がお勧めかな、ソフトは8月発売の予定みたいです。

いつだかお話しした「心と体と」DVD化されました、シーンを克明に写すし好みの別れる作品だと思いますが、お気が向いた時にでも。
(ちょっと今、あれを観る気分になれないので(やらなきゃならない気の重い事が多くて)、僕は先延ばし中ですが)
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