セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「シェイプ・オブ・ウォーター」

2018-03-21 16:41:56 | 映画感想
 「シェイプ・オブ・ウォーター」(「The Shape of Water」、2017年、米)
   監督 ギレルモ・デル・トロ
   原案 ギレルモ・デル・トロ
   脚本 ギレルモ・デル・トロ  ヴァネッサ・テイラー
   撮影 ダン・ローストセン
   音楽 アレクサンドル・デスプラ
   出演 サリー・ホーキンス
       マイケル・シャノン
       リチャード・ジェンキンス
       オクタヴィア・スペンサー
       マイケル・スツールバーグ   ダグ・ジョーンズ (謎の生物)

 ‘60年代初期、南米で捕獲された謎の生物が航空宇宙センターへ運び込まれた。
 研究員達はその生物を宇宙ロケットにモルモット代わりとして乗せようとするが、軍から送り込まれたストリックランドは殺処分を主張する。
 清掃員で発声障がいのあるイライザは、事故処理の途中その生物と出会い、やがて互いの孤独が共鳴するようになる・・・。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=M-C9y3Vhd0M

 愛は水のように定形はない。

 これがアカデミー作品賞でいいのかな。(笑)
 大人の為のちょいと生々しい‘60年代風味のファンタジー・メルヘン。
 監督の怪獣好きというのは前評判で聞いていたけど、まぁ、その辺は何となく解ります。
 「キングコング」や「フランケンシュタイン」、半魚人のイメージはそのまま借用したのだろうけど、音楽を二人?で聞くというのは円谷プロ製作「ウルトラQ」の海底原人ラゴンを思い出すし、ほんの少し「人魚姫」も入ってるような気がしました。
 ラゴンを除けば他の話は全て悲劇的結末を迎えるけど、それを引っくり返せばこうなるのでしょう。
 根元は「フランケンシュタイン」だと僕は思います。
 「フランケンシュタイン」とは神に代わって人間が人間を作り出す、或いは改造するという話で、その意味でヒギンズ教授が花売り娘イライザを貴婦人に改造する「マイ・フェア・レディ」も同類と言われています。
 では、怪物が人間を自分と同化させたらどうなるか(ゾンビ的意味でなく)、それが、この作品だと思います、そこがユニーク。(マイノリティの反抗という時事性があるのだろうけど)
 この物語が「フランケンシュタイン」や「マイ・フェア・レディ」の同類であるという示唆は、隣人(同居してるのかと思った)の絵描きジャイルズの部屋にある絵が「麗しのサブリナ」の頃のA・ヘプバーンであり、ヒロインの名前がイライザという事で説明できるんじゃないでしょうか。
 そこに、キングコングとヒロインが愛し合ってたら?人魚姫の恋が成就されてたら?という要素を注入してみたような気がします。
 難癖のような事を書き連ねましたが、寂寥感の果てに見つけた優しさって感じがして、僕はこの作品好きです。

 ヒロインのサリー・ホーキンスは「幸せの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」で見たばかりだけど、本作でも好演、美人系でない代わりにこういう癖のある役には、もってこいの女優さんだと思います。
 友人役のオクタヴィア・スペンサー、同じような所で働いてるけど今度は掃除婦、しかし、演技は「ドリーム」とほぼ同じでした、上手いけど。

※敵役の男と奥さんのパコパコシーン要らんだろ、その前の奥さんの挑発と合わせて単なる男へのサービスシーンでしかない。監督が‘60年代流行のブロンドヘアがアレしてるの撮りたかっただけ?
※途中まで、どういうジャンルの作品なのか掴めなくて焦った。(汗)

 H30.3,21
 日比谷シャンテ

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 この世をば わが世とぞ思う 人間は
  欠けたるものの 多さ思わず

                 (長道)
コメント (3)
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